介護の道に進んだきっかけ
どの仕事も最初は分からないことだらけ。まずは目の前のことを一生懸命に。
正面玄関はスライド式の自動ドア。ガラス張りで、なかの雰囲気も見える。
―津森さんが介護に興味を持ったきっかけは?
母が歳の離れた兄弟の介護を前提に、ヘルパー2級の資格を取得すると言い出したのがきっかけです。どの講習がいいかを検討するなかで、知り合いが今私が働く『永楽福祉会』の養成講座受講生募集を教えてくれて。でもその後、事情が二転三転し、母は講座を受けず、私が受講することになりました。
靴箱にはスタッフ手作りのネームプレートが。果物モチーフなど色々あって、見た目も楽しい。
―津森さん自身も介護に興味があった、ということですか?
『永楽福祉会』が家から近くて通いやすいということと、祖母と同居だったので、資格を持っていれば後々役に立つかな、ぐらいの軽い気持ちです。その時は、自分が介護を仕事にすることは全く考えていませんでした。
小規模多機能型居宅介護を支える職員。左から主任の中峯さん、管理者の津森さん、スタッフの廣田さん。
―では最初は、何となく…からのスタートだったのですね。受講されてみて介護と向き合った印象は?
わりと「すんなり」でした。でも、講義で受けた印象と仕事にした時の感覚は違うでしょうし、排泄介助とか色々なことを抵抗なくできるかな? という風には考えましたね。「すんなり」が「楽しい」になるのか、それとも、「これって大変、難しい」という気持ちになるかは、講義だけでは量りかねる自分がいて…。
広々とした事業所内。ご利用者さんの食事が調度終わったところ。
―やはりやってみなければ分からない、ということですよね。その後、どういう経緯で介護職に?
資格取得後、そのまま『永楽福祉会』のヘルパー登録ができたので、とりあえず、と言う気持ちで登録しました。そこから数か月経ってからでしょうか。私には3人子供がいるのですが、調度下の子が小学校に入り、仕事を始めようかなと考えていた時期に、ヘルパーステーションから「ヘルパーをしませんか?」というお誘いのお電話があり、「お願いします」と始めたのが最初です。初期は週に2、3回、だんだんと回数が増えていって…という感じです。
泊まりの部屋は広々としていてキレイ。窓からは日光が差し込み、日中は明るい。
―講座では「すんなり」受け入れられたとのこでしたが、実際働かれてみてどうでしたか?
それがこちらも「すんなり」でした。仕事が合わないな、とかは全くなくて。どの仕事も最初は分からないことだらけじゃないですか。だからひたすら一生懸命に、です。
カメラを向けるとにこやかにピースをしてくれたご利用者さん。
―不安などはなかったのですか?
もちろんありましたよ。特に1回目の訪問では、不安だし、ものすごく緊張していました。でも、その時同行してくださった先輩に「不安はご利用者さんに伝わる。利用者さんにとって、ベテランも新米も同じヘルパーには変わりはないのだから、自信を持っていきなさい」と言われたんです。『あなたが不安にしていたら、ご利用者さんはもっと不安になるよ』と。今でもよく思い返す忘れられない言葉です。
―津森さんを奮い立たせる言葉として今でも強く心に残っている、ということなのでしょうね。では、ヘルパーを続けていくなかで苦労された点って何かありますか?
ヘルパーは、介護技術が全てではなく、コミュニケーション能力や色々な要素が必要だと思います。実は私、元々対人関係が苦手で…(苦笑)。その点はだいぶ苦労しました。ヘルパー研修中、講師の方から「たくさんの引き出しを持ちなさい」というアドバイスをいただいて、それは常に意識していました。野球好きなご利用者さんであれば、朝新聞で勝敗をチェックしたり。そういう情報を常に仕入れて、時と場合に合わせてうまく出していくことも学びました。