他職種理解は多職種連携の基礎であるため、本学では、理学療法士、作業療法士、歯科医師、介護支援専門員等から各職種の専門性や具体的な業務内容などを学び、介護職としての連携意識を高めると共に多職種連携を具体的にイメージさせる授業を行っています。
「介護職は利用者の生活状況を最も知る立場なので、利用者の日常生活における情報を届けてほしい」「遠慮なく声をかけてほしい」「利用者の生活について一緒に考えていきましょう」などが他職種から介護職へ向けた共通のメッセージでした。
特に理学療法士からは「トレーニングしていることを日常生活の中でいかに活用していくかを考えてほしい」「できることもやらなければ意味がない」「利用者の持っている力を最大限活用する介護を行ってほしい」「介護職と連携することで理学療法の効果はアップする」「介助し過ぎないことが大切」などのメッセージを頂きました。
訪問介護の立場で考えると、共通のメッセージはサービス提供責任者に向けたものと考えてよいでしょう。一方、理学療法士からのメッセージは、直接サービスを提供する訪問介護員に向けたものと思われます。ただ、訪問介護員への行動指示はサービス提供責任者の役割であるため、訪問介護員が理学療法士のメッセージに対応した行動をとれるようになるにはサービス提供責任者の指導力・教育力が重要です。
具体的な指導・教育の方法としては、利用者の「できること」や「望む生活」「なりたい姿」と「訪問介護サービスの内容」の関連性を訪問介護員に理解してもらう働きかけが挙げられます。また、現在の生活を維持するにはどのように支援していけばよいか、利用者の望む生活を支えるには介護職として何を行うべきかなどを考えるよう促すことも有効です。利用者がよりベストな状態で1日でも長く自宅で生活するために「私たち介護職ができることは何?」を訪問介護員に問いかけましょう。時間がかかるかもしれませんが、自分で考えて行動できる訪問介護員を育成して下さい。資質の高い訪問介護員の育成こそが高質な多職種連携を実現させる鍵だと考えています。
サービス提供責任者自身が訪問介護員のローモデルとなり、理念や意識を行動に移せる介護職であり続けることが大切です。サービス提供責任者であるあなたの連携を意識した行動が多職種連携を実現する第一歩であると考えましょう。