テレビのニュースでは大雪がトップ扱いされ、都内交通機関は全てマヒ状態。その上、歩行者の多くが転倒し、骨折での救急車出動回数は…などの報道が多く取り上げられました。雪国の方々から見ると、これしきの積雪は大雪ではなし、あまりにも雪に弱い東京人の騒ぐ姿にさぞや驚かれたことでしょう。
私の現役時代では、年に2、3回の大雪がありましたが、最近では本当に珍しくなりました。「ゆきはよいよい、かえりはこわい」と言うことわざがありますが、朝の出勤時にはまだ小雪でも、退社時間には本降りとなり、全ての交通機関が間引運転に変わっていたこともあります。郊外に住んでいる安サラリーマンとしては、帰路に通常の数倍も時間を費やし、やっとの思いで家に辿り着いたものでした。
雪で一番困るものに、後始末があります。我家から駅までの道のりは、革靴では無理で、ゴム長でないと歩けません。早朝の歩道はあまり人が歩いていないので、雪がさらに降り積もり、ゴム長の高さを超えて雪が靴のなかに入り込むことも。会社に到着するまでに靴下が濡れてしまい、足がジンジン冷たい思いをするのです。対策としては、歩道から車道に下りて、自動車が走行した跡のタイヤに添って歩くことが一番安全でした。
2日目になると残った雪が路面凍結となり、始末におえません。皮靴は滑り、駅まで歩くのにいつもの数倍かかります。朝の明るい時なら雪と氷の区別もつくものの、帰宅する夜にはあたりが暗いため、何度も危険な目にあいながらやっとの思いで帰宅するのでした。健康な時でさえ一歩進むことを苦労した雪の日を思い出し、何故か胸がキューンとしてしまいました。
また、昔は自分の家前だけは雪かきをしたもので、近所の方も誰かが自分の家の前で転んで怪我をしては気の毒だ、と雪かきは家族総出の仕事になっていました。特に商店街のお店では、開店時間までに店前の雪かきをしてお客さまをお迎えるという商人魂を持ち合わせていました。それに引き替え、今回のテレビニュースでは、大手老舗店が店員総出で雪かきをし、お客様を迎える様子が映し出され、さすが老舗店!と取上げられている始末です。時代は変わってしまったのでしょうか。
視覚障害者になってから、日々いろんな危険を感じますが、雪はとりわけ最悪の障害物となります。普段の私は、白と黒の区別をして歩行していますが、積雪は全体が真っ白になり、どこまでが危険で、どこからが安全かの区別がつきません。その上、雪が白杖に当たるため、全てが危険信号となり、一歩も歩けない状態になってしまいます。今回、これまでの経験から路面凍結を避けるため、我家の周りだけ雪かきをしましたが、近隣には手をつけない方々も意外と多く見受けられました。道路を挟んで日中の日当たりがよい側の雪は解けるものの、家の影となる雪はこれから先暖かくなるまで根雪として残るのだから始末に悪い。雪かきをする家としない家とは、日常のお付き合いをしていると見えてくる家庭環境から、なんとなく分かるから不思議です。今朝も凍結した雪で自動車が空回りするエンジン音が聞こえてきました。雪かき効果の大切さをぜひ皆さんにも共感して頂きたいものです。
いつもの散歩コースの下見を家内に頼んでみましたが、車両進入禁止の歩道であるため雪解けが遅くなりそうで、しばらくは無理だろうと告げられたので残念です。雪国の視覚障害者の方は暖かい春になるまで外出しないことを思えば、それも贅沢な休養かもしれません。
「春よ来い 早く来い 散歩に出たいと待っている♪」
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