特老(特養)での11年間
信念を持ち、それぞれにしっかり意見を持ったスタッフばかり。
養護老人ホームこはぎ荘の職員部屋の一角に、ホームヘルプサービスこはぎの伊東さんのデスクが。
―高校卒業後は今働かれている社会福祉法人室蓬会の「特別養護老人ホームやまぶき荘」で働かれていたと伺いました。それはどんな経緯で?
卒業進路を考えるのと同時期に、今まで町が運営していたこの特老が民間委託に変わるということで人員募集をしていたんです。試験を受けたら運良く受かり…。地元に居れる、貢献できると思ったら、それはそれは嬉しかったです!
担当割表には、ご利用者さんの介護度や担当ケアマネ、担当ヘルパーを記載。
―そこから約11年間、今年の4月まで特老で働かれていたんですよね!?その間、伊東さんはどんなお仕事を?
就職した当時は4人部屋の施設で、ユニットケアという言葉がちょうど出てきた時。民間委託された際に集まったスタッフがほとんどで、ほぼゼロからのスタート。「あ~でもない、こ~でもない」と試行錯誤な日々でした。仲間に支えられてここまでこれた感じはありますよね。仕事内容は三大介護と生活を支えるといった、介護士としての一般的なお仕事がメインです。あと、ショートステイのお仕事にも関わっていました。
一直線に続くこはぎ荘の廊下。震災後は防災頭巾を目立つ場所へ設置。
―ショートステイとなると、特老とはお仕事内容もまた変わってきますよね?
そうですね。ご利用者さんのご家族に直接会ってお話する機会も多いですし、送り迎えではその方の暮らしを垣間見る瞬間もあったりで。今の仕事に通じることは多々あったと思います。ショートステイのユニットリーダーをやらせていただいた際は、ご利用者さんがより良く暮らすために私達が出来ることを考えるのはもちろん、それを支えるスタッフのこともすごく考えていました。
とても広いグラウンド。運動会や地域の方を招いての催し物もここで開催。
―働く環境についてですか?
はい。いい雰囲気で働くことがチームワークの良さにもつながるのでそこは大事にしていた部分です。信念を持って努力されているスタッフばかりなので、皆さんいい意見を一杯持っているんですよ。それを聞かないのはもったいない! だからまずは聞き役に徹していました。みんなの意見を全て聞いたうえで、自分が最終的にうまくまとめられたらいいなという気持ちで、日々努力していたというのはありますね。
施設内にある壇上。歌手を招いてのイベントなどで使われる。普段は憩いの場。
―色々な意見があると時には対立することもあるのでは?
もちろんあります(苦笑)。でも対立するのはいいことだと思うんですよ。ただただ、トップダウンで流れていくだけでは、より良くはならない。色々な意見があってこそ、なので。
―なるほど。そうしたスタッフをまとめる立場もやられてきた11年間のなかで、一番のやりがいは何ですか?
やりがいというか、私、お年寄りとお話するだけでいいんです。「あ~だよね、こ~だよね」って会話したり、一緒の空間にいれることだけですごく幸せ。それは昔も今も変わりません。