七五歳以上を対象に来年四月からスタートする後期高齢者医療制度の保険料試算が全国の広域連合で本格化する。厚生労働省は全国平均の保険料を年間七万四四〇〇円としてきたが、医療費や、地域の高齢者の所得の平均額が高い場合はこれを上回るのは確実視されている。埼玉県では十八日までに年間九万四〇〇〇円と試算した。東京都では非公式な数字ながら最大で年一五万五〇〇〇円という数字もはじき出され、関係者を慌てさせている。 もっと読む
介護・福祉関連ニュース
「主治医」役割あいまい 厚労省社保審の後期高齢者部会 骨子案に懸念続々
厚生労働省は、社会保障審議会の「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」がまとめた報酬体系の骨子案を、社会保障審議会の医療部会と医療保険部会に示した。二十日の医療保険部会では、患者の受診歴や服薬状況などを一元的に把握する「主治医」の役割や担い手があいまいとして厚労省に詳しい説明を求める声が相次いだ。現時点でも「新制度は当の高齢者にはほとんど知られていない」として、制度施行後の混乱を懸念する声も挙がった。
後期高齢者医療制度の診療報酬は、社会保障審議会の特別部会が骨子をとりまとめ、中医協で個別の点数の議論に入る流れになっている。このほど、骨子案をもとに両部会で議論が行われた。
二十日に行われた医療保険部会では、「主治医」「保険料設定」について意見が集中した。
骨子案では、患者を一元的に診る主治医の役割が重視されている。しかし、医療関係者側はこの考えが医療機関への患者の登録制につながることを懸念している。厚労省は「主治医と総合診療医はリンクするものではない。骨子で示した役割を担う医師を評価するという内容で、制度的に登録ということは考えていない」と強調した。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
もう一つの引き継ぎ ~くすのきの郷の介護はいま 評判高いケア、これからは… 揺れる入居者、職員ら
九月、訪問介護大手コムスンの在宅・施設サービスの事業譲渡先が決まった。マスコミでも連日取り上げられたこの問題の陰で、「もう一つの引き継ぎ」も進められようとしている。二十日、文京区立特別養護老人ホーム「くすのきの郷」の新しい運営法人が決まった。終のすみかである特養の取り消しだけに、処分決定後の入居者や家族、施設職員らへの影響は大きく、今も不安に揺れている。その中でも努めてこれまで通り懸命に介護を続けてきたスタッフたち。評判の高かったケアは今後も守られるのか。
同ホームは今年六月、就労資格のないフィリピン人ボランティアを夜勤に組み入れたことで、特養では全国で初めて指定の取り消しを受けた。行政は「悪質事業者」の烙印を押したが、入居者やその家族らは施設の介護を高く評価し、運営存続を求めてきた。「フィリピンの人たちはとっても働き者で、優しかった」とお年寄りたちからも慕われていた。
五年前、入居者が起きて活動する日中の時間帯に常勤職員を手厚く配置し個別に関わろうと、別途パート職員をさまざまな方法で募集し続けたが人は集らなかった。夜勤にボランティアに入ってもらったのは、そんな状況での苦肉の選択だった。フィリピン人ボランティアが去った後もケアの質が落ちないよう夜勤シフトの組み方を日々考えているが、常勤職員一人が夜勤に入ると、日中帯に職員がフロアを小走りに右往左往する状況が起きている。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
認知症理解拡大に第一歩 千葉県で初のメモリーウオーク開催
たとえ認知症になっても住み慣れた地域で暮らせるよう、認知症への理解を広めよう――千葉県で十六日、今月二十一日の世界アルツハイマーデーにちなんで認知症の人が参加して行う街頭パレード「認知症メモリーウオーク」が日本で初開催された(写真)。認知症の人と家族の会や老人クラブなどに参加する元気高齢者、デイサービスなど高齢者ケアにかかわる人など約三○○人が集まり、千葉県庁から千葉駅まで約一・五kmを歩いた。
