サ責という仕事とこれから
解決の糸口は話すこと! 現場に入るヘルパーさん達の情報は宝の宝庫。
資料確認後に訪問へ行くスタッフさん。慌ただしい合間にもお喋りが弾み、この笑顔です。
-サ責になられたのはいつですか?
4年前です。最初はおっかなびっくりで。でもやりがいの方が大きかったです。
壁に貼られた紙に情報が盛り沢山。確認事項はここを見れば大抵OKと山田さん。
-そう思えたのはどうしてですか?
解決の糸口が必ずどこかにある、と分かったからでしょうか。登録ヘルパーだった頃、困ったことがあっても逃げ道がいっぱいあって。サ責に相談すればいいや、とかあまり深く考えていなかったですよね。でも今は自分が解決しなければいけない立場なので、色々と考えを巡らせています。すぐに答えはでなくても、『絶対どこかに道があるから、一緒に考えましょう』と自信を持って言えるまでになりました。
事業所内。光が全面に入るので明るい空間。手前は訪問、奥に居宅もあります。
-解決の糸口はどう見つけ出すのですか?
じっと考えるよりは、何か別のことをしながら考えます。あとは、とにかく話すこと! 話し合いです。スタッフのアイディアほど宝の宝庫はなくて、現場に入っていたヘルパーが事業所に来ていたりすると「ねぇねぇ」と声をかけて、それはもう根掘り葉掘り…(笑)。私に限らずスタッフ全員がそんな感じですね。よく喋る職場ですよ~。個性が活きるケアと先程話しましたが、ヘルパーそれぞれが見る目線も違うので、聞き出せる情報も個々に違います。それが貴重で、収集していくうちに何らかの糸口に繋がることが多いですね。
管理者が夜な夜な作り上げる大作スケジュール。誰がいつどこにいるか、すぐ分かる!
-では、ヘルパーの育成面ではどうですか?
まずはこの仕事の良さ、人と人とのコミュニケーションの楽しさを理解してもらうことが先決です。そして1人でもやっていける、と思えるまでは全力で守ります。その後は、羽ばたけ~ってポーンと背中を押す感じでしょうか。
シフト希望の紙もいつでも取れるよう壁に。1ヵ月分を提出するシステム。
-最初は全力で守るのですね。
はい。私も過去たくさん先輩方に守っていただいたので、自分も…という気持ちが強いです。うちのヘルパーは技術面ではきちっとできている人がほとんどなので、その点は心配していません。ただご利用者さんとの相性はどうしてもあるので、適材適所人材配置するために、ヘルパーの性格をしっかり把握することが大切だと思っています。
このご利用者さんにはこのヘルパーさんに行ってもらいたいから、この時間で訪問が可能かご利用者さんに交渉してみよう、ぐらいのスタンスで動いているので、個々のヘルパー情報は常に頭に入れるようにしています。
訪問帰りのスタッフさんをキャッチ……↓
-スケジュール作りはどうされていますか?
うちはサ責が作るのではなく、管理者が一括して作っています。1ヵ月分を壁にバッと貼り出すのですが、これを見れば、誰がいつ、どこで、働いているか、一目で分かるという優れものです。
そこに出くわした山田さん。何やら楽しい会話が繰り広げられていました。爆笑し合うこともしばしばのよう。
-まさか全員分をお1人で!?
そうなんですよ。これ本当にすごいですから。登録ヘルパーの勤務希望を毎月回収して一晩かけて作るのですが、出来上がった後は、社員の私達が「ここは~あそこは~」と言って色々修正も入りつつ、ようやく完成するという。このスケジュールのおかげで、助け合いの精神も自然と生まれていると思います。
「ここパンパンだね。私、手伝おうか?」といった相手の動きが見えるからこその声かけがあって、相手を気遣う気持ちも皆人一倍強いので、いかに察して、手を差し伸べるか、それが自然とできている職場だなと常々感じています。
-ステキな職場ですね。
はい。
-最後に今後の抱負など何かありますか?
当初はこんなに介護の仕事を続けるつもりじゃありませんでした。家族のために何か役立つ程度の知識や経験が得られれば…くらいだったので。でもやればやるほど気持ちは変わり、今はこの仕事で得たことを実生活に役立てていきたいという気持ちが強くなりました。
私にとって介護とは、山登りをする方がよく答える『なんで山を登るの? そこに山があるから』という感覚ととても似ています。どうして介護? なぜこの仕事? と考えるまでもなく、この仕事を続けていることが私にとってはごく自然なことのように感じます。
『ビビッ!』と運命を感じたあの時に、私はきっと介護という最高のプレゼントをもらったんだなってよく思います。こんなステキなプレゼントをあげたんだから、頑張ってよね、と背中を押されているようで。だからここ『菜の花』で、多くの方と触れ合いながら、この先もずっと楽しく介護の仕事をし続けていきたいですね。
編集後記
「活気があって明るい職場。みんな喋ってばかり」と山田さんが紹介するように、初めて訪れた私にもその空気感が瞬時に伝わる、とにかく明るくて元気な職場でした。駅チカビルの2Fにオフィスがあり、ガラス張りからこぼれる光はとっても朗らかで、スタッフ皆さんの笑顔をより一層輝かせているようにも見えて、こちらまで温かい気持ちに。
山田さんは介護歴11年とベテランながら、フレッシュさも感じさせる魅力あふれる方です。山登りのエピソードに象徴されるように、介護という仕事ときっと運命的な出会いを果たしたのだろう…と感じられるエピソードの数々。目をキラキラしながら話してくださるお話はどれも興味深く、仕事への想いに溢れていたように思います。こうした想いある方達が介護業界で多く働いているという事実を知ることが、世間一般の目線としても、とても大事なことのように感じます。
今回、取材にご協力いただいた山田貴恵さんをはじめ、有限会社 菜の花 江戸川』の職員の皆さまには心からお礼を申し上げます。
「へるぱ!」運営委員会一同