ガイドヘルパー養成研修を受講中の皆さんに「視覚障害者が生活するのに助かっている、と思う物には何がありますか?」と質問をすると「分らない・・・」と答える人が多い。
実際には、健常者の方も見たり聞いたりしているのですが、それを改めて聞かれると、普段の生活で不便さを感じていないので、パッとは浮かんでこないのでしょう。横断歩道の信号待ちで「青」に変わると同時に「ピヨピヨ」と小鳥の鳴き声が聞こえてきます。これは、視覚障害者に信号が「青」で「横断許可」であることを知らせています。「カッコ カッコ」と鳴くのは十字路の交差点で、もう一方の「横断許可」を区別して知らせているのです。ご興味のある方は、(有楽町銀座など)スクランブル交差点ではどんな鳴き声がするのかを注意して聞いてみて下さい。
さて、お次は電車から下りてホームを歩いているとします。そこへ「ピン ポーン」と音がする。これは「階段がありますよ」又は「改札口方向はこちらですよ」ということを知らせてくれています。この音は、地下道を歩いている時にも聞こえてきます。その場合は「ここから階段です」というわけです。つまり、「この先に何かがありますので要注意」ということを知らせている音と考えて良いでしょう。
皆さん、最近の点字ブロックは街の美化デザインで、黄色だけでなく他の色にしている場所もあることをご存知ですか?この点字ブロックも実は使用目的を考えずに設置されているような街もあるし、市町村で勝手なデザインを使用されていた時期もありましたが、最近は全国的に統一されつつあるのがとても嬉しいです。特に、駅ホームの「白線までおさがり下さい!(視覚障害者には見えません)」のアナウンスが「黄色い線(点字ブロック)までおさがり下さい!」と変わり、有効利用されていることが事故防止にもつながっています。駅ホーム階段などの手すりにも、改札方向を示す点字が打たれていますが、何を隠そう、私は点字が読めないので利用しておりません。
もっと身近なところでは、紙幣も新しいデザインに変わり、一万円札の左右下には「L」、五千円札の左右下には「(ほぼ丸に近い)八角形」、千円札の左右下に「―(横棒)」がそれぞれ少し盛り上がった印刷方法でかたどられています。では、硬貨はどうでしょうか?五百円は他のコインよりずば抜けて大きい。百円と十円はほぼ同じサイズですが、百円には周囲にギザギザがあり十円にはないですね。
五十円と五円は真中に穴がありますが、やはり五十円には周囲にギザギザがあり、五円玉にはないので区別できます。それから、1円はアルミなので、手触りで区別しています。
また、牛乳の1リットルパックには切り口が入れてあり、注ぎ口も区別できることに皆さんは気付いていますか?その他の飲み物もぜひそのようにしてもらうとありがたいのですが、種類も多く、各社統一ではないのでまだまだ問題が残されています。切り口が付いているものには、他にもテレホンカード、メトロやオレンジカードがあります。以前はよく利用していたテレホンカードですが、最近は携帯電話が普及しているためほとんど使用していませんし、JRやメトロ、バス路線とも統一して使用できる「PASMO」や「SUICA」が出てからは、他のカードも姿を消しつつあります。
なんと言っても、昔のカードは機械に入れる方向を間違えるとエラーで使用できなかったのが、最近はタッチするだけで簡単に通過でき、視覚障害者にも優しい環境づくりが整いつつあり、その点便もよくなっております。ちなみに、「PASMO」にも切り口があり、左下にすると表面になるのですよ。
その他、シャンプーとリンスが同じデザインボトルであるため、眼が不自由になってから、シャンプー中に見分けがつかずに苦労していた時代もありましたが、最近、点字方式をまねてボトルにギザギザが浮彫りにされていることを知りました。どんどんユニバーサルデザイン商品が多くなることを私は願っています。
ここまで読んできて、「知らなかった」と答える人が非常識人なのではありません。これらを利用することなく日常生活が送れることこそ、健康の証明でもあります。中途視覚障害者になった私が、日々体験しながら一つ一つ覚えた事の一部で御座いますので、多少の間違いがありましたらごめんなさい。
皆さんも、ガイドヘルパーとしてご利用者さんと雑談している時にでも、先に述べたことをクイズとして使ってみてください。特に、中途失明利用者は持っている情報が少ないので、役に立つ&喜ばれること間違いなしだと思います!
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