『猫の手』のこれから
ヘルパー1人1人の質を向上させていくこと。
社長が「この二人に任せておけば安心」と信頼関係もばっちりの迫谷さんと長野さん。
―ご利用者さんの意識とはどういうことなのでしょう。詳しく教えていただけますか?
長野―それはヘルパーに対して、“すべてやってくれる人”という意識が強まってきたということです。
迫谷―確かに…。そのへん誤解される方もいらっしゃいますね。ヘルパーってお手伝いでもなくボランティアでもない。あくまでも介護保険で決められたなかでの援助ですから。そこをきちんと理解されておらず、「換気扇掃除して」「窓拭いて」と言われたりね。出来ることはしてあげたい気持ちもありますが、やりはじめたら際限なくなってしまう。それに、一人がやると他の曜日に入っているヘルパーにも同じ要求がいってしまいますしね。
長野―事業所には「あれをしてはダメ」「これはダメ」と国からの指導が入るけれど、ご利用者さんやご家族に対しての指導はない。おそらくケアマネさんが国に代わって説明をしてくれているとは思うんですけれど…。なかなかそこの線引きは難しいですね。
各々スタッフが事務作業を機敏にこなしています。
―そこはサ責でもあるお二人にとって、悩ましい部分かもしれませんね。
迫谷―はい。でも現場にでて、まめにご利用者さんとコミュニケーションをとることで解消できていくことも多いのかなと思います。
長野―コミュニケーションをうまくとれれば、ご利用者さんとの信頼関係も築け、結果的には「『猫の手』に頼みたい」と言ってもらえたり、ケアマネさんにうちを選んでもらえるようになるのかな…って。そうなっていくのが理想ですよね。
ヘルパーさんの移動は車がメイン。『猫の手』専用の車が7台もあるそう!
迫谷―「このヘルパーさんはいいけれど、このヘルパーさんは嫌だ」ではなく「『猫の手』のヘルパーなら間違いない」とご利用者さんに思ってもらえるよう、ヘルパー1人1人の質を向上させていく努力を今後はしていくべきでしょうね。それこそ、今後の課題なのかな、と。
長野―そうですね。研修会だけでは補えない部分も多いので、実地で指導したり…。そういうことを地道に1つずつやっていくことで、サービスの質を向上させていきたいですね。
編集後記
「電球をかえてほしい」「掃除に困っている」といった、お年寄りのちょっとした悩みを解決する便利屋としての活動が『猫の手』のはじまりだそう。「猫の手も借りたい」というネーミングからきているんです…と今日に至るまでの経緯をお話してくださった社長の想いは、損得なしのとても真っ直ぐなものでした。在宅で介護されたい、それがみんなの気持なんじゃないのかな…と語る社長のもとで働く迫谷さんと長野さんも、しっかりその想いを継いでいるようです。武道で鍛えたたくましい体つきとは正反対に物腰柔らかい迫谷さん。事務に現場にとパワフルに働く長野さん。笑顔で出迎えてくださったスタッフのみなさま。そして、何より快く撮影させてくだったご利用者さんの漆山さん夫婦。何かとても暖かいものをいただいた気がした今回の取材でした。
今回、取材にご協力いただいた迫谷勝彦さん、長野礼子はじめ、『猫の手』の職員の皆さまには心からお礼を申し上げます。
「へるぱ!」運営委員会一同