介護の仕事を続ける理由
「ありがとう」とご利用者さんに言われると、「やってて良かった」と思います。
事業所前には色とりどり植木鉢が並び、来客の目を楽しませてくれます。
―介護の仕事を始めたきっかけは、看護師をされていたお母様からの勧めと伺いましたが?
そうです。母親は自分と同じ看護師になって欲しかったみたいなのですが、私は血が苦手で…。だったら介護はどう?と母に勧められて、軽いノリでヘルパー2級の資格を取ったのがそもそものきっかけです。
玄関には、ご利用者さんが手作りした木更津のマスコットキャラクター「きさポン」のタペストリーが。
―お母様はなぜ土岐さんに介護を勧めたのでしょう?
安定的な収入が得られるという点で、ではないですかね。この業界は手に職なので、将来的に見ても長く仕事を続けられますし。
自ら現場に出てバリバリ仕事をこなす社長の奥様(中央の方)。土岐さんが尊敬する一人。
―なるほど。資格を取られた後はすぐに介護のお仕事に?
はい。スクールに通っていた時、特に仕事につなげよう、という意識はありませんでした。でも、授業や実習は苦じゃなくて、むしろ楽しかった。だから仕事をしてみてもいいかな、と思えたんです。そこで訪問で募集をかけていた、ここ『介護センター たんぽぽ』に応募して、採用いただき、働きはじめた、という経緯です。
ご利用者さんと楽しく挨拶を交わす土岐さん。お二人ともご覧のとおりの笑顔!
―最初に訪問を希望された理由は?
実は大勢のなかで行動を共にするのが得意ではなくて…(苦笑)。やるなら訪問だ、という思いは当初からありました。
一階には、デイの滞在時間に受けられる、機能回復訓練コースのリハビリ器具が並ぶ。
―で、実際働かれてみてどうでした?
みんなが訪問を嫌がる理由が分かるな、って(苦笑)。始めた当初は、「臭い・汚い」という印象が拭えなかったですね。よく一般の方が介護職に抱かれるイメージと同じです。でも決して、それだけじゃない喜びややりがいがあるからこそ、こうしてこの仕事を続けられているわけですが、やはりキレイごとだけではない大変さがあるな、と。
健康器具をつけて、思い思いの時間を過ごすご利用者さん。
―それはとても正直な感想ですね。他に大変だな、と感じられたことってなんでしょう?
重度のご利用者さんが多いのですが、体が動かない分、というわけではないかもしれませんが、口が達者な方が多くて。ケア中に色々言われることに対して、どう対応していくか、それにはすごく苦労しました。精神的にダメージを受けることもありましたが、今では利用者さんのお気持ちを受け止めることも少しずつでき、また自分の気持ちもコントロールできるようになってきました。
ご利用者さんに、作業療法士の資格を持つ社長自らマッサージの施術をすることも。
―そんな風に辛いことがあっても、この仕事を続けてきた理由ってなんでしょう?
一番はご利用者さんから言われる「ありがとう」という言葉。「やっててよかった~」って思える瞬間です。少しでもその方の力添えになれたのかな、って。それに辛いと思うことはあっても、辞めたいと思ったことは不思議とありません。割と飽きっぽい性格の自分が、辞めたいと思わないのは『天職だからかな』なんて、今では思うんですよ。