サ責から総合施設長へ。そして小規模多機能型居宅介護の管理者も兼任。
学びながら、事業所とともに自分も成長していく気持ちで務めています。
お風呂場には「ゆ」の暖簾。小休止できるソファ椅子が入口付近に置かれている。
―サ責になられたのはいつですか?
登録ヘルパーで4年半経ったある時のことです。介護福祉士の資格を取得した何人かに声がかかり、私もその一人に。有り難くそのお話を受けて、サ責となりました。
お風呂内。安全に入れるよう配慮されています。
―経験年数があるとはいえ、サ責という立場は今までイチヘルパーだった時とは違うと思いますが、戸惑いなどはありませんでしたか?
もちろん仕事内容が変わった大変さはありましたが、一番辛かったのは、今までヘルパーとして行っていたところに、責任者として行った時、ご利用者さんから「偉い人に来てもらったら悪いわ」と言われたことでしょうか。そういう風に見られることに寂しさみたいなものを覚えましたね。あと、これは今でもですが、人に指示を出すのは難しいです。私よりも長く働かれている大先輩がたくさんいらっしゃるので。
一週間の献立表。カロリーやたんぱく質、脂質、塩分など栄養価の記載も。
―なるほど。サ責を経てその後は?
サ責を2年ほど務めた後、ヘルパーステーション6年目ぐらいの時に事務職へと異動になりました。職員の給料や会計処理を扱う仕事内容で、それを機に、現場に出ることもほとんどなくなってしまったんですよ。
S字フックに花を取り付けた、職員お手製の鞄フック。カラフルで華やか。
―現場から事務職という全く仕事内容の異なる異動ということですが、それは素直に受け入れられたのですか?
断れない性格というのもありますが、わりとパッと決断してしまいます。自分で引き受けたからにはきちんとやる! というか、やれる方向に自分の気持ちを持っていく努力をします。後ろ向きに考えるのは嫌なので。その時も、『永楽福祉会』が持つ各事業所の裏方という役目をしっかり果たそう、という気持ちでお仕事をさせていただきました。その後、事務で2、3年経った時に今度は、総合施設長のお話をいただいて。私自身、管理者や責任者の経験もなくでの話だったので、さすがにそれはすぐに受け入れられず、他にもっと適任者がいるのでは、と。
津森さんは、仕事専用の携帯電話を持ち歩き。緊急の連絡もすぐ対応できるようにしている。
―でも結果、引き受けられたのですよね!? お声がかかるというのは津森さんに人徳があるからなのだろうな、と思いますが。
いえいえ断れないだけです。でも「あなたしかいない」という風に言っていただけたのはとても光栄で、頑張ってみようという気持ちになりました。とはいえ、いざその職務に就くと、知らないことが本当にたくさんあって、自分の未熟さを痛感する日々。何度もプレッシャーに押し潰されそうになりながらも、きっと神様に「ここで勉強しなさい」と言われているんだろう、と思って、ポジティブに切り替えて今日までやってきました。
玄関先に飾られていたお雛さま。ご利用者さんが石に顔を書いて作ったものだそう。いびつな石の形もまた味わい深い。
―津森さんは総合施設長をされながら、昨年新設された『小規模多機能型居宅介護・永楽のいえ』の管理者でもありますよね?
はい。特養と小規模多機能の公募が町の方からあり、法人としてどちらにも手を挙げ、書類提出、ヒアリングなどの審査を受け、結果両方うちでやらせていただくことに決まりました。私自身、小規模多機能の知識はなかったのですが、ご利用者さんもゼロからのスタートで、色々勉強させていただきながら、事業所と共に自分も成長していく気持ちで兼務させていただいております。
―いざ小規模多機能が開設されて、ご利用者さんが少しずつ増えている今、どんな印象を持たれていますか?
小規模多機能は、ご自宅での生活を継続していきたいと願うご利用者さんにとって、一番臨機応変に対応できるサービスなのではと感じています。訪問や通い、泊まりを組み合わせながら、型にはめることなく臨機応変に対応できるので、ご本人だけでなくご家族の負担も軽減できると思います。最初にご登録いただいたご利用者さんに「こんなサービスを探していた」と言っていただけたのは嬉しかったですね。
―まだまだ始まったばかり。これからどんな事業所にしていきたいですか?
ご利用者さんを増やしていくために、対外的なアプローチが必要だと感じています。これは小規模多機能に限らず『永楽福祉会』全体としても言えることですが、どんな事業所があって、それぞれどんな特徴があるか、もっと近隣の方々に知ってもらわなければいけないですね。先日、この周辺を散歩していた男性がひょっこり、小規模多機能に入ってこられて「ここに入るにはどうしたらいいの?」と尋ねられました。今後のことを考えて参考にしたい、と。介護が必要になるだろうことは、テレビなどで漠然と知っているけれど、ざっくりとしたイメージだけで、細かくは理解されていないんだな、という印象を受けました。きっとそういう方がたくさんいらっしゃると思うので、『永楽福祉会』では「それぞれにこういう特徴があって、こういうことが出来ます」という宣伝活動も今後はしていかなければいけないな、と感じています。