介護の道に進んだきっかけ
祖父が回復していく過程を見て、自然と介護に興味が湧きました。
本間さんのオフィスはサ高住の1階に。同じビル内にご利用者さんがいらっしゃるため行き来もしやすい。
―本間さんが介護に興味を持ったきっかけは?
祖父の介護がきっかけです。両親と同居していた祖父が倒れ、目が離せない状況に。すでに実家から離れていた私も車で通える距離に住んでいたため、実家に頻繁に顔を出すようになりました。当初は介護というより、見舞う感じに近かったと思います。
玄関には靴を履きかえるロッカーが設置されている。座って準備できるようベンチも。
―その後どうして介護の資格を取ろうと?
まず一番は、母がヘルパーになったことです。それを機に祖父の介護が本格化しました。そうした流れを見ながら、私にも何かできることがないだろうかと色々考えまして。調度、介護保険制度が変わるタイミングでもあったので、介護しやすい家のリフォーム(バリアフリーにする)を調べて、導入したり。またその頃、実家にはヘルパーさん、訪問診療の先生やリハビリの先生、訪看さんといった介護に関わる人たちが頻繁に出入りもしていました。そうした光景を目の当たりにしながら、自然と介護に興味が湧いたんだと思います。祖父の介護に役立つなら、しっかり勉強してみようかなって。でもなかなか行動に移せず、実際資格を取ったのは介護が始まって2~3年経ってからでしたね。
入口には受付が。営業時間内は、常にスタッフもいて、万が一のフォローもばっちり。
―資格を取ったら、それを活かして仕事をしようと思われていましたか?
いえ。当初は祖父の介護に役立つならぐらいの気持ちでした。でも周囲の献身的な介護のおかげか、祖父が少しずつ回復していく姿を見て、介護の力ってすごいなあと思ったんですよね。当初は寝たきりだったのが、最終的には自分でトイレに行けていたので。
食堂に向かうため、上階から降りてきたご利用者さん。すかさず本間さんが「どうされました?」とお声がけ。
―ご本人の努力はもちろん、その気持ちを引き出し、支える周囲の力も大きいですものね。ではその過程を見て、介護の仕事に魅力を覚えたわけですね!? 資格を取られて、いざ働くとなった際、お母様の働かれている事業所に?
いえ、違います。あえて全然知らない場所に飛び込みました。デイサービスも考えたのですが、子供がまだ小さかったので長時間働くことが厳しく、短時間でOKの訪問からスタートしてみようと。その事業所には約4年ほどいました。
こちらは、食堂の一角。広々としていて、マッサージチェアも置かれている。
―身近な人を介護するのと、仕事にするのとではまた違うと思うのですが、実際働いてみてどんな印象を受けましたか?
祖父の場合、家庭環境や性格が分かったうえで接していましたが、仕事だと、相手のことをよく知らないまま介護するので、最初は怖かったです。その方の背景を知らないまま介護するってこんなにも違うのか……と実感しまして。さらに、私より何十年と多く生きて来られた方々なので、尊敬の念も忘れてはいけませんし、そうした今までの介護とは違うギャップをすごく感じましたね
―そうした怖さはどうやって解消を?
常にサ責に相談して、聞いてもらっていました。先輩ヘルパーもアドバイスをしてくださる方ばかりだったので、精神的にだいぶ助けられて。あとは、仕事を始めて1ヶ月目、初めての1人訪問でご利用者さんが亡くなられていた出来事があって。それを機に、この仕事をしていく覚悟を決めれたというか、腹をくくることができました。
―それはだいぶ衝撃的な出来事ですね。
仕事を始めて早々のことでしたから、余計にですよね。どう向き合ったらいいか分からず、しばらく頭が真っ白状態。立ち直るのにだいぶ時間もかかりました。でもその時も、先輩方が色々と話しをしてくださって『こういうことは今後もあり得ることなんだ』と自分なりに気付けたので、今こうして介護の仕事を続けているんだと思います。理解できたからこそ、その先に進めたんでしょうね。