ヘルパーの育成と今後について
介護に入らない時間にまで想像力を働かせて、ケアできるスタッフであってほしいと思います。
ちょうどスタッフの米島さんがケアに入って、ただいま掃除の真っ最中。
ケア内容が終了したら、活動報告書をその場で作成。気になることは備考欄にしっかりメモ。
―田中さんは、現場にも出られているとのことですが、先程の指導という面から、ヘルパーの同行もあったり?
そうですね。うちはベテランヘルパーであっても、新しいご利用者さんの所に必ず私が同行します。初日はサービスの内容を一緒にやりながら確認、次回はスタッフ1人でやってもらい、その状況を見て…、それがヘルパーによって2日で終わることもあれば、1週間ずっと同行することもあれば、という感じです。スタッフとご利用者さんとの相性もありますし、そこの見極めは私自身、とても大事にしているポイントです。
「最近調子はどうですか?気になることありますか?」など色々会話をしながら、ご利用者さんの状況を確認。
訪問バッグの中身を拝見!備品にはご利用者さんとの区別を測るため、会社名のシールをペタッ。
―なるほど。では、田中さんがご利用者さんと接するうえで気を付けていることって何かありますか?
『私達が介護に入らない時間のことも考えてケアをする』ですかね。これは私に限らず、うちのスタッフにも同じ気持ちでいてほしいのですが、訪問が1週間に2回であれば、そのお宅に次行くのは60数時間後なわけです。行かない間もフォローできる、そこまで頭を回せる介護をするべきだと思っています。例えば、3日分の食事を1つの皿に盛るのではなく、3枚の皿に分けて盛り付けておく。そうすれば、毎回新しいお皿で食事ができますよね。ちょっとした気遣いが、より良いサービスにつながると信じています。私達が介護に入らない時間にまで、想像力を働かせてケアに入るよう心がけていますね。
月一で必ず訪れるというオークスの他部門「福祉用具ショップ」。市民病院のすぐ側にある。
グッズの売れ筋や、どんな商品にニーズがあるかなど、販売スタッフの長谷川さん・山本さんと話しながら情報収集。
―そうした心がけは、ヘルパーさん達にも伝わって、いい相乗効果が生まれそうですね。
そうですね。「タッパーに付箋でいつ作ったか日付を書いてきたよ~」とか、スタッフ各々が知恵を絞って行動するようにもなり、最近では、そうした部分に仕事の楽しみを見出してもくれているようで、嬉しい限りです。あとは、スタッフの積極的な取り組みから、サービスの質に差が出ないようにも注意を払っています。ご利用者さんから「あのヘルパーさんは、こんなことをやってくれて嬉しかったよ!」と言われれば、すかさず情報共有。するとスタッフ同士、同じレベルでケアに入ることができます。こうしたまめな情報交換によって、ご利用者さんから「新しいヘルパーさんが、自分のことを良く知ってくれていて…」と喜ばれるケースもよくあるんですよ。
品揃えがとにかく豊富! 見本が出ているので、商品を実際触ってチョイスすることができる。
広々とした店内におむつ用品から車椅子、杖、介護ベッドなど大小さまざまな商品が並ぶ。
―職員同士のチームワークも抜群なんですね。
はい。常に連絡をとりつつ、話し合える仲間なので、そこは誇れる部分です。私がいない時でも、自分で解決して、答えを出して、欲したことを報告してくれるので本当に助かっています。
今後は、質の高いサービス提供はもちろん、ご利用者さんの要望にしっかり応えられるだけの人数に増やしていくという課題にも取り組みつつ、最終的には、ご利用者さん、スタッフ両者から「オークスで良かったね」と言ってもらえるような事業所を目指して、これからもみんなで頑張っていきたいですね。
編集後記
神社にお寺に事務職…面白い経歴を経て、介護職へと辿り着いた田中さん。その経験豊かさから醸し出されるものなのか、人を惹きつける魅力に溢れた方なのだと、話を伺っていて感じました。様々なタイミングが合致し、ヘルパーステーションを立ち上げたものの、ここまでに至る道のりは決して楽ではなかったはずです。それでも、ご利用者さんのこと、スタッフのこと、会社のこと、様々な角度から考えつつ、理解しながら前を向いて進んでいらっしゃる田中さんは、とても芯が強く、真っ直ぐな方なのだと私も学ぶことが多々ありました。富山市で単独事業所はここ以外にないそう。そういう意味でも注目されているオークスヘルパーステーション。ますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
今回、取材にご協力いただいた田中景子さんをはじめ、『オークスヘルパーステーション』の職員の皆さまには心からお礼を申し上げます。
「へるぱ!」運営委員会一同