年々土日はゆっくり過ごせている。料理のレシピを覚え、ヘルパーさんと語り合いながら新しい料理にチャレンジしている。なぜこんなにゆったりとした時間を過ごせるのか考えてみた。
全国から講演会の依頼が来ないからだ。4、5年前までは、月に3、4カ所で講演があり、新しい料理をチャレンジしている暇はなかった。そのかわりギャラがたくさん入り、私が働いている社会福祉法人にたくさん寄付ができ、施設経営も安定していた。しかし世界中景気が悪い。テレビを見ていても、サプリメントやレストランを紹介する番組が多すぎる。日本はどこへ行くのやら。
皮がたくさんついているタコを乱切りにし、米にめんつゆを入れ一緒に炊いた。ご飯の色がピンクになりお赤飯のようになった。ヘルパーさんと二人で「大成功だね。美味しい」と味見をする。こういう時間が最高に幸せだ。幸せな時間をたくさん暗記し、やはり年に2回でも講演会を行いたいものだ。お金が入らないということも少し悔しい。しかしたぶん昔は運が良すぎたのだろう。
きっと生活の喜びを心に溜めていると、いつか花火のように咲かせる時がくると信じている。現にこうして「へるぱ!」という季刊誌に私の心の花火を書いているのだ。歩けなくても手が使えなくてもヘルパーさんという優しい手を信じて生きることが、私たちの最大の仕事だと思う。
不景気に負けず、私は来年またアジアの国々に行きたい。そしてヘルパーさんの手で生きる幸せを伝えたい。アジアの国々にはまだヘルパー制度がないところがほとんどだ。この制度をなんとかアジアに生きている障がいの重い人に伝えていき、親が死んでも自由に生きられるのだ、ということを伝えたい。私にできる仕事はまだまだある。心をふるい立たせ、仕事を待っているのではなく、自分で探し向かっていくのが大切なことだと思う。