世界アルツハイマーデーは、一九九四年に国際アルツハイマー病協会がWHO(世界保健機関)の後押しを受け制定した日だ。諸外国ではこの日を中心に、アルツハイマー病に関するさまざまな啓発イベントが行われる。街頭を練り歩くメモリーウオークも盛んに行われていると主催者はいうが、日本ではこの千葉での取り組みが初めてだ。
認知症メモリーウオークを呼びかけたのは、県高齢者保健福祉計画推進作業部会の下に認知症の人と家族の会千葉支部などが参加して設置された「千葉県認知症対策研究会」。官民共同による実行委員会で準備を進めてきた。
事前のセレモニーでは、実行委員会のメンバーの認知症の人と家族の会千葉支部の永島光枝さんが、「予想以上にたくさんの人が集まってくれた。少しでも認知症に関心を持ってもらえる人が増えれば嬉しい」と挨拶。認知症の当事者である加藤芙貴子さんとその夫が、「さぁ、出発です。元気よく歩きましょう」と音頭をとり、メモリーウオークが県庁からスタートした。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
オリジナル嚥下食開発 サミュエル 脱ミキサーで200レシピ
首都圏を中心に介護付き有料老人ホーム「ヒルデモア」、「ヒュッテ」など九カ所を展開する東京海上日動サミュエル(横浜市、碓田茂社長)はオリジナル嚥下食「モアディッシュ」を開発した。嚥下機能に合わせて五段階で、少しずつ施設で取り入れ始めているソフト食を取り入れたのが大きな特徴だ。すでに二〇〇食のレシピを開発済みで、刻み食やミキサー食だった人も他の入居者と見た目も変わらない食事がとれる。十四、十五日にさいたま市で開催された「第一三回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会」で発表した。
ヒルデモアは介護サービスの質の向上に積極的に取り組んでいる施設の一つだ。嚥下障害のある入居者には、定番の「ミキサー食」「刻み食」を提供していたが、露骨に嫌がる利用者もいた。そこで、同社では二〇〇五年から歯科衛生士、調理師、管理栄養士などからなる特別チームを結成、健常者向けの食事の見た目や味を維持しながら、舌でつぶせるやわらかさを兼ね備えた刻み食に代る介護食の開発に成功した。いわゆるソフト食といわれ、先進的な施設で少しずつ広がってきているが、悩みはレシピ不足で、日常的に提供できる体制になっているところはまだ少ない。三菱商事フードテックなど食品加工会社三社と共同で、新技術を駆使することで可能になった。現在、ヒルデモアたまプラーザでは、スタッフが手作りしているが、寿司、うどん、海苔巻き、漬物などレシピは二〇〇種類。刻み食、ミキサー食レベルの人でも見た目が他の入居者と変わらない食事ができる。行事食もあり、年内には五〇〇種類になる見込みだ。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
「生活機能評価」また見直し 老人保健事業廃止で介護保険に 予算オーバーの懸念も
認定外の介護予防事業の対象者を選定する「生活機能評価」。ハードルが高すぎて対象者が見つからないと今年の四月から新基準に見直したばかりだが、医療制度改革による健診事業再編に伴い、市町村は再度の仕切り直しを迫られている。老人保健事業が廃止になることで、税金で賄われていた健診費用が、介護保険の地域支援事業から捻出されることになるが、給付費の三%以内という上限があり、「足りるのか」との声も上がっている。 もっと読む
訪問介護 10カ所指定取り消し 都、コムスンなど3社で
