前回まで4回に渡って日本ホームヘルパー協会が実施したアンケート調査から「ヘルパーの声」を紹介してきました。ヘルパーから寄せられた様々な声には、現場の抱える問題が如実に表れています。「ヘルパーの声」に関するレポートの最終回となる今回は、ヘルパーから挙がってきた意見を総括してみようと思います。
■全体の半数以上が「希望が持てない」と回答した事実
ホームヘルパーの仕事についている方々の半数以上(62%)が、介護の仕事に「希望がもてない」と回答しています。これは介護保険開始時には予想もつかなかったことで、大変深刻なことです。各々にびっしりと書き綴られている意見からは人材崩壊の悪循環に陥っている現実が透けて見え、「このままでは、財政で破綻する前に人材で破綻するのではないか」という声さえ聞こえてきています。
■労働環境の悪化が生む「長時間労働⇒精神疲労⇒離職」の悪循環
今労働環境の悪化についてはパートヘルパー、常勤ヘルパー双方から指摘されています。少数の常勤ヘルパーと大多数の登録型ヘルパーとの組み合わせで運営してきた結果のつけがそこにあらわれています。 登録型の働き方は、「呼び出し労働」といわれ、使用者サイドからみて究極の効率よい働き方とも言われていました。しかし果たしてそうでしょうか?労働者側からすれば、急に仕事が入ったり、なくなったりするこのシステムは、逆もありで「急なお休み」も続出することになります。「効率が良い」とは支払いの視点だけの話で、実質的には大量の不安定労働を育成するものでしかありません。 登録ヘルパーにとっては「収入不安定で生活支えられない」不安定さであるし、経営側にとっては「いつお休みが入るかわからない」不安定さとなります。実はそのしわよせのすべてがサービス提供責任者(サ責)に押し寄せ、長時間労働・精神疲労となり離職の大きな原因となっています。これが人材崩壊の悪循環の現状です。
■意欲低下を生む「社会的地位の低さ」
これに拍車をかけているのが社会的評価の低さです。ヘルパーの役割や専門性が利用者に認識されていないという嘆きが意欲の低下を招いています。
■消えない「お世話型」介護のイメージ
日本の昔からの考え方が根強く、「至れり尽せり」とか「かゆいところに手が届く」お世話型の介護のイメージが厚い壁となって相互理解を妨げています。自分の生活設計や生活再建の力をどう築いていただけるかという働きかけが求められています。
