サ責として、はぁもにぃの今後を想って
お互いに妥協せず話し合いながら進めていくことでいい仕事ができるのだと思います。
野尻さんのデスク。スノードームやファイルケースなど所々にホッコリグッズが。
―『はぁもにぃ』は今年で15周年ということですが、今までどんな変化がありましたか?
最初の5年は、サ責の仕事が訪問業務に追い付かず必死。そして次の5年はご利用者さんの記録がやっと整理でき、働く環境がようやく整ってきたかなという段階。そして、もう5年でサ責業務を一生懸命こなしていたらあっという間に今、という感じです。
98歳になるご利用者さんが描かれたイラスト。菩薩の温かい表情に味があります。
―サ責として、スタッフ指導の面で何か心がけていることはありますか?
確実なレスポンスをすることです。例えば、「ご利用者さんの体調が悪いように見えた」という報告があれば、翌日そのスタッフに「通院したら脱水症状だったので、薬をもらって今は落ち着いていますよ」と伝えます。同時に他のスタッフにも。報告に対して、「分かりました」だけではなく、1人1人が納得できる返答を心がけています。また、スタッフ個々の癖みたいなものを把握して、その人に合った伝え方をするようにしていますね。
『はぁもにぃ』の玄関先は全面ガラス。内外の様子がすぐ分かります。
―スタッフのことをよく理解していないとできないことですよね。
うちの事業所が小規模だからこそできているのだと思いますし、逆に言えば、そこを理解してくれるメンバーが残って続けてくれています。
訪問に必要な道具を入れた小分けポーチはヘルパーの必需品。
―長く働かれている方も多いみたいですが…。
そうですね。10年選手の方も。でもこの業界、長い人も新人もご利用者さんのお宅に行けば、皆同じ目線で働くことに変わりはありません。ご利用者さんに対して「こうしたい、ああしたい」という計画があるなかで、たまたまが手がついていかないというだけで。そこをフォローできる先輩でいてほしですし、そうであるようスタッフに指導しています。今は、フォローし合えるのが自然とできる職場だと思うので、みんなで和気あいあいとやっていますよ。
訪問先の駐車許可証一覧は必ず訪問バッグにイン。
―では、ご利用者さんと接する時に心がけていることは?
近すぎない距離感です。
「わ~Aさん、これこれ。」ではなくて、「Aさんこんにちは。」ということなのですが。私達はボランティアでもなく、隣のおばさんでもありません。介護保険内で来ているヘルパーであり、あくまでも仕事としてサービス提供していることを時にきちんと伝えなければいけない場面があります。その時、適度な距離感がないと対応しずらくなってしまうんですよね。
また、私としては、「ヘルパーさんの方が良くしてくれる」とご利用者さんに言っていただく方が嬉しいです。「やっぱり野尻さんだよね」と言われるのは良くない。その時は、近すぎたのかな、ともう一度距離感を改めます。
引っ越ししてできた新たな活用スペース。ゆくゆくは、介護ベッドを置いて実習研修などをする予定。
―心地よい距離感というのはそれぞれに違うので見極めも大事ですね。
傾向と対策ではないですけれど、常に調整です。
―今後『はぁもにぃ』をどんな事業所にしていきたいですか?
15年経って、ここまでできたから、はい次! ではなくて、まずは現状維持。この地域にしっかり根付いてやっていくのが第一です。昨年(2015年)事務所を移転して心機一転。前は2F だったのが1F に、スペースも広くなり、空きスペースができたので、そこに介護ベッドを入れ、実習や勉強会もまめにしていきたいなと。
あとは、常にケアマネに相談しつつ、サービス提供を見直していきたいです。ご利用者さんそれぞれに様々な方法があって、できることは何でもトライするつもりで。そうすることで、少しでもその方のプラスになればいいですよね。また、ただサービスを増やせばいいというわけでもなく、時に減らす必要性もあります。どんな場面でもケアマネやスタッフにきちんと相談して説明して、お互い妥協せず話し合いながら進めていけば、本当にいい仕事ができるのかなと感じています
編集後記
働く現場、現場で何かを吸収し、疑問に思ったことや、自分がやってみたいと思ったことを、次のステップアップの場でしっかり昇華してきた方なのだろう、と感じた今回の取材。とても力強い信念を持って介護という仕事に向き合っていらっしゃる野尻さんですが、その大胆な行動や想いの強さとは裏腹に、物腰柔らかく、とてもしなやかな印象も持ち合わせた方でした。また、立ち上げメンバーの1人である旦那さまとは、毎日同じ職場で働いているわけですが、お互いを尊重し合い、とても仲が良さそうで、羨ましい限りです。こんな夫婦の形もあるのだな~と別の意味でも勉強になりました。新オフィスでの新たなスタート、20周年を迎える時にはどんな風に変化しているのでしょうか?
今回、取材にご協力いただいた野尻美加代さんをはじめ、『はぁもにぃ』の職員の皆さまには心からお礼を申し上げます。
「へるぱ!」運営委員会一同