今後の展望
ずっと現場主義でいたいです!
憩いスペースは、入れ替わり立ち代わりご利用者さんが利用する人気スポット。
オセロに興じるご利用者さん。ほのぼのとした雰囲気。
―職場の雰囲気はどうですか?施設内に他の事業部もありますが横とのつながりなど?
職場は明るくて家庭的。横との連携もすごくとれていますし。相談員、ケアマネ、看護婦さんと一緒にお昼ごはん食べながら情報交換もよくします。同じ施設内だから、ちょこちょこ行き来してコミュニケーションをまめに取り合えるのはいいですよね。それに私は訪問だけですが、他の職員は異動も多く、サービスを色々兼務しているので、他部署の気持ちも理解できる人が多いんです。ご利用者さんに関してもあらゆる側面から熟知している方ばかり。何かあった時は、お互いフォローし合う体制が自然ととれているんじゃないかな、と思いますね。
施設内のお部屋。日当たりがすごく良い。
小笠原さんの職場であるワーカー室。
―それはすごく頼もしい限りですね!では、サ責として職員をまとめていく立場として何か苦労されていることは?
うちは働く職員が若人から年配まで年齢に幅があります。世代によってケアに対する意欲や考え方が違うので、そこの調整をとるのは大変です。年配の方は今まで何十年もやってきた経験から、より確実な方を選択しようと考えます。でも、若い子たちは「これもやってみよう、あれもやってみたい」という気持ちが強くて。私としては色々やらせてあげたいのですが、チームワークで動く仕事でもあるので、簡単に「やってみたら?」とは言えず。両者の調整をとるのはなかなか難しいですね。
ワーカー室奥にはくつろげる座敷部屋が。夜勤の人もここで一休みできる。
―例えば若い子たちから出る提案とはどんなものがあるのですか?
例えば…ご利用者さんの洗濯ものを洗うタイミングについてなのですが。うちは夜勤が1人で、身体介護の業務が昼間より少なめです。そこで、夜間に洗濯ものをすれば、早番やその後入る人たちの業務が他の業務に充てられるのでは?という意見が出ました。でも現状が変わり、急遽対応しなければならないことがあるという話しもあって。その気持ちも分かるだけに、なかなかうまくいかないな、と(苦笑)。
席は特に決まっておらず、好きな場所に座って仕事をする。でも小笠原さんの定位置は大体ここ。
―そういう時、小笠原さんはどう対処されるのですか?
なるべく妥協案を出すようにはしますね。いきなり変えるのではなくて、今回はこれでやってみて、ダメだったら戻せばいいんじゃないかな?と話してみたり。もっとお互いが噛み合ってくればいいなって。年配の方は長年培ってきた知識や経験で、ご利用者さん同士のトラブルを対処したり、その場を丸くおさめるのがすごく上手。若い子はどうしていいか分からずに、火に油を注いでしまうこともあったりで。お互いにいい引き出しをそれぞれ持っているので、それをもっと尊重し合えたらいいですよね。
施設内上階には、カラオケや踊りができる広い畳スペースも。月に数回あるクラブで使用。
―本当ですね。小笠原さんは今後どんなことにチャレンジしていきたいですか?
まずはこの仕事が大好きなので、いつまでも現場主義で働いていたいという気持ちがあります。施設長にはケアマネの資格も取ったらと勧められてはいるんですけれど(苦笑)。やっぱりおじいちゃん、おばあちゃんとずっと関わっていたいなって。あとは、うちの法人に4月から保育園ができました。保育士の資格も持っていて、元々興味もあった分野だから、もしまた他に保育園を開設することがあるならば、立ち上げに関わってみたいな、とも思います。 新しい分野にトライしてみてもいいかなと思えたのは、実際自分が子育てを体験したからこそ。そういう心境の変化も受け入れながら、新しいことにもトライしていけたらいいですね。
編集後記
急な坂を登り、小高い丘の上にある「養護老人ホームすえなが」。穏やかな住宅街のなかにあります。施設内は常に温かい人の気配にあふれて、気持ちも朗らかになる空間が広がっていました。職員の方々がすれ違い様に笑顔で挨拶をしてくださるのがとても印象的で、こちらまで清々しい気持ちになりました。廊下で、食堂で、憩いスペースで…、出会うご利用者さん一人ひとりに声をかけては明るく会話をする小笠原さん。お互いから笑みがこぼれる姿が微笑ましく、また何よりご利用者さんが楽しそう!同時に、「ご利用者さんのことが大好き」という小笠原さんの気持ちもすごく伝わってきて…。小学校から思い描いていた漠然としていた夢、『自分のする何かで誰かが幸せになる』、それがまさに今叶っているんですね。
今回、取材にご協力いただいた小笠原千恵子さんをはじめ、『養護老人ホームすえなが 訪問介護事業所』職員の皆さまには心からお礼を申し上げます。
「へるぱ!」運営委員会一同