訪問介護に異動して
訪問現場を体験して、改めてヘルパーという仕事の大切さを身にしみて感じました。
家のなかには車椅子で出入りできるスロープが設置されている。
―特養で7年、その後人事異動で訪問に来られたんですよね?
はい。昨年(2012年)の4月に突然異動が決まって、業務内容も把握しないままに来てしまい、最初は大変でした。「そもそもヘルパーって何?」ってとこからでしたから(苦笑)。
ご利用者さんに買い物を頼まれて、内容を一緒に確認中。
―ではサービス提供責任者という言葉も知らずに?
そうなんです。辞令の時にサービス提供責任者と言われて「?」で、周囲のスタッフに後々尋ねたんです。そして聞いてびっくり。責任の重い仕事に「怖い~」って。引き継ぎもなく来てしまったので、全てイチから自分でやらなければいけなくて、毎日地図とにらめっこでした。このお家とこのお家は近いから…と調べたり、スッタフに聞いたり。スケジュール作りにはだいぶ苦戦しました。
買い物メモ。買うものを間違わないよう注意書きが赤字で書かれてある。
―実際に訪問現場に行かれてみてどうでしたか?
それまで、独居の方の生活を想像することはできてもその大変さを実感できずにいました。でも実際に独居のご利用者さんを訪問した時「私たちが帰ったらこの方はずっと一人ぼっちなんだ…」と切実に考えさせられて、ヘルパーのお仕事って本当に大切、と改めて感じました。また、ご利用者さんの訴えにあわせて対応できるのも訪問ならではですよね。本来自分がしたかった介護がそこにはあって、毎日仕事が楽しいです。
限られた時間での買い物は素早く! 食材を選んだらすぐレジへ。
―それは何よりです! 今日実際浅沼さんが訪問されている現場を拝見して、訪問ではどこまでご利用者さんの手助けをするべきか、その見極めが難しいなと感じたのですが。
そうですね。「手伝って」と言われるまでは出来る限り本人にやってもらうようにしています。あとは「出来ない」ものをどうやったら出来るか、ご利用者さんと一緒に考えたり。ちょっとした工夫で出来るようになると、ご本人もすごく喜んでくれますよね。
買ってきた鶏肉をご利用者さんが使いやすいよう小分けにして冷蔵庫へ。
会話しながら報告書を記入。「明日来るのを楽しみにしているよ」とご利用者さん。
―「出来た」という喜びは次に頑張る力にもなりますものね。浅沼さんが訪問介護に入られる際気をつけている点は何かありますか?
パンの袋とかメモとか色々溜めておくご利用者さんがいらっしゃるのですが、掃除の一貫で簡単に捨てないようにしています。何のためにとっておくのか聞くと「これは美味しかったから」とかその方なりの理由があるんですよね。他人からしたらゴミに見えるものでもその方にとっては必要なもの。なるべくご利用者さんの生活を壊さないようなケアを心がけています。