夏の猛暑から解放された今の時期、外に出ると家の中とも気分が変わり、すがすがしい秋の風に空気もおいしく感じられるのではないでしょうか。とはいえ、急激に冷え込む日も増えてきたので、どうやら冬もすぐそこまでやってきているようです。
そんな季節の変化を感じられる時、ガイドヘルパーさんはただ黙って歩くのではなく、目に見える情景や家の周りの様子を話してあげると、利用者はより身近に季節を実感することができるでしょう。普段、あまり話をするのが好きではない利用者も、久しぶりに出かけると、どのように周りの景色や環境が変わったのか・・・など質問も出て、会話も弾みます。ただその際も、このまま話を続けてよいか、会話が負担になっていないかを利用者にたずね、様子をみながら話すことが大切です。
また、話題にはそれぞれ本人の好き嫌いがあるので、事前に趣味など聞いておくとよいでしょう。そうすれば、景色の話しをしながら趣味についても話題をふることができます。利用者側からしても、好きなことについては話しやすいはずです。特に女性の利用者の場合は、町を歩く人の服装やデザイン、今年の流行色などについての話しなどファッションの話題は興味深く耳を傾けてもらえると思います。
そして、歩きながら「何が好物か」「お昼は何を食べたいか」など、話題を広げていくと昼食のお店も選びやすく、楽しくなるのではないでしょうか。
もう一つ大切なことはトイレです。最近は障害者用トイレが多くありますが、それでも急にトイレを探すとなると大変です。歩く途中、途中で、トイレを見つけた時はなるべく‘この先にはあまりトイレがないかもしれない’ということを念頭に置き、「お手洗いは大丈夫ですか?」と利用をすすめるようにしましょう。それでも、突然!の場合は、近くのコンビニかガソリンスタンドなどにお願いすると、利用できることを覚えておくと役立ちます。
実際歩行するときは、ガイドヘルパーさんはなるべく車道側を歩いて介助するのが望ましいのですが、利用者の利き腕がどちらかによって、白い杖を持つ手が異なるため必ずしも車道側になるとは限りません。最近は歩道にも点字ブロックが設備されていることが多くなりました。出来るだけ利用すると良いでしょう。
点字ブロックは、視覚障害者の優先を与えられた道(エリア)なので、正面から歩いてくる人と突き当たることがないからです。点字ブロックの真ん中に自転車や看板などの障害物が置いてある時は、「前方に危険物がある」とそのまま説明すると、利用者が不安を抱きますので、現状のすべてを説明してしまうのではなく、危険物を事前に避けるようガイドヘルパー側が誘導するのがコツです。
信号のある交差点では「今は赤ですよ」とか「黄色に変わりましたよ」などと時間の経過が分かる話をしてあげると親切です。なぜなら、大きな交差点など場所によって信号の間隔が長い時があるためです。道路と歩道の段差は最近低くなりましたが、それでも交差点を渡るときには「ここから車道ですよ」と声かけをすることで、利用者も危険地帯を自覚し、注意して横断することができます。特にタクシーから降りた時など、車道と歩道の間はかなりの段差があるので歩道に上がるまでは要注意です。
それから、商店街を歩いていると、お店の日を遮るテントが出ていることがあります。ただ単に左右と下だけを注意して歩いていると、テントに頭をぶつけることもありますので、商店街を歩く時には左右、上下と全方向に注意することが大切です。道の狭い商店街を歩く時は、ガイドヘルパーが先頭で歩く、基本歩行姿勢(第4回コラム参照)の応用を是非ためしてみると良いでしょう。ちょうど園児達が遊ぶ時のような「汽車ポッポ」スタイルになるのですが、混雑する街中を歩く時は一番安全な介助歩行だと気がつくはずです。
さぁー、さぁー、外の空気をいっぱい吸い込んで、秋の一日を楽しんで下さい!
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