オークスヘルパーステーションの立ち上げから4年
分からないなりに奮闘しながら、一歩ずつ前に進んできた感じです。
田中さんお手製の「あっぷる通信」。月一でご利用者さん&ご家族に配布しているもので、季節ネタ、体調管理のワンポイントなど情報満載の内容に。
2Fオフィス風景。冠婚葬祭部門や介護用具のレンタル部門などがワンフロア内に集結。
―デイ、グループホーム、訪問と働かれて、こちら『オークスヘルパーステーション』は田中さんが立ち上げられた、とのことですが、その経緯について教えてください。
数年勤めていた前職の訪問事業所が諸事情でなくなることが決まり、働いていたスタッフは、各々その先の身の振りを考えなければいけなくなりました。私と数名のスタッフで「ご利用者さんをほっとくわけにもいかないし、事業所を立ち上げようか?」なんて話しが出たんですね。自分で立ち上げるのか、どこかの会社に立ち上げてもらうのか、色々思い悩んでいた時、ここの会社『オークス株式会社』の理事の方と知り合いだったことから、ポロッとそのような話をしたら、「会長も社長も介護事業の訪問はやりたいって言ってたよ」となり、そこから話はとんとん拍子に。一週間もしないうちに立ち上げが決まり、4年前『オークスヘルパーステーション』が新設されることとなりました。
福祉用具レンタル担当の高橋さん(左)と営業の村上さん(右)。訪問との連携もばっちり!
偶然にも、村上さんが車で営業に向かうところをパチリ。
―そんなドラマチックな展開があるのですね!
私もびっくりですよ。急展開すぎて、ちょっと待って、困る!!って。心の準備もないまま管理者、責任者となりスタートを切ったもので、当初は必死でした(苦笑)。
『オークス株式会社』は、冠婚葬祭業をメインにしている会社で、「生まれてから死ぬまでお世話のできる会社になりたい」という想いを社長と会長はずっと持っておられたようです。ところが介護は資格がないと出来ないし、人数も集めらずで事業部立ち上げをずっと断念してきた、というのを後から聞き、スタッフ&利用者をそのまま受け入れてくれた会社のためにも、頑張らなければいけないなと気合いは入りましたよね。
訪問時のスタッフ制服。ポロシャツの袖口にもロゴが。
田中さんが18歳から続けてきたというボーイスカウトの様子。仕事の合間をぬって週末は指導者として現役活動中。
―立ち上げということで、ご苦労も多かったのでは?
そうですね。やはりそれなりの苦労は。小さい規模でのスタートなので、1人1人が持つ責任の比重も大きいんですよ。どうしたらいいか分からず奮闘しながら、スタッフ同士で話し合いを繰り返し、一歩ずつ前に進んできた感じです。上に掛け合っても、介護現場を知らない方なので、具体的な解決策が出るわけでもなく…。「どうにかならないのか?」と逆に言われてしまうことも。自分達で考えて行動に移していくという点で、スタッフには無理をさせてしまっているなぁと感じることも多いです。私としては、ヘルパーステーション4年目を迎え、より働きやすい職場環境になるよう、人員の補充もしかり、粘り強く会社と掛け合い、色々な面でこの仕事をもっと理解していただけるよう努力をしていかなければいけないなと感じているところです。
ご利用者さん宅へ向かう車中に同行。
―そこは田中さんにとっても大きな課題であるわけですね。では、管理者、サ責としてスタッフの育成面で、何か心がけていることってありますか?
月一の研修時に、知識や技能的なことをしっかり伝えるようにしています。情報共有の場でもあるのですが、毎回「会話について」「移動について」といったテーマを決め、話し合ったり、介護福祉士の試験問題を解いたり。事例に基づいたケースディスカッションも。私を入れて現在7名のスタッフで30数名のご利用者さんを見ているのですが、全員、責任者になれる資格を持っています。ですから、1人1人が独り立ちできるレベルの人材だという自負もあります。一方で、そこに奢らず、常にご利用者さんの立場にたって考え、行動できるヘルパーであってほしいと思いながら、色々とアドバイスもしたりしていますよ。
玄関先まで笑顔で出迎えてくれたご利用者さん。手を取り合いながら挨拶を交わす。
―具体的にどんなアドバイスを?
最近だと「答えを求めるような会話にすれば、まず揉め事にはならない」といった話を調度スタッフにしていたところです。それは、「右の首が痛い」と言うご利用者さんに、「右ばっかり向いて寝ているんじゃない?」とヘルパーが言い、「私、右も左も向いて寝てる」と怒られたと言う話からなのですが…。まずは「「いつもどっち向いて寝てるの?」となぜ、問いかけなかったの?」とヘルパーに尋ねました。テレビが右にあるから右だと思い込んで会話をしてしまえば、返答は、「違う」か「そう」の2択になってしまいます。YESかNOの答えを求めるんじゃなくて、もっとご利用者さんから喋りたくなるような問いかけをしましょうよ、と。些細なことですが、こうしたコミュニケーション能力も、介護職にはとても重要なことだと感じています。