質の高い介護とは何か。それは「利用者のニーズに的確に対応した介護」だと言えます。訪問介護サービスにおいては、サービス提供責任者(以下、サ責)が介護支援専門員の援助方針に基づいて利用者の真のニーズを把握し、訪問介護計画を立案します。その訪問介護計画書の支援目的を担当ヘルパーが理解し、適切な支援を行うことで利用者は質の高い介護サービスを受けることができます。つまり、訪問介護サービスでは、サ責が的確に利用者のニーズを把握すること、また担当ヘルパーがそのサービスを的確に実践するかが、質の高さを測る重要なポイントとなります。
質の高い訪問介護サービスは、介護職間の強い信頼関係と良好な連携があってこそ実現できるもの。そのためには、職員の資質を高く保持することが大切で、円滑なコミュニケーションを通して情報の共有化を図ることが必要です。
では、職場環境を整え、訪問介護サービスの質を高めるために、サ責はどのような「考え」「姿勢」「態度」で職務を遂行すればよいでしょう? まず優先的に行うこととして、『考えて行動できるヘルパー』、すなわち『根拠のある介護サービスを提供できるヘルパーを育成すること』だと考えます。
サ責は、ヘルパーの気持ち(利用者理解や支援についてなど)を確認する機会をぜひとも設けてください。そのなかでその方の介護に対する考え方や具体的な支援方法に疑問を感じれば、「なぜ?」と問いかけてみることも必要です。改善が必要と判断すれば、その理由を本人に伝え、様々な角度から考える必要性を問いかけてみましょう。ヘルパーがどうしてそのような言動になったのか、その理由を受け入れつつも、改善の必要性を本人自身が考え、気付けるように促してあげることも大切です。考えるヘルパーが増えれば、根拠ある介護実践ができるヘルパーも必然と増え、質の向上につながります。
適切な報告・連絡・相談ができるヘルパーは、介護職として資質の高い人材だと言えます。ゆえにサ責は、そのような人材を、専門職としてプライドを持ちながら自己言動を内省できるヘルパーへと育成していく必要があります。
介護保険制度の見直しにより、今後増えると考えられる住民主体の生活支援サービス。そことの差別化を図るためにも、利用者や他職種から「さすがプロ」と言われるような、根拠に基づく介護サービスを安定的、かつ継続的に提供できるヘルパーを育成していくことが急務です。そのようにして、質の向上を図っていってほしいと考えます。
以上は、私のヘルパーの実務経験を参考に考えたもので、現在実践しているサ責の方々からは理想論と一笑されてしまうかもしれません。ですが理想を追うことは、目標を持つということです。目標なしに職場改善や資質向上は図れません。できることから少しずつ行動に移すことが、理想(目標達成)に近づく道であるということを理解して頂ければ幸いです。