キッカケは実習先で見た「笑顔」でした

▲真剣な表情で先輩の話を聞く森さん
―森さんは新卒採用でこちらに就職したそうですが、それはよくあることなんですか?
森さん:いいえ。NPOに新卒者が就職するのは珍しいことなんだそうです。新卒者は施設へ就職することが多いからなんでしょうね。
―なぜ、施設には就職しなかったんですか?
森さん:大学生の頃、実習で施設に行ったんですが、私向きじゃないなって感じたんです。施設という閉鎖的な空間の中で過ごすより、外との接点の多い仕事のほうが向いているんじゃないかなって。それで今の職場に就職したんです。
―大学でも福祉の勉強をなさっていたそうですね。
森さん:ええ、そうです。私の場合、全てが自然な流れだったように思います。

▲打ち合わせをする森さん
―というと?
森さん:子どもの頃、私は地域の子ども会に参加していました。小学校低学年のときは、子ども会でお世話をされる側だったんですが、成長と共に、いつの間にかお世話する側、スタッフ側になっていたんです。そこで10年ほど地域の福祉やコミュニケーションというものに触れました。社会福祉に興味を持った私は大学で福祉関係を専攻。勉強を進めていく中で、徐々に介護の世界にも興味を持つようになりました。だから、子供の頃から介護業界で働こうと思っていたわけではないんです。
―では介護業界に入ろうと思ったキッカケは何だったのですか?
森さん:大学時の実習先で見た「笑顔」です。働いている方々がみんな笑顔だったんですよ。大変なこともあるはずなのに、不機嫌な顔で仕事をしている方がいなかった。その時、1日中笑顔を絶やさずに過ごせるって凄いなって、純粋に感動しましたね。それと同時に、楽しそうだなとも思ったんです。「私もこんな風に楽しみながら仕事をしたいな」って。それで介護の世界に入ろうと決めました。
―笑顔に敵うものはない、ということですかね。
森さん:ホント、その通りです(笑)。
いきなり「サービス提供責任者」になっちゃったんです

▲栄養バランスを考慮した配食サービスのお弁当
―デイケア施設の横に、年輪ヘルパーステーションは併設されているんですね。
森さん:そうなんですよ。1階ではデイサービス、ヘルパー派遣、ケアプランの作成のほか、委託弁当など配食サービスも行っています。ここの上の階には認知症対応型のグループホームがありますが、今年の4月まで私はそこにいました。だから、訪問介護の経験はまだ少ないんです。
―そうなんですね。
森さん:だけど、グループホームから移動してきたと同時に、サービス提供責任者になっちゃったんです。

▲天然木の香り漂う事業所内
―突然、「なっちゃった」んですか?
森さん:そうです、なっちゃったんですよ(笑)。だから最初は、サービス提供責任者がどんな仕事をするのかも知りませんでした。
―いきなりサービス提供責任者になっちゃって、大変だったでしょう?
森さん:私には訪問介護の経験なんて全くありませんでしたからね。最初の頃は何をすればいいのか、何をする仕事なのかもさっぱり分からなくて、戸惑ってばかりでした。ただただ、大変だなって思うばかりで。最近になってようやく少し仕事の流れが見えてきたところですが、まだまだ勉強中。仕事の内容に合わせてスムーズにスイッチを切り替えられるようにならなきゃなって思っているところです。
―それはどういうことですか?
森さん:訪問介護の場合、利用者さんの数だけサービスの数があると言っても過言ではありません。だから利用者さんごとに関係を築き、より良いサービスを提供していかなくてはなりません。それだけでも大変なことですが、サービス提供責任者には事務的な仕事も沢山あります。訪問先から戻ったら、デスクに連絡用の書類がどっさり、なんてことも結構あるんです。
訪問介護が終わったら、今度は事務作業。その次は連続2件の訪問介護なんて具合に1日が流れていきますからね、サービス提供責任者には各仕事専用の切り替えスイッチをいくつも持っておかなきゃいけない気がします。でも私はそんなに器用じゃない。だから時々混乱して、今何をやるべきかが分からなくなってしまうこともあるんですよ。
―大変そうですね。
確かに大変です。でも、大変だと思えば何でも大変で、楽しいと思えば何でも楽しいんですよね。これ、利用者さんに教わりました。本当にその通りだなって思います。大変な中にも、自分なりの楽しみが必ずあるはず。それを見つけようとするかどうかは自分次第。楽しみを見つけられれば、苦しくて大変で辛い仕事だって途端に楽しくなる。そんなもんなんだろうなって思います。

▲細切れの時間をうまく使ってランチタイムを楽しむ森さん
―前のグループホームでの経験を生かしつつ、今の仕事を楽しんでいるってことですか?
森さん:正直なところ、今はまだ仕事を楽しむ余裕なんてありません(笑)。だけど、自分の仕事の中にささやかな楽しみをちゃんと見つけたいですね。
訪問であってもグループホームであっても基本は同じで、「介護」というものは、支援を必要としている方に対して必要なだけの支援をするってことだと思うんですね。グループホームでは起床から就寝まで、必要であれば就寝後もサポートをします。例えるなら、フルコースです。一方の訪問介護は、フルコース中の単品をいくつか組み合わせたオリジナルメニュー。ご利用者さんの求めるサービスを、必要に応じて提供するスタイルに変わっただけなんですよね。だから、グループホームでの経験は今の仕事にとても役立っています。これまでの経験があるから、今こうして訪問介護に携わることができるんだって思っています。



