訪問介護を経験して
ご利用者さんの生活を崩さないような介護が求められます。
特命担当室のメンバーでミーティイング。
―色々な介護現場を経ての今なのですね。デイサービスや老人ホームと違って、訪問はご利用者さんと1対1での対峙になりますが、その辺はどうでしたか?
自己責任の部分が増えるので、そこはちょっと怖かったですね。気持ちを毎回引き締め直すというか。そのご家庭に合わせたケアが必要なので、ご家族がいらっしゃるお家であれば、物を動かさないように配慮するなど、ご利用者さんの生活を崩さないような介護という点では、デイやホームと違うなと思いました。
色とりどりのチラシで作られたペン立て。ご利用者さんの手作り。
―訪問介護では、その場にあるものを上手に利用する知恵が必要だ、というお話もよく伺うのですが、阿部さんも?
そうですね。例えば、ご利用者さんが転倒されて起き上がらせるのに、どうすれば楽に、痛くなくできるか、と考えます。家のなかをざっと見渡して、椅子を持ってきて手をついてもらったり、腰の下にクッション入れてみたり…。案外その場で一生懸命考えれば、なんとかなるものです。
ラベルで色分けし、どこに何の書類があるか分かりやすくなっている。
―なるほど。その場の機転が大事なんですね。では、訪問介護での失敗談などありますか?
大きな失敗はないですけれど、クレームはいっぱいあります(苦笑)。でも言われた方が有難いですよ。それを機に「直さなきゃ」と思えるし、逆にご利用者さんとの関係が良好になるケースも多くて。だから、私はきちんと言ってもらいたい方ですね。
事業所向け夜間対応型訪問介護の利用料早見表。
―実際どんなクレームがありましたか?
私の場合、その方のパーソナルに踏み込みすぎてしまうことが多くて。親しくなってきて「この方だから大丈夫」「まっいっかな」という気持ちがどこかにあると……ね。やっぱりどこかで一線は引いておかないといけないんだな、というのは本当に感じます。ご利用者さんはお客様であり、こちらはサービスを提供する側という認識は、頭の片隅にきちんと持っている必要があります。