『シルバー豊壽園 津中央ヘルパーステーション』での日々
ご利用者さんの「ありがとう」の言葉に救われます。
スタッフ共通の訪問バッグ。収納ポケットやファスナーの仕切りが多くあって機能的。
バッグには必ずビニールシートを。ご利用者さん宅で濡れたものを扱う時、これを下に敷くためだそう。
―まずは介護の仕事に飛び込んでみよう! そう思われて、今働かれている『社会福祉法人 洗心福祉会 シルバーケア豊壽園』に就職されたんですよね!?
はい。大学の実習でいくつか行かせていただいた施設の最後が『シルバーケア豊壽園』でした。先程お話した「ステキだな」と思えた職員の方がここの方で、調度人員募集をしていて、申し込み、試験を受けて、こちらに決まりました。
訪問の必需品、血圧計。持ち運びしやすい小型サイズ。
指先や耳につけて脈拍や動脈血酸素飽和度を計測するパルスオキシメーターも常備。
―就職したかった会社に見事受かったわけですね。岩城さんは、勤務歴約4年とのことですが、最初からこちらの『シルバーケア豊壽園 津中央ヘルパーステーション』の配属に?
はい。施設がいい、デイがいい、といった希望が特になかったので、配属になったところで頑張ろうと思っていました。でもまさか、最初からヘルパーステーションだとは思っていなかったです。家に訪問して介護する、ぐらいしか知らなかったので、「ヘルパーって何するんだろう?」とそこからのスタートでした。
岩城さんが見せてくれたのはスタッフ共通のエプロン。
―実習などで体験した施設と配属になった訪問とでは、同じ介護といっても全然違うと思うのですが、実際働かれてみてどう感じましたか?
最初の1ヶ月ぐらいは、先輩職員の方に同行してもらいながらの支援だったのですが、入って数日目に、要介護5で寝たきりの方のお家に伺ったんです。食事も介助がないと食べられないし、意志疎通も難しい方。そういう方がご自宅で生活しているということに衝撃を受けて。自分の中でそういう方たちは、自宅で暮らすのは無理で、施設にいらっしゃるイメージだったので。このような身体状況でも家で暮らせるんだ、という驚きとともに「すごいな」とも感じました。
前で一度とめて、後ろでちょうちょ結びをするタイプ。シンプルながら細部にこだわって作られている。
―岩城さんにとって、今までの概念を覆すような衝撃だったわけですね。そうした方たちが自宅で暮らせるよう支援するのがヘルパーの役割でもあると思うのですが、そういうことも含めて、この仕事のどんなところに魅力を感じていますか?
やはり、1対1でご利用者さんと関われるのが今も一番の魅力だと思っています。施設であれば、業務に追われて、そのご利用者さんだけを、というのはなかなか難しいですが、ヘルパーだとその方と自分しかいないので、そのなかで関われるのは何よりの強みでもありますね。でも最初は戸惑うことばかりでしたけれど…。
スタッフ同志の会話風景はあちこちで。情報共有は常に。
―というと、例えばどんな?
うちの事業所では認知症のご利用者さんも多くいらっしゃって…。先輩の同行が終了して、始めて一人で行かせてもらったお宅のご利用者さんから「ちゃんと勉強してきたんかー! お前なんか、はよ帰れー!」と怒鳴られたこともありました。新人なりに頑張ろうと、一人でドキドキしながら伺ったお宅での出来事だったので、とてもショックで。認知症だからそういうこともある、と分かってはいても、自分なりに受け止めるまでには時間がかかりましたね。
ご利用者さんの状況を共有する連絡ノート。スタッフ確認後、シフト変更したか、ケアマネに連絡したかなど対応したかどうかも一目で分かるように記載されている。
―そうした出来事は支援のなかでも色々あると思うのですが、どんな風に乗り越えたり、消化してこられましたか?
辛い時に一番助けてもらったのは、職場の先輩方です。色々アドバイスをしてもらったり、聞いてもらったり。とても温かい職場なので。あとは“気づき”を大切にしています。ご利用者さんが興味を持つような話をして、少しでもリラックスしていただけるよう心がけたり。この方はこのお話に興味があるんだな、という“気づき”がよりよい支援に繋がっていくと思うので。その怒鳴るご利用者さんも最後には「ありがとう」と言ってくださった方なんですよ。そうしたご利用者さんの言葉に「あーよかったな」ってすごく救われたりもします。ご利用者さんの笑顔や感謝の言葉が何よりの励みです。