ご利用者さんとご家族、そして『あいめいと』の関係について
ご家族の負担を軽くするのも私たちの役目
パソコンを使って資料作成するのも門田さんのお仕事。
―門田さんが介護の世界に入ったのは、老人ホームの理事長をやってみないか?と誘われたのがきっかけだとうかがいましたが…。
そうなんです。専業主婦で知識も経験もない私がそんな大役を努められるのかしら?と不安でした。でも、外部の目線を取り入れたいから、とおっしゃるんです。内部に詳しくない私が入ることで、色々素直に意見してもらいたい・・・という理由からでした。それならば、私でもお役に立てるかもしれないと引き受けることにしたんです。
大きな窓の下にはご利用者さんが座ってくつろぐスペースが設けられている。
―最初は理事、その後管理者として現場で働かれるようになって、立場が変わることで介護に対して抱くイメージに違いはありましたか?
理事だったときは、やはり外側からでしか介護の現場を捉えられていなかったんでしょうね…「このおばあちゃんいい人じゃない。 なぜ、家で看てあげないのかしら」と素直に思ったりしたものです。でもいざ、私が介護をする立場になってみると、本当に様々な家庭環境の人がいることを再認識させられました。それぞれ事情があって、やむにやまれずこういう状況になっている。だからこそ支援が必要なのだと。それが身にしみて分かりましたね。そして、介護というものがいかに家族の負担になっているかを思い知ったのです。
お食事をするご利用者さんと会話を楽しむスタッフの姿を発見!
―現実の厳しさを間近で経験された門田さんですが、まだまだ介護に対する社会的理解度って低いですよね・・・。
その通りです。介護をするご家族に対する世間の目はとても厳しい。介護をする家族にも家庭があるわけで、新たな家庭を築いていかなければならない使命もある、そこにいくら自分の親だからといって急にポーンと面倒を看なければいけない状況になっても、やはり限界はありますよ。
ご利用者さんに対してまめなスタッフたちの声がけが印象的だ。
―だからこそ、ヘルパーやデイサービスを利用して少しでも家族の負担を減らすことが必要なんですよね?
昔は、デイサービスに出す嫁に対して、家にお嫁さんがいるのに…と陰口を叩かれたものです。でもそうじゃないんです!! そこに至るまでには様々な事情があって、それぞれが苦渋の決断をしている方が大半なんです。だからこそ、私たちもご家族にベストの選択をしたんだ、と思っていただけるよう最善を尽くしていきたいです。
ご利用者さんが実際に編んでつくったバッグは既製品並みの出来栄え。
―ご家族の方がご利用者さんを安心して預けることのできる信頼関係をヘルパー、事業所としっかり築けることができたら、それだけでご家族が抱える心の負担はぐっと減るでしょうね。
だと思いますよ。介護するご家族が自由にできる時間を持つことはすごく重要なことだと私は感じています。1人の時間で気持ちをリフレッシュすることで、心に余裕が生まれ、優しい気持ちでご利用者さんに接することができますよね。一方、ずっと閉じこもりだったご利用者さんにとっては、家から外に出ることで生活にメリハリがつきます。ここではスタッフからの声がけもいっぱいあるし、大切にされている…と思えることで心が満たされるんでしょう。皆さん徐々に笑顔を取り戻されるんですよ。
玄関には、『あいめいと』の企業理念が掲げられている。
―なるほど。介護が間に入ることで、ご利用者さんとご家族の関係もいいかたちで循環していくんですね。
そうなんです。だから、今後は様々な環境下でなかなか外に出ることのできないご利用者さんたちをもっともっと外に出してあげたいと考えています。そういう方たちの楽しみを見つけられる場として、また、活き活きとした生活を送れるようにお手伝いしていくのが今後の『あいめいと』の使命かなと思っています。
編集後記
「ここが最終だと思います」と力強く言い切った門田さんの表情からは、本当にしたかった介護が確実にできつつある…という充足感と今後への闘志がみなぎっているように感じられました。「ご利用者さんや家族から必要とされることが体にしみ込んでいて、それが今は生きる活力になっています」この言葉を聞いて、そこまで生きがいと思えるものに生涯で出会えているのだとすれば、それはとても幸せなことなんじゃないかな…としみじみ思った今回の取材でした。
今回、取材にご協力いただいた門田佳美さんはじめ、デイサービスセンター
『あいめいと』の職員の皆さまには心からお礼を申し上げます。
「へるぱ!」運営委員会一同