サツキの花が咲き終わると、じめじめとした梅雨の季節の到来です。
この季節に注意が必要なのは、在宅でも施設でも食中毒です。
食中毒の種類には、細菌性・ウイルス性・自然毒・化学性・寄生虫等があります。
細菌性食中毒 | 感染型 | 病原大腸菌・ウエルシュ菌等 |
毒素型 | 黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌等 | |
ウイルス性食中毒 | ノロウイルス・A型肝炎ウイルス等 | |
自然毒食中毒 | 植物性 | 毒キノコ・ジャガイモの芽等 |
動物性 | フグ毒・貝毒等 | |
化学性食中毒 | 水銀・カドミウム・ヒスタミン等 | |
寄生虫食中毒 | アニサキス・クドア等 |
梅雨に多く発生する食中毒は、細菌性食中毒です。
細菌の増殖に適している条件は、30〜40度の気温と75%以上の湿度です。
梅雨には、この条件が揃います。
細菌性食中毒は、食べ物についた食中毒菌や食中毒菌がだす毒素を食べることで引き起こされます。
食中毒菌が増殖しても食べ物の味も、香りも変わりません。しかし、かなり増殖が進むと、いわゆる腐敗が始まります。腐敗臭が始まると、私達は防衛本能が働いて食べものを口にしなくなります。しかし、加齢と共に嗅覚や味覚の感覚器官は鈍くなったり、認知症があったりすると、防衛機構が働かなくなります。
細菌性食中毒の主な症状は、腹痛・嘔吐・下痢等の胃腸症状で、それに加えて発熱・倦怠感等の全身症状が付随します。原因となる細菌が腸管内で増殖して症状が現れます。
潜伏期間は細菌の種類によって8時間〜数日間とマチマチです。
新型コロナ感染症の流行によりテイクアウトが多くなったこと、高齢化の進展で食事の宅配が増えたこと等、食中毒のリスクが増えています。
細菌感染とは、人体に侵入した細菌が一定の部位に定着して病巣を作ることをいいます。
高齢者の場合、老化による免疫機構の低下や、各臓器の機能の低下によって細菌感染症にかかりやすい状態になっています。
細菌は、人間を地球に例えるとしたら、地球の中のネズミから象の大きさになります。
細菌性食中毒を起こしたということは、地球という人体の消化管の中で、象が群れをなして暴れていることになります。
細菌性の食中毒で嘔吐や下痢症状が始まっても、細菌の消化管での滞留時間を延ばしますので、吐気止め、下痢止めは原則使いません。原因となる細菌を外に出すことを優先に考えます。脱水が怖いので少しずつ水分を補給し、薬として善玉腸内細菌を補ってあげます。
医薬品の種類 | 主な成分 | 医薬品名 |
整腸薬 | ビフィズス菌 | ラックビー・ビオフェルミン |
ビフィズス菌配合剤 | ビオスミン配合散 | |
酪酸菌 | ミヤBM | |
ラクトミン | アタバニン | |
酪酸菌配合剤 | ビオスリー | |
耐性乳酸菌 | ビオフェルミンR | |
乾燥酵母 | 乾燥酵母エビオス | |
止瀉薬 (下痢止め) |
ロペラミド塩酸塩 | ロペミン |
タンニン酸アルブミン | タンニン酸アルブミン | |
ベルベルン塩化物水和物・ ゲンノショウコエキス |
フェロベリン | |
天然ケイ酸アルミニウム | アドソルビン |
感染症にかかると、医師は患者の症状や血液検査から、原因となる細菌を見定め抗生物質を決めています。抗生物質は医師の指示通りに服用することが原則です。
医師の指示通りに抗生物質を使用しないと、耐性菌といって抗生物質を投与しても効き目のない菌ができてしまいます。
抗生物質の投与は慎重に行わなければなりません。ですから、介護者も医師の指示に従い、連携を取ることが大切です。