9月、10月には季節はずれの「暑い暑い!異常気象だ!!」で大騒ぎ。今年の冬は遅いだろうと勝手に予測していましたが、例年よりも早く、冬宣言の「木枯らし1号」が11月に入った途端、発表されました。春の宣言は「春一番」の風。なぜ春は「一番」で、冬は「1号」となるのか不明です。この日から暖かくなる、または寒くなる、と季節を区別して使っていながら、木枯らし1号については「東京」と「大阪」に吹いた風にのみ命名し、他の地方で吹く風は記録に値しないので、これもまた不思議です。
そして私自身、「木枯らし1号」の風に迷惑を感じていることがあります。一つは、この日から落ち始める枯葉です。特に大きな柏の葉は大変で、私の歩くすぐ目の前に落ちてきた時などは、突然障害物が現れたと感じて驚き立ち止まります。また、イチョウの葉のようにパラパラと雨が降るように落ちてくるものも、絶えず前方に神経を集中させて歩かなければならないので、苦労は絶えません。そしてアスファルトの路上に落ちた枯れ葉が突然の風に追いたてられ、風に巻かれて転げるように私の後方から前方へ一団となり、まるで「どけ、どけ、どけ」と大声で急かされているかのように追い越して行く情景は、これまで健常であった時には体験し得なかった異常な恐ろしさとして、落ち葉の音を感じるから不思議です。もう一つは自然に任せて吹き寄せ集められた落ち葉が、車道と歩道との区別を隠してしまうことです。風の悪戯で集められた落ち葉集団の模様に同じ形はなく、歪曲していたり直線だったりと気ままに作られているため、注意が必要で、これまた神経を使って歩くことになります。その上、歩道の鉄製マンホール蓋を覆い隠している濡れ落ち葉の上も、かなり滑りやすく、ヒヤッとします。本当に「木枯らし1号」が連れてきた沢山の落し物には苦労をしています。これまで葉っぱを付けていた小枝も、この日を境に木の枝が露わになり、棒状のトゲトゲした小枝に変わっていきます。この季節、弱視の私には確認しなくてはならない事が大幅に加算され、歩くたびに手、足、顔に直接当る物が多く、擦り傷が絶えません。
かつてロマンチックで静かな秋を称える代表曲として「枯葉」とか「セプテンバーソング」がありましたが、落ち葉を踏み踏み歩いた明治神宮銀杏並木通りが今や遠い思い出となりました。
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