夜間訪問に新しいサービスがスタート
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は24時間、複数回ヘルパーが訪問に入れます。
各ご利用者さん宅に置かれている通報ボタン。ワンタッチでok。
―阿部さんが今いらっしゃる市川市福祉公社では、他の事業所ではあまりやられていない『定期巡回・随時対応型訪問介護看護』をやっていると伺いました。これはいつからですか?
2013年の12月からです。なので本当に始まったばかり。今まで通常の訪問介護に加え『夜間対応型訪問介護事業』もやっていまして、さらに今回『定期巡回・随時対応型訪問介護看護』が加わった形です。それにあたり、部署名も特命担当室という名前にチェンジしました(笑)。
―それはまたカッコイイ名前ですね。精鋭部隊が揃っているような印象を受けますが、何人で構成されているんですか?
14名体制です。今まで夜勤で働いていた社員がみんなそのまま特命担当室に。先程挙げた業務に加え、『オペレーター』や『面接相談員』などの業務も兼務しています。
通報ボタンの小型版。紐がついて首にかけることも。
―そして、先程のお話しにあった夜間業務があるんですよね?
はい。まず『夜間対応型訪問介護事業』は、うちの事業所では2006年にスタートしました。これを利用するには、端末機をご自宅に置いてもらうのが条件になります(端末機が設置できない場合は携帯電話からの通報もあり)。ナースコールみたいな感じですよね。
―その端末機が押されたら、ご自宅に?
はい。本当に使わない方はずっと使わずに、頻繁に押す方は頻繁に、と押す回数は人によって違います。昼間だけでなく、夜間に何かあれば対応してくれるヘルパーがいるというのは、ご利用者さんやご家族にとって心強い安心感。すごく望まれているサービスだな、とケアに入っていても実感しますね。私達が夜入ることで、ご家族がゆっくり夜休める、というのもあります。
夜間ケアに向かう阿部さん。自動車が置かれた駐車場まで急ぎ足で。
―そして昨年(2013年)末から始まった『定期巡回・随時対応型訪問介護看護』ですよね。『夜間対応型訪問介護事業』とはどこがどう違うのですか?
まずご利用者さんは従来のサービス『夜間対応~』と新しく導入された『定期巡回~』の併用はできません。さらに、『定期巡回~』を選んだ場合は、その事業所オンリーのヘルパーしか利用できない点が一番の違いです。例えば、昼間にうちのヘルパーだけでなく、他事業所のヘルパーも入っているケースってよくあるのですが、そういう場合は『定期巡回~』を利用することができません。利用するのであれば、うち1本に絞っていただく必要があるんです。
―となると、お気に入りのヘルパーさんが他事業所にいた場合は、その方を切ってまで『定期巡回~』を利用するとは、なかなかならなそうですね。その点はやはりデメリットだったり?
そうですね。それは大きなデメリットだと思いますよ。やはり今まで馴染みのあったヘルパーさんを変えてまで、という決断はなかなかしづらいものです。ただ、事業所側にとっては、他事業所のヘルパーさんが入るとケア方法が違ってやりづらい部分を統一化できるというのはメリットかもしれませんね。また、同じ事業所内なので、昼間に入るヘルパーさんとの連携がとりやすいという点も。ただ、逆に同じ事業所内で全てのケアを回すことになるので、出動回数が増える分、今までの人数で上手にシフトを回していけるか、という不安もあります。
夜間の訪問は、昼以上に安全運転を心がけて出発!
―なるほど。そもそも『定期巡回~』のサービスってどんなものなのですか?
このシステムは、特養のサービスをそのまま在宅へ、というのが根本にあります。だから24時間、複数回ヘルパーが訪問に入れるんです。5分、10分置きに、と今までみたいに間隔が空いてなくても大丈夫。さらに介護度別の定額制になるので、頻繁に利用する人にとってはすごく有難いサービス。逆にあまり利用しない人にとっては割高感があるかもしれません。また、訪問看護との連携がとれる点も大きいですね。とはいえ、まだ始まったばかりのサービス。『夜間対応~』を利用していたご利用者さんが、すぐに『定期巡回~』に移行するケースは少なく、現状は新規の方が利用されるケースが多いです。まだまだ手探り状態で、これから色々いい面もありつつ、改善が必要な問題点も多々出てくると思います。
―従来の夜間サービスに加え、新しいサービス登場で働いている方たちの混乱も多きいですね。とはいえ、ご利用者さんにとって介護を受けるうえで、様々な選択肢があるのはいいことですね。
そうですね。そもそも夜間対応をしていない事業所も多いなかで、あらゆるニーズに対応した事業を展開しているのはすごいことだと思います。今回の『定期巡回~』にしても、始めるにあたり、会社としてものすごい膨大な資料を準備・提出しなければいけなかったようで。そうした介護に対して熱い信念を持ったメンバーと一緒に働けていることは、私にとって本当にいい刺激になっています。『定期巡回~』に関しては、まだまだ分からないことも多く、私自身勉強の日々。まずはしっかり理解して、メンバーと一緒に協力しながら進めていければいいな、と思っています。
編集後記
市川駅直結でアクセスも良く、また常に人の出入りがあって会話が交わされる、活気あふれる職場。ちょっとしたことでも相談しやすい雰囲気があり、多くのご利用者さんを抱えるのも納得の現場です。事業所内には、100名以上の登録ヘルパーを抱えるサ責、ケアマネ、総務、そして阿部さんのいらっしゃる特命担当室があり、これまた大規模。事業展開も幅広く、今回ご紹介した以外にも、子育て関係のサービスがあり、常によりよき介護を提供する姿勢が随所に見える事業所という印象でした。阿部さん含め、特命担当室の方々のお仕事量は想像するだけでかなりのボリューム。それでも、ご利用者さんのために、と新しいサービスに果敢に向き合っていく皆様の姿勢は見習わないといけないですね。
今回、取材にご協力いただいた阿部郁子さんをはじめ、『一般財団法人 市川市福祉公社』職員の皆さまには心からお礼を申し上げます。
「へるぱ!」運営委員会一同