ご利用者さんから教わったこと
その方が何を大切に生きてこられたのか、過去を知る大切さを学びました。
スタッフを見かけるとすかさずに声をかける山田さん。ちょっとした会話も大切に
自転車訪問なので、日焼け対策は皆さんばっちり。サンバイザー率が高い!
-ご利用者さんとのエピソードを聞かせてください。訪問現場で苦労した点って何かありますか?
気持ちの切り替えには苦労しました。訪問の仕事って1日に何軒も行くので、その度にそのご利用者さんに見合う自分を少なからず演じる必要性があって。そこは慣れるまで大変でした。
オフィス内に摘まれた段ボールの中身はゴム手袋。訪問の必需品なのでストックは多めに。
-ご利用者さん1人1人違いますものね。
日によっても違いますよ。「あっ! 今日はこの接し方じゃダメなんだ…」なんて、しょっちゅうです。ご利用者さん側も自分をつくられていたりして、しばらく年月が経ってから、「実はこう思っていた」なんて言われることもしばしば。勘違いをしたままケアに入っていた、本心に気付けなかった、という失敗はよくあります。
山田さんのお仕事風景。電話対応も多いのがサ責ならでは。
-それでも前向きに受け止めて?
そうですね。お給料をもらっているから仕事ではあるのだけれど、私自身は人生勉強だと思っている部分も多分にあって。解決しづらい問題にぶち当たると、「これって私をレベルアップしてくれる課題かも!?」なんて前向きに捉えるようにしています(笑)。何事も勉強ですから。
山田さんデスクに近づくと! 嵐の大野くんが見つめてきます(笑)。事業所内公認の大ファンだそう。
通用口に繋がる階段。さりげなく、菜の花が飾られています。
-ご利用者さんで印象に残っている方っていらっしゃいますか?
私と関わったご利用者さん、みんな“運命の出会い”と感じていたりもするのですが…。でも、それまでの私の考え方が変わったきっかけを作った男性のご利用者さんのことは特に印象的ですね。
その方、いつ行っても不機嫌で、ちょっとしたミスでも怒るので、訪問に入るヘルパー全員が毎回びくびだったんですよ。でもある日突然、私がケアに入ったら大粒の涙をこぼして号泣されて。話を聞けば、私と同世代の娘さんをその歳頃で亡くされたそうで、私達ヘルパーを見ては娘のことを思い出し、色々想いが巡ってしまっていた…と言うのです。単に機嫌が悪いと思っていたら原因は別の所にあったわけです。
ヘルパーって、こんなにも人のデリケートな部分に踏み込む職業なんだ、と改めて思い知った出来事でした。無神経なことはできないなって。その方が何を大事にして生きてこられたか、過去にはどんなことがあったのか、今現在だけではなく、過去を知る大切さを学びました。その方の歩んでこられた生活史みたいなものは、とても大事な情報源なんですよね。