■介護業界に「入っちゃった」ワケ
▲「体を動かしますよ」―利用者さんに声をかけながら、身体介護を行う室岡さん。
―そもそも、この業界に入ったキッカケは何ですか?
室岡さん:実は、入りたくて入ったというより、「入っちゃった」という感じなんですよ。私は短大で児童福祉を専攻していましたので、卒業後は保育所で働くつもりでした。ところが、当時世間では不況の風が吹いていて、いざ就職活動をしてみると保育士の求人などほとんどありませんでした。中小の一般企業なども一応受けてみましたが、業種を変えても求人枠が少ないのは同じで、何とか内定を貰うことができたとしても、規模縮小などの理由で内定が取り消されることも稀ではありませんでした。実際、私もそうでした。本当に散々な就職活動でしたね。
▲エプロンを着替えたら、今度は調理。今日のメニューはいんげんの胡麻和え、温野菜のサラダ、焼き鮭。
そして、紆余曲折しながらようやく最後にたどり着いたのが「介護福祉施設」への就職でした。特養の擁護施設なら短大で学んだことが活かせるのではないかと思ったのも、決め手になりました。
―そこが介護福祉業界の入口だった、というわけですね。
室岡さん:はい。その後は結婚や出産など、人生の節目ごとに退職と転職を繰り返し、施設のほか、デイサービス施設なども経験してきました。
スタート時点では希望通りの進路とは言えませんでしたが、介護業界に飛び込んで良かったのかもしれないなと思っています。相手が子どもだと、泣いて騒いで、ある程度やることが想定されますが、高齢者の場合は大人だからそうはいかない。泣きはしないけれど、思ってもみないような予想外で大胆な行動をとったりします。だから毎日に変化があって、それはそれで面白いですしね。
―訪問介護に興味を持たれたのはいつ頃ですか?
室岡さん:デイサービスで働いていた頃です。訪問介護の経験者と出会って、色々話を伺ううちに興味を持つようになりました。それで「次に転職をするなら・・・」と思うようになりました。でも、周囲からは止められましたよ。デイサービスとも施設とも全く違うから慣れるのに大変だろうって。
▲声をかけたり表情を確かめたりしながら、利用者さんのペースに合わせて食事介助を行う室岡さん。
―実際に訪問介護に携わってみて、いかがですか?
室岡さん:周りに言われていたとおり、やっぱり大変でした(笑)。トータルで7年ほど介護業界にいるとはいえ、訪問介護の仕事は始めてまだ6ヶ月程度ですから、右も左も分からないことだらけなんですよ。それに、施設やデイサービスの頃とは違った気の遣いかたが求められますしね。今はケアマネージャーの資格を取るための勉強も併せて行っていますが、利用者さんと関わる毎日の中で、少しずつ知識と経験を積みかさねているところです。
―毎日の業務の中で、苦戦していることはありますか?
室岡さん:ズバリ、お料理です。もともと私は料理が得意なほうではありませんし、これまでの仕事で料理をするということはありませんでしたからね。どうも慣れなくて・・・。見た目だけおいしいご飯になっちゃうんですよ。足りないところは利用者さんや事業所の先輩方に色々とご指導いただきながら、毎日勉強させていただいていますが、これは未だに苦労しています。