介護の仕事との出会い
友人の話を聞いてビビッ!と。翌日には講座に申し込んでいました。
明るくて快活、サバサバとした女性という印象の山田さん。身のこなしが軽快です。
訪問バッグは両手が空く斜め掛けを愛用。猿とベアのチャームはご利用者さんと話すきっかけに一役買うことも。
-山田さんが介護職に就いたきっかけは?
友人から「介護に詳しい人が身内に1人でもいればよかったな」と話を聞いたのがきっかけです。その友人は認知症のおばあちゃんを近所に住む家族が交代交代で面倒を見ていて「最初はうまくいっていても『誰がやった、やらない』で揉め事が増えて、苦労している」と話してくれました。「知識ある人が1人でもいれば、もっとスムーズにいったかもしれないのに」って。
たわいない世間話の延長だったと思うのですが、私はその話を聞いて『ビビッ!』ときたんですよね。その日のうちに両親や家族に「介護の勉強がしたいのだけれどいい?」と相談して、次の日にはヘルパー2級の講座に申し込んでいました。
バッグの中身に靴下発見! 汚れたらすぐに履き替えられるよう常備。
-すごい行動力! その話を聞いただけで「やりたい」気持ちが募ったわけですものね。
そうですね。私も主人もここ小岩が地元で、家族皆周囲に住んでいるので、友人の話は決して他人事じゃなく、自分が当事者になる可能性もあるわけで…。身内で介護が必要になった時、少しでも役に立てたらいいなという思いがあったのと、慎重派の私が突っ走れるほど、直観的に「これだ!」と思える“何か”がその時感じられたからでしょうね。
訪問は自転車メイン。細路地が多く、小回りがきく自転車が一番なのだとか。
-講座を受講して、いざ勉強を開始してどうでした?
授業が面白くて仕方なかったです。生活の中にあるものを使ってケアする方法を教えてくださる先生で。ケリーパッド1つ作るにしても、既存のものを買うのではなく、ゴミ袋のなかにタオルを入れて作る、とか。お金をかけなくても工夫とアイディア次第でこんなに色々なことができるんだと興味津々でした。
事務所はビルの2F。駅から線路沿いに歩いてすぐの場所。
-だいぶ実践に近い、実益ある授業内容だったようですね。
本当にそうでしたね。講座を受けて家に帰ればすぐ出来る。それが毎回驚きでした。元看護師で訪問看護をされていた方が先生だったので、医療知識も豊富、かつ学ぶことも多く、あっという間に講座期間が過ぎていきましたね。
正面口とは別の通用口。事務所を出て階段を降りたらすぐ外に出られます。
-資格取得後はすぐにでも働きたいと?
はい。子どもがまだ小さかったので1日拘束の職場は選べず、「週に1回3時間からOK」というような求人を見つけて、まずはここからと大手の訪問事業所で働き始めました。でも、会社が大きいと末端までなかなか仕事がまわって来ず…。新人だから重度の所には行かせられないので余計にですよね。仕事量が少ないことに物足りなさを感じるようになり、掛け持ちするために他を探して面接に行ったのがここ『(有)菜の花 江戸川』です。
面接で「明日からできる?」と聞かれ、すぐに採用いただきました。介護の仕事がやりたくてやりたくウズウズしていたので、内心「やったー!」って(笑)。そして働いて数か月、『(有)菜の花 江戸川』の管理者や所長の『ご利用者さん中心に物事を考える』という考え方にすごく共感できたこと、そして、ヘルパー1人1人としっかり向き合ってくれる職場だと実感できたことから、こちら1本に絞って働くことにしました。
管理者の深澤さんと山田さん。菜の花カラーの黄色いポロシャツTが笑顔に映えます。
-『しっかり向き合ってくれる』とは、例えばどんな場面でそう感じました?
「こうだからこうして」と四角四面に言うのではなく「あなたはどう思う?」と上司が必ず聞いてくれます。「任されている」意識が高まって、すごくやる気が出るんですよ。ダメな時にはなぜダメなのか、根拠をきちんと説明してくださるので、すぐに納得できますし。迷いや戸惑いもすぐ解消できました。事業所が立ち上がって1年目ぐらいでの雇用でしたが、ご利用者さんの話はもちろん、登録ヘルパーを大事にする環境が当初から整っている事業所でした。
ミーティングルームにかかっている福澤心訓。『世の中で一番美しく立派な事は一生涯を貫く仕事を持つ事である…』に始まり、心に響く言葉がズラリ。
-山田さんはそれから『(有)菜の花 江戸川』で勤務歴11年ですものね。
あっという間の11年です。「このまま続けて、気づいたらここのご利用者さんになっているかも?」なんて社員同士でよく話しています(笑)。
比較的自由に働かせてもらえるなかで、社員それぞれがお琴の弦みたいだなと思うことがよくあります。個々の張り具合が違うからこそ、いい音楽が奏でられるのだと。同じ仕事をしていても、考え方や方法も皆違いますから。でもその個性が上手に活かされているのが『菜の花』らしさであり、楽しく仕事ができている根本かなと思います。