『介護技術トレーナー養成研修』の立ち上げ・発足
介護技術の標準化を目指し、最終目標は「誰もができる介護技術」です。
認定介護トレーナーの皆さん!
―ヘルパーのお仕事の他に、平成24年から実施された『介護技術トレーナー養成』にも勝田さんが関わっていると伺いました。これはどういった取り組みですか?
群馬県ホームヘルパー協議会で発足したもので、介護技術のスペシャリスト滝波順子先生が提唱なさる理論に基づいた介護技術、それを次世代へと受け継ぎ、指導できる立場の人間を育てようという取り組みになります。
クレーム案件も細かく内容を明記。全員が確認済みの判を押してファイリング。
―それはどんな経緯で始まったプロジェクトなのでしょう?
平成17年に、群馬県ホームヘルパー協議会の会長に私が就任したところまで話しは遡ります。役員になると、初任者研修などで初任者や未就業者の前で介護技術を披露する講師をしなければいけません。これはもう、先代からの恒例行事で、皆夜遅くまで資料作成をし練習して本番に臨むのですが、その年も前年度と同じく研修を実施するなかで、「果たしてこれでいいか?」という疑問が頭をもたげてきてしまったんですよね。それは私だけでなく、参加した他の役員や事務局のメンバーみんなが同様に感じていたことでもありました。
班ごとにカラー分けし、見やすく各担当者のラベルが貼られた収納ケース。
―みんなが感じていた疑問とは?
講師となる人は皆、国家試験を取得し、長年介護の現場で経験を経てきたプロのヘルパーでもあります。その一方で、誰もが先輩たちから見よう見まねで学び、どこか自己流にアレンジしてしまった技術でもあり、その人によって少しずつ方法が違ったりするんですよ。体系化されていない技術をそれぞれが「これでいいんだ」と今までは教えてきたけれど、この先これでずっといい訳がない、と当時のメンバー全員でその想いを共有してしまったんです。そこで改めて、納得のいく介護技術を後世に残していく、という課題を目の前に据えたわけです。
事務所内の棚に飾られた小物は、ご利用者さんの手作り作品。
―そこで先程お名前が挙がった滝波順子先生をお呼びしたんですか?
はい。滝波順子先生と出会ったのは、そんな課題が持ち上がった直後でした。介護技術を実演する講演会での先生のキレイな手さばきに感動しまして。足の位置、重心移動の仕方どれ1つとっても滑らかで美しい。先生は「介護技術はアートだ」とおっしゃるのですが、本当に見ていてそう思うぐらいキレイなんです。私もどこか自分の技術に確信をもてないまま来てしまった部分がありましたが、先生の手さばきを拝見してやはり…と的中でした。「なぜそうするのか、何故そうしちゃいけないのか」を理論に基づいて教えていただけるから、誰もが納得できる介護技術なんです。
勝田さんの大好きなこけし作家関口先生の作品が随所に飾られている。
―それで滝波先生の指導のもと、この介護技術トレーナーが誕生したのですね?
先生には数年に渡り、群馬県の介護技術向上のために尽力していただき、本当に感謝しています。最終的には、H24年のホームヘルパー協議会役員が「介護技術トレーナー養成研修」を1つの事業として認め、立ち上げるに至りました。これは事務局にとっても大きな決断であったはずです。そして、第一回目の養成研修では、群馬県の各地区から5名4地区で20名募集をかけました。認定試験と見極めを受け、昨年はトレーナーが2名、准トレーナーが4名誕生しました。今年は、半年間の研修を受け、准トレーナーがトレーナーに昇進するなど、年を重ねるごとに介護技術の指導者が育ってきています。
「渋川ホットプラザ」の建物内に事業所のオフィスがある。
―それはこれから介護業界を担う人たちの将来が楽しみですね。勝田さん自身もトレーナーになられて?
いえ。私は先生のアシスタントをさせていただいています。先生の絶対的な技術、そして私は精神面でのフォローを。やはり介護は人対人なので技術だけでなく人間性も問われます。ご利用者さんと向き合う姿勢や考え方といった部分を私が補えればと思っています。
―今後はトレーナーを増やしてどんなことをしていきたいですか?
これを機に群馬県の介護レベルが全体的にアップし、「ホームヘルパー協議会の介護技術ってすごい」と思ってもらえるぐらいにまでなりたいです。最終的に目指すのは「誰もができる介護技術」。在宅介護が今後増えていくなかで、一般の方でも家庭で介護ができるようになれば、施設に預けなくて済む方も増えると思うんですよ。そんな安心、安全で介護者も安楽な介護、それがこの研修の特徴であり、また今後トレーナーを通して、伝えていきたいことでもあります。