ご利用者さんとの関わり
日頃のケアを通して、新たな発見がいっぱいあります。
中原さんの訪問ケアに密着!トントンとノックをして「こんにちは」と中へ。
―改めて『サンライフ長嶺訪問介護事業所』での中原さんのお仕事内容を教えてください。
入浴介助、掃除や洗濯などの家事援助がメインです。あとは、ご利用者さんと散歩に行ったり。訪問といっても、うちの施設内(高齢者対象のケアハウス)に暮らしているご利用者さんを対象としているので、外出して車でご自宅に訪問するといったことはほとんどありません。
ご利用者さんの調子を伺いながら、今日のケア内容を簡単に説明。
―ではあまり重度の方はいらっしゃらない?
そうですね。一人で生活するには不自由があるけれど、一緒に何かできる方が多いです。
ご利用者さんが話す思い出話に会話も弾みつつ、ケアは順調に進みます。/p>
―先程、中原さんの訪問中の様子を拝見させていただいたのですが、お風呂の準備で、タオル1つ出すのも「タオルを出してくださいね」と声かけをし、ご利用者さんがなかなか見つけられないでいると「たぶんここにあると思いますよ」と引き出しを開けていらっしゃいましたよね? 中原さんが出してあげることはせず、なるべく本人にやってもらうようにしているのかな、と感じたのですが。
はい。確かに自分でやってしまった方が早い、というのは誰もが思うことですよね。でも機能を低下させないためにも待つことはすごく大事です。今後、国が在宅を増やしていこうとするなかで、自立支援は常に念頭に置いています。それにさっきの方、私がケア中に掃除機を取り出してその場を少し離れて戻ってみたら、いつの間にかご本人が掃除機をかけていらっしゃって。その姿に「えっ!?」って、思わず笑いが出てしまいました。
まずは血圧を計測。特に問題なし!
―その方の意外な一面を見た!という感じで?
そうです、そうです。ご利用者さんも毎回同じなんてことはないじゃないですか。想像もつかない行動をご利用者さんがされているのを垣間見ると、何だか愛しく思えて、つい笑顔になってしまいますよね。それに今日、その方が実はコーヒーが好きだということを知りまして。年配の方だからお茶が好き、と勝手に思っていたら大間違いでした。日頃のコミュニケーションを通して、新たに発見できることっていっぱいあるなと思います。だから私は、ケア中もできる限り、ご利用者さんと会話をするようにしていますね。
バイタル測定記録をご利用者さんのすぐ確認できる場所に移動することを説明。
―なるほど。ご利用者さんに対して話しかけることの他に何か心がけていることってありますか?
いつも明るく元気で、太陽みたいな存在でいるように心がけています。
入浴に行く準備をご利用者さんと一緒に。着替えを自分で出してもらうように促します。
―では、訪問の仕事で今まで辛かったことや悩んだことなどありますか?
あったとしても、上司である富永さんに相談して引きずらないようにしています。以前、私がご利用者さんに「こういうことで怒られました」と相談した時、「怒られたのは、ご利用者さんとの間に信頼関係ができてきた証拠じゃない」って言ってくださったんです。「あなたがこうだから怒られたんでしょ」ではなくて「信頼関係がないと怒られることもないから、やっとその関係性ができてきたんじゃない?」って。そういう風に言ってくださったことで心も軽くなり、ご利用者さんとの向き合い方も今までと変わった気がします。なので、今ではちょっとしたことでもすぐ報告・相談しています。また逆に、ご利用者さんから私のことで何か注意されることがあれば、すぐに言ってください、とも言ってありますね。
ご利用者さんが入浴中の限られた時間内で洗濯など素早く作業。
―上司の方ともいい関係性を築かれているのですね。では最後に、訪問という仕事の楽しさってどこだと思いますか?
ここは施設なのでご自宅とはまた少し違うかもしれませんが、それでもその方の家にお邪魔するわけですよね。その方の生活に入り、マンツーマンでゆっくりケアすることで見えてくる、その時にしか見せないご利用者さんの一面というのがあります。それがすごく貴重で楽しいです。今日みたいに掃除機をかけだしたり、他にも雑巾を間違ってタオルにしていたり…。「えっ、そこーー!?」って思えるような発見があるのが、この仕事の面白さだと私は感じています。