今年度から2017年(平成29)年3月末までに、介護予防訪問介護・介護予防通所介護は、市町村が実施する地域支援事業に移行することが決まっています。しかし、今年度から移行している市町村は極めて少なく、大多数の市町村は、他市町村の状況を見ながら、区域内の地域包括支援システムの整備状況を鑑みたうえでの移行を考えていることでしょう。
その結果、介護保険本体で要支援1・2の介護予防サービスを実施しつつ、市町村の負担が少ないぎりぎりの移行期限まで制度を維持しようとするのが、地方においては現実的だと言えそうです。
一方、厚生労働省は、平成25年度から推進している「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を見直し、本年1月、新たに「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」(新オレンジプラン)を作成しています。
このプランは、次の7つの柱からなります。
①認知症への理解を深めるための普及・啓発事業の推進
②認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
③若年性認知症施策の強化
④認知症の人の介護者への支援
⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
⑥認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発、およびその成果の普及の推進
⑦認知症の人やその家族の視点の重視
上記のプランは、認知症高齢者対策が中心となっていますが、まさに地域の高齢者や障害者など、要援護者全体を網羅する地域包括支援システムを構築する指針になるものとして、実現が急がれています。特に介護サービスに関わる皆さんにも、地域の実情をぜひ理解していただきたいと思います。