介護の仕事。老健から訪問へ
人と深く関われる仕事に就きたいと思いました。
会社の創業者である現会長のご自宅を改装したという事務所。
事務所のドアがある扉までは、ゆるやかなスロープに。
―叶内さんが介護職に就いたきっかけは?
以前は一般事務や軽作業の仕事をしていましたが、当時から親の介護をしながらの生活だったこともあり、「人と関わる仕事がしたいな」と思うようになりました。学生の頃憧れていた職業『看護師』に対する想いもずっとあったりで、転職を真剣に考えるようになりました。といっても、看護師はすぐなれる職業でもないですし、家庭の事情もあって、当初から諦めてもいて…。そんななか「人の役に立てる職業は何かな」と考えた時、自分にとって身近な存在であった『介護』の仕事はどうだろうとヘルパー2級の資格を取ったのがこの仕事に就くきっかけです。
「どうぞ」と出迎えてくれた叶内さん。誰かのお家に遊びにきたような温かい雰囲気も。
―ということは、当初から資格取得した後は介護職で働こうと?
そうですね。それが前提だったので仕事も辞めて、アルバイトをしながら通信制で資格を取りました。半年ぐらいで資格を取り、その後老健に就職しました。
ヘルパーステーション。皆近い距離感で、あちこち会話が飛び交う活気のある職場。
―実際働いてみて、どんな印象でしたか?
1フロアに50人ほどのご利用者さんがいて、朝の起床介助から、おむつ交換、食事介助、入浴介助とフル回転の日々でした。ゆっくりご利用者さんと会話する余裕もなく、機械的にお世話をするといった印象です。本当に体力勝負な現場でした。
机の周りには資料や報告書のファイルがたくさん。
―そもそも最初の職場に老健を選ばれたのはなぜですか?
施設であればその場にいる方達と協力しながら仕事を進められるけれど、訪問だと1対1。その分責任も重いですし。家事や掃除を満足にできる自信もその頃の自分にはなく、最初働くなら施設がいいかなと。
壁に貼られた社員の予定表。共有事項はみんなが見やすい場所に。
―でもその後、訪問の仕事に転職されていますよね?
そうなんですよね。ご利用者さんとコミュニケーションが十分にとれないのが辛くもあって。人と関わる仕事がしたいと思って転職したのに、ちょっと違うな…と。1年ぐらい経って自分の経験値も増えてきた頃、より人と深く関われそうな『訪問』に興味が湧いたんです。そんな折、在宅経験のある仕事仲間からも「やってみたら結構楽しかったよ」という話も聞いたりして。それが後押しになり、当初は尻込みした訪問介護でしたが、やってみようかな、と思い転職を決意しました。