外出は公道に出るため、自分の住居とは異なり、他人に迷惑をかける心配があります。まずは生活居住区の市役所にある福祉課窓口で、身体障害者手帳取得の手続方法と福祉用具である白い杖の購入方法について相談してみましょう。これらは視覚障害者になってから始めて経験することのひとつです。健常時に事前準備できるものでもありません。ですので、疑問に思うことは職員に何でも相談してみることが大切です。
今回のコラムは“外出するためのススメ”です。まずは、杖の長さや重量など自分に合った白い杖を取り寄せたら、1日も早く、自分の行動に合った杖の使い方に慣れることが先決です。道路交通法で「視覚障害者は白い杖を携帯する」と定められており、白い杖が目印となります。危険から身を守り、運転者や歩行者に注意を促すための用具なので外出時は忘れず携帯してください。
杖には正式な使用方法があるとは思いますが、どこかで指導や講習を受けても、身体の一部と思えるほどには時間がかかります。外出時は必ず持ち歩き、慣れるまで使う回数を増やすよう努力しましょう。「習うより慣れろ」が私のモットーであり、中途視覚障害者であるから時間が残されていないこともそう考える理由のひとつです。
杖を手にしたらまずは、住居内で練習をしましょう。杖が当たる音や杖を通して触れる感触を実感します。こうした実感は言葉で説明できるものではなく、やはり「習うより慣れろ」なのです。そして、次のステップは近くの公園に行って同様の体感をすること。家の中とはまた違った感触を覚えるはずです。
一方、ガイドヘルパーさんによる同行援助の時は、白い杖の携帯はするものの1人歩きではありません。まして、ガイドヘルパーさんが危険な場所へ誘導することもないため、信頼して外出を楽しんでください。また、遠出時になるとこれまでの経験が通用しない目的地に行くことも多いはずです。そういう時は1人での外出は危険です。ガイドヘルパーさんによる同行援護をおすすめします。
また、外出先が健常者だった時に通勤していた経路や慣れ親しんだ場所であるならば、ガイドヘルパーさんに今はどんな感じか、街やその場所の様子を質問してみてください。散歩風景の今や変化が聞けると楽しい気分にもなり、自分の記憶を再更新することもできます。そういう意味でも、外出はとても大切なのです。