3~4年目の壁は研修で乗り切れる
どんな仕事でもそうですが、勤めて3年ないし4年経つころに壁にぶつかります。職場での上司との関係に悩んだり、自分の立ち位置に疑問を抱いたり。介護職も同じです。特に訪問介護員の場合、単独で利用者さん宅に行って援助を行うわけですから、「自分のやり方は果たしてこれでいいのか?」と検証する機会も少なく、不安に駆られる人が多いのが現実です。 そんなときは研修に参加して、同じ悩みをもった人と話をしてみると解決のヒントが得られたりするものですが、実際に行く人は少なく、悩んだあげくに「この仕事は自分に合わない」と離職する人が後を断たないのは大変に残念なことです。
自腹を切って参加する覚悟があればスキルアップできる
研修に参加しないひとつの理由に、いつどこで、どんな研修が行われているかを知らないということがあります(表1)。現場の忙しさについ押し流されがちですが、情報誌を読んだり、先輩職員に質問したりといった情報収集はもちろん、ネットワークをもっと張りめぐらせることも大事でしょう。また介護職を養成する側も、積極的にこういった若い人たちにインフォメーションを発信する機会を増やしていかなければなりません。
もうひとつには、お金をかけて自分のスキルを磨こうという考え方がないケースです(表2)。私は学生たちによく、将来自分が仕事に就いたときに悩んだら初心に返って研修に行きなさい、自腹を切って元を取るという考え方をもっと持ちなさい、と勧めています。研修は受けてみないと良さはわかりません。まずは悩んだら参加してみることです。
意外に多い我流の援助、常に自己点検と再確認を
たとえ職場の先輩に相談しても、先輩は後輩と同じ目線では語れないし、悩みはすでにクリアしている立場なのでアドバイスにも温度差が生じるかもしれません。そこで研修に出かければ、同じ目線の人たちと出会って悩みを共有するよい機会にもなり、また、自分のスキルレベルを再確認したり、足りない部分を補うこともできるはずです。技術面や考え方の実践的なノウハウを学ぶことで自分のなかにすとんと落とし込めるものが見つかるはずです。
私は介護技術講習会の講師も務めていますが、参加者の多くは研修を受けて「目から鱗だった!」と口をそろえて言います。その多くがヘルパー歴の長いベテランですが、意外なことに我流でやってきた人が多く、実技にも普遍的な方法があるのを知らずにきたというのです。このように研修は自分自身を点検する、正しいと思ってきたことに落とし穴はないかを自己確認する場ともなっています。
受講の機会をつくり出す工夫も介護職としての成長プロセスに
恵まれた職場で定期的によい研修を受けられるラッキーな人もいるでしょうが、それはほんのひと握りです。新人のうちは外部の研修を受ける機会もありますが、何年か経つと実務に追われて研修を受ける発想すらなくなります。いまの自分はまずいな、と感じたときに上司に「研修に行かせてください」と直談判するくらいの勇気をもちましょう。前述の介護技術研修や介護職員基礎研修など、職員が受けることで事業所のメリットとなる研修もあります。それらをうまく利用して自己研鑽の機会を自らつくり出す積極的姿勢もときには必要です。