サ責として、今後の自分。
緊張感をプラスに捉えて、寄り添う介護をしていきたいです。
夜間対応型訪問介護も導入しているため、それを管理するオペレーションシステム。
オペレーター日誌。ご利用者さんから何時に電話が入り、どんな用件だったかを記載。
―岩城さんは昨年の4月にサ責なられたそうで、もうすぐ1年。サ責になって感じることって何かありますか?
カンファレンスに参加させてもらうようになり、色々気づかされることも多いです。うちは、三重県内6市にまたがって「保育、障がい、医療、高齢者介護」と事業展開をしていて、様々な職種の方が働いています。カンファレンスでも、ケアマネさんをはじめ、普段関わることの少ない訪看さんや福祉用具の方たちなどが一同に介して意見交換をするので、とても勉強になるんですよ。「そういう見方もあるのか~」って新鮮な発見が都度あります。また、そこはヘルパーの想いを伝えられる場でもあるので、しっかり主張もできたらいいなとも思います。
夜間対応時の仮眠室。しっかりベッドもある。
事業所専用の車で訪問へ。駐車場が広いので出し入れしやすい。
―サ責になることで、事務作業が増えて現場に行く(訪問する)時間が減る、などの話を聞くのですが、岩城さんの所はどうですか?
うちのヘルパーステーションはサ責が9名いて、私含め、皆日中ほとんど現場に出ています。そのため、計画書やシフト作成は帰宅してからの作業に。でもサ責になったからといって、その事務作業が特別増えたという感覚はないですし、大変と思ったこともないです。一ヘルパーとして、色々な方から連絡を受け、ご利用者さんをどう支援していくかを考える作業は、サ責になる前からもしていたことなので。
男性職員も多く働いている。大事な資料の付け合わせ作業中。
休憩スペースにはお菓子が。ほっとする時のお供に甘いものは必須!
―なるほど。では、登録ヘルパーさんなどを束ねていくことに関してはどうですか?
ヘルパーさんの中には、私よりも大先輩で、介護歴何十年という方がたくさんいらっしゃいます。そういう方たちに、経験歴の少ない私が説得力を持って話をするのはなかなか難しいのですが、やはり常勤として「そこは違うんじゃないかな」と思うことは、きちんと言える人でありたいです。あとはヘルパーさん達が悩んでいることを言いやすい環境にしていきたいですね。うちの職場はよく「忙しそう」って言わるのですが…(苦笑)。職員が絶えず動いているので、何となく声をかけづらくて、話せずに帰るヘルパーさんもいるのではないかと。情報共有できる連絡ノートなどはしっかりあるのですが、それにプラス、みんなが思ったことを気軽にすぐ話せる職場にしていこう、というのは今後の課題でもあります。
各ヘルパーの訪問スケジュール表。膨大な量になるので、きちんとファイリングして管理。
左から高橋さん、施設長・伊藤さん、岩城さんの3ショット。伊藤さんは写真に少し照れ気味。
―介護ではちょっとした情報共有も大事ですものね。では最後に、岩城さんにとって、介護の仕事ってどういうものですか?
とても奥が深いなと思います。「これでいいのかな?」と今でも思い悩むこともありますし、ご利用者さんやご家族の様々な想いを受け止めることの大変さ、ご自宅に足を踏み入れて支援することの難しさも感じます。そういう意味では、当初の頃に感じた“緊張感”は変わらないんですよ。でも今ではその緊張感をプラスに捉えられるようになりました。昔は戸惑いばかりが先にたっていましたが、今はヘルパーだからこそ感じられる“緊張感”を心地よく感じます。また、“ご利用者さんに寄り添った支援をしたい”という気持ちはぶれずにあるので、そこは今後もこの職場でそれを追及していけたらなと思います。
【番外編】
今回は岩城さんの先輩であり、同じサ責としてご活躍されている高橋由美さんにも少しお話しを伺いました。(写真左は高橋さん、右が岩城さん)
オペレーター日誌。ご利用者さんから何時に電話が入り、どんな用件だったかを記載。
―岩城さんから、サ責の方は毎日現場に出られていると伺いましたが。
高橋さん-確かに毎日走り回っていますね。シフトも作りますし、事務仕事もあるのですが、外に出てご利用者さんに会わないと分からないことも多々あるので。登録ヘルパーさんから「今日、こんなんだったよ」というご利用者さんの状態を聞いて気になることがあれば、飛んで行きますし。事務所にいることは少ないと思います。
―サ責の方が9人と伺いましたが、皆さん連携し合って仕事を進めたり?
高橋さん-事務仕事が残ってくるとやはり大変で。そういう時はみんなで分担し合い、カバーしながらやっていっている感じです。人数の多いヘルパーステーションですが、まとまりはあるんですよ。トップである施設長の伊藤が協力体制のとれるチームを作ってくれているので、みんな働きやすく働けているのかな、って。うちはご利用者さんが400人、登録ヘルパーが50人ほどいるのですが、『一体、どこからどう覚えたらいんだろう?』とその膨大な人数と情報を目の前に当初困惑しました。ですが、施設長が全てのご利用者さんと登録さん、性格や動ける時間帯をきちんと把握しているので、何か尋ねても、即、答えがかえってきます。とても頼りにしていますね。
事業所専用の車で訪問へ。駐車場が広いので出し入れしやすい。
―施設長・伊藤さんへの信頼は絶大ですね。それにしてもそれだけの人数分の情報を共有し合うのもなかなか大変ですね。
高橋さん-そうですね。一回「体調が悪いよ」という連絡を登録さんからいただくと、関係各位ケアマネやデイだったりに連絡したり、事務仕事も一回何か起こると、すごい処理がありますしね。でもケースとして行ってなくても、その日にあった情報は必ず事務所内で共有しています。管理者(伊藤)に報告して、そこからみんなに連絡が行き渡るよう、また何かあっても答えられるよう、連絡ノートなりで把握するように皆努力しています。
―なるほど。皆さんの努力とチームワークで日々乗り切っていらっしゃるのですね。
最後に高橋さん、岩城さんお互いの印象を教えてください。
(高橋さん→岩城さん)
高橋さん-仕事中も慌てることがなく、すごく出来る人です。娘と同じぐらいの年齢なのに(苦笑)、分からないことも分かりやすく教えてくれて、本当に頼りにしています!
(岩城さん→高橋さん)
岩城さん-同行で一緒に行かせていただくと“気づき”が細かいところにまで行き渡っていてすごいなと思います。「ここに物があったらつまずくよね」といった危険な場所や、ご利用者さんの表情など、よく見られていて。それは事務所内でも同じで、「大丈夫?」「調子悪い?」と声をかけてくださるんですよ。人をすごい見ていらっしゃる方だな、という印象です。
編集後記
20代、30代、40代…と幅広い世代が揃うヘルパーステーション内、皆さん黙々と仕事に勤しみながらも、明るさと活気に満ちていました。質問一つ一つに対して丁寧に、言葉を選びながら喋る岩城さん。とても落ち着いていて、自分の中に秘めたる信念がちゃんとある方なのだろうな、と感じましたし、「伊藤さん(施設長)ファンなんです!」とチームワークの良さについて語っていただいた高橋さんは、優しくて温かい方です。また、スタッフからの信頼をしっかり掴んでいる施設長は、とてもチャーミングな方。個性が尊重される、ステキな職場だなあという印象を受けました。
今回、取材にご協力いただいた岩城瞳さんをはじめ、『シルバーケア豊壽園 津中央ヘルパーステーション』の職員の皆さまには心からお礼を申し上げます。
「へるぱ!」運営委員会一同