毎年、私も年賀状を頂いております。
年賀状はパソコン派ですか?それとも手書き派ですか?14、5年前はパソコンで作成した年賀状がまだ珍しく、それが届くと何となく差し出し人が時代の先端を走っているように感じて、早速自分も年賀状作成ソフトを買い求め、得意になっていたものです。
最近は就職難が続いておりますが、就職活動や転職活動で企業に提出する履歴書や職務経歴書もパソコンで作成する傾向が一般化されており、提出もインターネットで送信されるなど、数多くの会社にアクションを起こすには効率の良い手段となっているようですね。これは、私の時代には想像もつかないことでした。すべての応募書類がワープロ作成での受け入れ不可で、手書きが常識とされていたからです。
本来、履歴書や職務経歴書は何のためにあるのでしょうか?
それは、通常最初に行われる書類選考で、その企業で働きたい、もしくは戦力になれる優秀な人材であると自分を採用官にアピールするためにあります。そのため、他の希望者より自分の方が採用に値する人材である、とプラス評価を得る内容でなくてはいけません。一方、それと同時に採用官は履歴書や職務経歴書が正しく書かれているかもチェックしています。前述のアピールが書類選考での2次審査であるなら、書式に則って正確に書かれているかをチェックする段階は、書類選考での1次審査といえます。必要事項を記入していなかったり、誤った記述がされた書類は、アピールポイントを読まれることなく却下されてしまいます。何枚もの履歴書や職務経歴書を手書きで正確に作成することは、非常に骨が折れ、時間のかかる作業です。そこで、あえて他の応募者と違う注意力と忍耐力に富んだ人材であることを強調する目的で、その手間を惜しまずに、心の通う文字で訴える手書き戦略にでる応募者もいるそうです。
年賀状にしてもパソコンで作ると、毎年ある程度決められた挨拶パターンとなり、印刷されただけの言葉には何か寂しいものがあります。ですから、私も視覚障害者になるまでは、年賀文例を印刷後、必ず宛名者への言葉を1、2行追記しておりました。翌年の年賀状には近況の言葉が追加されたお返事を頂くなど、一年に一度ではありますが、友との交流深まるやり取りとなっておりました。しかし、障害を持ってからは正確に効率良く作成するため、パソコンでプリントしただけのものを送付するようになったところ、受取人からも義理的だと受け止められたのか、翌年はコメントなしの賀状になってしまいました…。
いくらパソコンで心をこめた文章のお便りを作成しても、ひとたび印刷してしまえば、ただの無機質な年賀状となり、私の心は通じていないことを知ったのです。そのため、2、3年前からは下手な文字ではありますが「げ・ん・き・に・し・て・が・ん・ば・っ・て・お・り・ま・す」と手書きで追記することにしました。これまでと比べて送ることのできる枚数は減りましたが、今でも賀状の交流が残っているお友達は、私のわがままを許し受け入れてくれる心から通じ合える人達です。
このようにパソコン主流の風潮から、時代は繰り返され、今また手書きを求める人が少しずつ増えているようですが、皆さんにとっても私たち障害者(障害の程度にもよりますが)にとっても、パソコンほど便利な情報収集手段はないでしょうし、コミニケーションツールとしてパソコンを利用することで救われている人が多数いることも忘れてはいけないと思います。私はこれからも先端をいくパソコンと心通わせる手書きとを上手に使っていきたいなと思います。皆様にも、今年3・11にありました震災への見舞いの言葉や感謝の言葉が手書きで一行書き込みされた賀状が届いていることでしょう。
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