今回の介護保険制度改正における大きな目玉は、「予防給付の見直し」ではないでしょうか。要支援1、2の認定を受けた人が利用できる、介護予防給付の対象であった訪問介護と通所介護については、2017(平成29)年4月までにすべての市町村で実施する、新しい地域支援事業に移行します。
これらのサービスは、各市町村の実情を踏まえ、多様化した新しい介護予防・日常生活支援総合事業として、配食等の生活支援サービスや、要介護認定を受けていない高齢者の利用等一般の介護予防事業を含めて、全市町村で実施することが予定されています。
このサービス提供の基盤となるのは、地域包括ケアシステムの考え方です。団塊の世代(第1次ベビーブーム世代)が、75歳以上の年齢に達する2025年を目途に、「住まい」、「医療」、「介護」、「予防」、「生活支援」を一体的に提供することを目指すものとされています。このシステムの地理的範囲は、約30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)をひとつの単位として想定しているようです。
住まい・・・・・自宅、サービス付き高齢者向け住宅など
医療・・・・・・・地域の様々な医療機関、かかりつけ医との連携など
介護・・・・・・・施設・居住系サービス、在宅系サービスなど
予防・・・・・・・介護予防サービスなど
生活支援・・住民自治会、老人クラブ、ボランティア、NPOなど
これら上記項目は、地域における実施状況の差異こそあれ、新しい事業を全く最初から立ち上げるというわけではありません。これまで地域で実践してきた様々な活動について有機的連携を深め、市町村の地域支援事業として、より実効性が高いサービス提供を実現するためのものになります。
この機会に皆さんも、自分の住まいや仕事場のある市町村あるいは地域で、上記項目がどのように実践されているかを把握してみてはいかがでしょうか。とても有意義であると私は考えます。