全体をまとめていく立場で思うこと。
より働きやすい環境に整えつつ“人を育てる”ことが今後の課題。
立て替えたばかりの第一永楽荘内にある小規模多機能型居宅介護。正面玄関の他には、特養やデイに繋がる職員専用の入口も。ドア前には手書きの看板でお知らせ。
こちらは永楽福祉会の本部棟。全部で5つの建物に分かれている。
―兼務という立場で、苦労している点などはありますか?
正直、小規模多機能の方を主任はじめスタッフに任せっきりになっているので、自分がもう少し関われるよう調整していかなければ、と思っています。あとは、「ここで働いてよかったな」と思ってもらえるような職場にしていくことも、常日頃の想いであり、課題です。
駐車場で休憩に入るスタッフさんをキャッチ!みんなで仲良くチーズ。
―そのために何か心がけていることってありますか?
職員の意見を必ず一度は受け止めるようにしています。それぞれ考え方に相違があるものの、どの意見もご利用者さんのことを思って言っている意見に相違ありません。だからまずは耳を傾ける、そして、別の意見があれば双方から聴きます。なるべく公平に、そのうえで法人としてどうしていくべきか相談しています。
永楽福祉会専用の車。人と人が支え合うマークが目印。
―働かれている人を大事にされているのですね。
原点は人。やっぱり“人対人”の仕事なので。ご利用者さんに「いい施設だよね、いつ行ってもワイワイ楽しいよね」と言っていただくためには、働く職員の環境もとても大事。そのための職員育成にも、もっと力を注いでいきたいです。うちは一度外の職場で働いて戻ってくるスタッフも結構おります。戻ってきたい何かがあるのかな、と前向きに捉えていますが、逆に出て行く人を気持ちよく送り出す会社でもあって。いつも顧問が「うちよりいい施設があるんだったら、そっちへ羽ばたきなさい」ってよくおっしゃるのですが、仮に離れていく人は、その人なりの考えもあって移るわけなので、であれば、その人なりのステップアップに繋げてほしい、という気持ちが強くあります。そういう風に人材を捉えているのは、ここならではの魅力なのでは、とも感じています。
第1永楽荘から第3永楽荘に向かうまでの道は坂道。途中、途中に目を楽しませてくれる花が。
―いつでも門戸は開かれている、というのはステキなことですね。最後に介護職に興味を持たれている方や、介護に就いたばかりの方々に何かメッセージはありますか?
ご利用者さんは、自分達より何年も長く人生を歩んでこられた方々ばかり。尊敬の念は、基本の基本です。経験が長くなるほど、その作業に慣れがちですが、全く同じ作業ってないと思うんですね。自分としては同じことを繰り返しているようでも、ご利用者さんにとっては、日々流れる生活の一部であって、時として同じ場面はないんですよ。そこは、常に意識して対応するべきだな、と思います。
各事業所の名前が蛍光色で描かれたバイクが整列。バイクの多さからも働く職員の多さが分かる。
―慣れてはダメということですよね?
そうですね。あと、私がいつも気を付けていることなのですが、相手に対して、自分が言ったこと、やったことを「どう受け止めただろう?」と思い返すようにしています。私としては普通に言ったつもりでも、相手はそう感じていないことも。「そんなつもりはなかったのに…」というは、普段の生活でもよくあることですよね!? だから、私が話したこと、伝えたことを相手がどう感じたか、いつも想像を働かせながら、必要があれば、後からフォローもする。そうした気遣いは大事です。
そして、笑顔と挨拶! 今日は体がしんどいな……など、それぞれ事情はあると思いますが、仕事はあくまでも仕事。同じ挨拶をするなら、明るく元気な声で、そうした当たり前のことができる職員であってほしいな、と思います。
編集後記
目の前のことをひたすら一生懸命に取り組まれてきた方なのでしょう。話を聞けば聞くほど、その責務を全うする責任感の強さが感じられ、過去出会ったであろう数々の困難局面にも、きっと柔軟に対応してこられた方なのだろうな、という印象を受けました。「やっぱり原点は人」と津森さんがおっしゃられたように、人を大事にする姿勢があるからこそ、津森さん自身も多くのスタッフから慕われ、そこにまた人が集まり、大きなうねりに繋がっていくようにも感じさせられました。小規模多機能型居宅介護は、可能性を存分に秘めた事業だとも思うので、今後の発展がとても楽しみです。
今回、取材にご協力いただいた津森紀子さんをはじめ、『永楽福祉会 小規模多機能型居宅介護・永楽のいえ』の職員の皆さまには心からお礼を申し上げます。
「へるぱ!」運営委員会一同