今年3月、日本ホームヘルパー協会より「ヘルパーの声」が発表されました。これは同協会が平成19年9月~11月にかけて実施した「ヘルパー職に希望が持てるか否か」についての緊急アンケートの結果をまとめたもので、九州から北海道まで日本全域で集められた1,007人の率直な声が綴られています。寄せられた声のひとつひとつに重い現実があり、その叫びの切実さに胸が痛みます。
今回から数回にわたり、現場で働くヘルパーたちの生の声をご紹介致します。「何とかしなければいけない」―ヘルパーたちの声に耳を傾けると、そんな思いが湧いてきます。社会全体が問題意識を持って変わっていかなくてはいけないのだと、改めて感じています。
(1)アンケート調査を行った理由
日本ホームヘルパー協会は1973年に設立されたヘルパーの職能団体で、今年で35周年を迎えます。協会の主たる活動は研修活動で、結成以来、ヘルパーの身分の安定や待遇改善、社会的地位向上に向けて社会に発信し続けています。
私が活動に参加している東京都支部も、結成された2003年7月以来、「ホームヘルパーによるホームヘルパーのための研修」を掲げ、テーマや講師に工夫をこらして実施してきました。ところがある時、「ヘルパーが元気を失っている」、「研修の場へも出てこられなくなっている」など、研修の場に異変が起きていることに気付きました。私は人材育成に強い危機感を抱くようになりました。そこで緊急にアンケートを行って生の声を聞いてみようと思い立ちました。
(2)回収方法と地域
日本ホームヘルパー協会北部ブロック各支部と賛同して下さる各研修会場の方々にアンケート専用紙を配布しました。アンケートは会員・非会員の区分けなく寄せていただきました。
(3)アンケート内容
アンケートに解答しやすいよう用紙はA5サイズの小さなものにし、内容は単純な2つの質問に絞りました。
【設問1】今ヘルパー職に希望が持てますか?
設問1に対しては3つの選択肢(a=もてる、b=もてない、c=わからない)を用意。
それを選んだ理由も記述してもらいました。
【設問2】どうあったらいいと思いますか?
(4)アンケートの結果
§ 回収総数・・・1007
§ 今ヘルパー職に希望がもてますか?
- a. 希望がもてる・・・149人(15%)
- b. 希望がもてない・・・620人(62%)
- c. わからない・・・238人(24%)
§ 希望がもてない主な理由
- 賃金が安い。
- 社会的評価が低い。
- 必要な援助できず、板ばさみのストレスが多い。制度現状に納得できない
- ゆとりがなく疲労感・拘束感が強く、意欲がなくなってきている。
- 離職が多い、若い人から敬遠されヘルパーの高齢化がすすむ。
(5)結果の特徴
【特徴1】
「希望がもてない」という声が全体の6割以上を占めている。その数は「希望がもてる」の声の4倍を上まわっている。
【特徴2】
「希望がもてる」という声を、その理由でより詳細に分類すると「希望を持ちたい」や「条件つき」が半数近くを占めている。その条件は「希望がもてない」に寄せられた理由と類似している。
【特徴3】
「わからない」の声も、多くが問題指摘や条件を挙げている。その内容も上記と同じである。
【特徴4】
「どうしたらいいと思いますか?」の声には大きく2つに分けられる。
業務の内容の確立、教育強化、制度政策の提言・要望(47%)
収入保証・社会的地位の向上、労働環境の改善(45%)