事業所「にこにこ三豊」について
『いいケアを提供する』ためにメンバーで意見を出し合う。
「行ってきます!」と元気にヘルパーさんが訪問先へ。活気あふれる職場です。
―栄養士から在宅のケアマネへと変化はあったものの、15年間務めた病院を辞めて特別養護老人ホームのケアマネ業務にうつられたということですが…。
特養から「ケアマネで辞める人がいるから代わりに来てほしい」との依頼がありました。長年勤めた病院を辞めることは私にとっても大きな変化なので、だいぶ悩みましたよ。ただ、15年間慣れ親しんだ環境から離れて、新しいことに挑戦してみるのもいいかなぁ…と。こんな私でも必要としてくれるなら、とにかく引き受けてみようと決心しました。
カメラを向けたら無邪気にポーズを返してくれたご利用者さん。
―なるほど。特養での業務はそれまでの在宅と少し違うと思うのですが、実際豊田さんはどんなお仕事をされていたのですか?
ケアマネとヘルパー業務を兼務しながら時には相談員などもしていました。決められた業務以外のことも幅広く任される環境でしたので自分でできる範囲のことは色々と…。その間、介護福祉士や社会福祉主事の資格も取得しました。その当時は周囲にすすめられるまま取得した資格でしたが、「にこにこ三豊」に来て活かされているので、人生に無駄なことはないなって思います(笑)。
ご利用者さんにも手伝ってもらって昼食の準備を。とても美味しそう。
―どこで何が役立つかは分からないですものね。そんな特養を5年間勤められて辞められた理由とは?
それは在宅介護復帰をしたかった…その一言に尽きます。施設の仕事をすればするほど、在宅介護への思いが強くなっていったんです。限られた空間でのケアだとご利用者さんと対等になりにくい…というと語弊があるんですが、どうしても私たち本意な介護になりがちです。一方、ご利用者さんの城である"家"にお邪魔するケアは、あくまでもご利用者さんが主で、個人の尊厳があるんですね。本来あるべき姿でご利用者さんがいられるのが、在宅介護なんじゃないかなって思うようになりました。私も在宅介護を望む一人。将来自分が通る道としても、真剣に取り組んでいくなら今だ! と思い立ちました。
高松商業高校の学生さんがデイサービスの実習にいらしてました。
―で、にこにこ三豊に来られたんですね。
はい。ここに来てまず、現場の明るさと和やかさにびっくりしました! 何かあれば、職員みんなで「こうしたらいいんじゃないか」と意見交換をしたり、苦情が来ればすぐ上長と相談して対応方法を決めるなど、ご利用者さんに『いいケアを提供する』という部分が徹底されているなと感じました。それが管理されているというよりは、皆さん自然と出来ているんです。知識や経験豊富な方ばかりだから、意見も素直に受け入れられますし(笑)。また、間違ったことに対してはきちんと指摘し合えるんです。信頼できるメンバーに今はすごく支えられています。
今月の献立表。誰が担当調理なのか、顔のイラストつきで分かりやすい。
―それは、サ責同士だけではなくて、ヘルパーとの関係性でも同じようなことが?
ヘルパーさんがケアのなかで、何か気づいたことあれば必ず報告してくれます。それはこちらから声をかけずとも自主的にしてくれるのでいい信頼関係が築けているんじゃないでしょうか。それに、ヘルパーさんそれぞれ色々な引出しをお持ちなんですよ。ケアの内容もオリジナリティがあり、何かあれば各々が持つその引出しから上手に対応してくださっているようです。「こういう風にしたらお風呂をスムーズに入れることができた」などの報告を受け、次回はこうしてみよう! という話も頻繁にありますし。今後はそうした情報交換の場である、担当者会議やミーティングの機会をもっと増やしていきたいなぁと思っています。
―「にこにこ三豊」には、まごころサービスという介護保険外のサービスもあるとお聞きしたのですが…。
そうなんです。このサービスのニーズは非常に高いんですよ。介護保険では補えきれない生活不便を、皆さん多く抱えていらっしゃるのが現状です。例えば、「庭の雑草が生えているとストレスだから、週に1回草引きをしてもらいたい」「デリバリーのお弁当は美味しくないから、つくりに来て欲しい」「ゴミ出し」「大掃除」・・・など、要望内容は様々。生活するうえで不自由なちょっとしたサポートが求められていることに気づかされます。料金はかかるとはいえ、「にこにこ三豊」ではかなりリーズナブルな価格設定です。正直赤字覚悟ではありますが(苦笑)、それでも求めている方がいる限り、今後も力を入れるべき部分であり、真摯に対応していきたいと思っています。