Q : 仕事を続けようと思う、その活力の源は?
A : ご利用者さんの笑顔こそが私の励みです。
河内さんと楽しそうに会話するご利用者さん。エピソードもつきない。
―河内さんは67歳の今現在も働かれているわけですが、この歳になっても仕事を続けられる、そのバイタリティってどこにあるのでしょう? 正直すごいなって思います。
周りから辞めたらボケるよって脅かされているからです。それは冗談ですが(笑)、何よりの励みはご利用者さんの喜ぶ顔。私たちが訪問したときに嬉しそうにしてくださるから頑張れるというのもありますね。
―今日同行させていただいたご利用者さんも河内さんがいらっしゃってすごい嬉しそうでしたね。私にも「ようこそいらっしゃいました」って歓迎してくれたのが印象的でした。
やはり寂しいんでしょうね。待ってました! とばかりにすごい勢いで話されるご利用者さんも結構いらっしゃいますよ(笑)。もともと接客業をしていたこともあって、私自身、人と話をするのが好きなので楽しいです。皆さん人生長く生きてきた先輩ですから、色々なことを知っていますしね。
「すぐ飲めるようパッケージは取ってね」と気配りを忘れない。
―失礼ですが(笑)、河内さんの年齢的に若いヘルパーさんよりもご利用者さんと近い世代ということもあって、話しも合いそうですよね?!
相通じるところはやっぱりありますよ。近い立場でお話ができるというのはこの歳のメリットです(笑)。昔の俳優や映画、歌にしてもご利用者さんがのってきてくださったり・・・。そういう意味では、若い方よりも話に幅があるんじゃないかなって思いますね。
実習生含めテキパキと仕事をこなしていきます。
―きっとご利用者さんにとっても河内さんと話すことで生きる希望を見出したり元気になったりしているんでしょうね。
だといいですね。私もご利用者さんが元気になる姿が何よりも嬉しいです。この施設でも、重い病状の患者さんが回復する様子を何人か見かけました。もちろん私たちヘルパーのケアの影響もあると思いますが、皆さん共通して家族の方がよくいらっしゃっていました。最初、歩けなかった方なんかは、毎日夕方息子さんがいらして歩く練習を一緒にするんです。そして歩けるようになったら次のステップに・・・、また、会話が不自由な方にいたっては、奥さんが根気よく声をかけ続けることで話せるようになったり・・・。
「大葉の切り方はこうやるのよ」と実習生に実践して見せる河内さん。
―やはりご家族のケアが大きいということですよね。
そりゃあもう、絶対です。だから、在宅であってもヘルパーが顔を出すからいいや・・・とほったらかすのではなく、家族の方にもまめに顔を出してもらいたいな、って思います。皆さん寂しがっていますからね。
―ご利用者さんが抱えているそのような寂しさであったり、想いを河内さんが代弁してご家族に伝えることはありますか?
それは残念ながらあまりありません。ご家族と直接顔を合わす機会が少ないというのもあります。それに、ご家族にはご家族の考えがあるでしょうから、あまり強く言っても・・・というのはありますよね。でもご利用者さんの状態で気になったことがあれば、ご家族にはきちっと伝言しますよ。
ご利用者さんに頼まれたこともきちんとこなします。
―それは例えばどういうことでしょう?
ご利用者さんのなかには「ここが痛い」「今日はふらふらするの」といったような、体の調子について話される方が多くいらっしゃいます。ご家族にとってみたら「これぐらい大丈夫」って流されてしまうことも、私たちはしっかり受け止めてあげられますから。熱を測ったり、お小水の色を確認するなど体調チェックをして、気になるようなことがあればご家族にお伝えします。
―そうやって、ご利用者さんが河内さんに本音を言えるのも、信頼関係がきちんと築けているからこそ! だと思いますよ。
そうですね。とにかく頼ってもらわないことには始まらないので、気安く会話ができるような存在であるよう心がけています。