・アセスメントの考え方
アセスメントとは、利用者の生活全体を様々な視点から把握することから始まります。「どのように暮らしたいか」、「そのために困っていることは何か」、「解決に向けてどのような援助が必要か」を明確にし、情報収集を行います。さらにその情報の意味を解釈し、関連する情報をつなぎ合わせていくことで課題が導き出されます。簡単に言えば、情報収集、情報の解釈・関連づけ・統合化、課題の明確化です。
アセスメントの視点は、①人生の豊かさ、その人らしさ、尊厳(その人らしい生活ができていない点はないか)、②安全な暮らし、生活の安定、リスク的要素(生活するために危険な点はないか)、③日常生活の自立・潜在能力(有する能力を活用できていない点はないか)、④生命の安全、健康状態や心身の状態の変化(健康状態が悪化するような点はないか)などを意識して、生活全体を幅広く情報収集します。
・ICFと介護過程
ICFは国際生活機能分類といわれるもので、生活機能という広い視野からプラスの側面に着目し、①健康状態、②心身機能・身体構造、③活動、④参加、⑤環境因子、⑥個人因子といった全人的に捉えた6つの要素が相互作用しています。
しかし、この言葉では理解しづらいため、下記の⑤カテゴリーに分類し直しました。
- 健康状態(主な疾患、バイタル、服薬、既往症、認知症など)
- 日常生活の状況(ADL、IADLなど)
- 楽しみ(生きがい、余暇、意欲、興味、役割)
- 環境(生活環境、経済状況、家族関係、介護サービス利用状況、福祉用具など)
- 生活習慣(価値観、習慣、性格、生活歴、特技、一日の過ごし方など)
介護過程は、介護を提供するまでの道筋を明確にするもの、つまり、「何のために訪問介護をするのか」という根拠と理由を明らかにしたものです。ケアプランと連動しており、ケアプランの目標をさらに具体化したもので、訪問介護として「なぜ」、「何のために」、「どのように援助するのか」を明確にするのが目的です。これらは、①アセスメント、②計画、③実施、④評価で構成されています。
・どのように行うか
実際は、ICFを基に分類したシートにそって収集した情報にナンバーを記載していきます。次に、関連した情報をつなぎ合わせ、情報の解釈をします。これが介護をする根拠になります。さらに、根拠に基づき必要な介護を導き出す、これが課題です。このように論理的に行うことで、利用者個別の状況に応じた訪問介護を明確化でき、専門性を発揮することもできます。地域包括ケアシステムのなかで、他職種との連携もしやすくなると思います。
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