東京都は十日、コムスン(港区、樋口公一代表)、クリスタル介護センター(中野区、森薫代表)、ダスキンゼロケア(港区、本間恒夫社長)の三社が運営する訪問介護事業所計一○カ所について、十月三十一日付けで指定を取り消すことを決めた。いずれも指定時に管理者やサービス提供責任者に該当しない職員をあてて申請していたり、その後も管理者不在や常勤職員が足りないなど人員基準に違反したまま、数カ月にわたって事業運営していたことが判明したためだ。都は、介護報酬を不正請求していたとしてコムスンに約二億三六○○万円、クリスタル介護センターに約四億八九○○万円、ダスキンゼロケアに約九六○○万円の返還を求めた。ダスキンゼロケアは東京・神奈川、埼玉、千葉、大阪など首都圏を中心に四七カ所の訪問介護事業所を展開しているが、指定取り消し処分を受けるのは今回が初めてとなる。いずれも改正前に開設した事業所のため、連座制の対象にはならない。 (以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
入院と在宅支援機能で地域連携を 日本療養病床協会が研究大会開く 廃止・削減に依然反発
日本療養病床協会(会長=木下毅・光風園病院理事長)は九月五日から二日間、兵庫県・神戸市内で全国研究会を開催した。テーマは「良質な慢性期医療がなければ日本の医療は成り立たない」。「介護療養病床の役割は終わった」として療養病床の廃止・削減を進める国へのアンチテーゼだ。参加した病院からは、廃止・削減案は医療依存度の高い患者の実態や、患者・家族のニーズに合っていないとして反発する声が相次いだ。一方、協会のトップからは、国が推進する在宅療養と、急性期病院や介護保険施設をつなぐ拠点として生き残りを図る案が提案された。今後は老健との役割分担も議論になりそうだ。
「介護療養型医療施設の今後」をテーマにしたシンポジウムでは、廃止後の選択肢として示されている医療療養病床や老人保健施設への転換について問題点や課題が指摘された。
矢野諭・南小樽病院副院長は、老健への転換を検討する医療機関に、医療療養病床に転換するよう「再考」を求めた。「医師は一人しかおらず、医療行為も極力抑制している老健では(療養病床入院患者への)対応は難しい」ため、国の目標通りに病床削減すれば医療療養病床は不足するというのがその理由だ。介護療養病床を持つ自院でも、良質な慢性期医療を提供してきたという自負から、「老健への転換は選択はしたくない」と訴えた。医療機関でなくなることへの病院関係者の抵抗感は強い。
病院の意向だけでなく、「患者も病床廃止に反対している」と訴えたのは小松和子・有馬温泉病院看護師長。昨年末、神戸市内の介護療養病床に入院している患者家族にアンケートを行ったところ、九割から「在宅では介護できない」との回答があったと報告した。「決して社会的入院ではなく、医療を必要としている」と方針の見直しを求めた。
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都国保連 介護サービス苦情相談 制度見直しで15%増
東京都国民健康保険団体連合会はこのほど、昨年度一年間に区市町村、東京都、都国保連の三者に寄せられた介護保険に関する苦情相談の結果をまとめた「介護サービスの苦情相談白書 平成十八年度版」を発行した。都国保連が毎年作成しているもので、全体の苦情件数は増加。特に昨年四月は保険料改定と制度改正が重なったことから、保険料と要介護認定に関する苦情が大幅増となっているのが特徴だ。一方で、サービス提供・保険給付に関する相談は減少。しかし、同居家族がいる場合の生活援助や要介護から要支援に移行した際の利用時間や回数についての苦情が見受けられ、制度改正に伴う不満の大きさが分かる。
二〇〇六年度の苦情・相談受付件数は、六○五八件。一昨年度に比べて八五八件増だが、その内訳をみると急増しているのは「保険料」の一九七九件(対前年度九一三件増)、「要介護認定」の五八一件(同一八一件増)の二種類。毎年最も多い「サービス提供・保険給付」は昨年度も二二六一件で苦情の内訳ではトップだが、一昨年度の二六八三件からは減少している。昨年度に行われた介護保険制度の改正と保険料改定に伴う利用者の戸惑いがそのまま苦情に現れたと考えられる。
サービス別の苦情件数は、訪問介護がトップで六四八件、居宅介護支援が五五八件で続くが、両者とも件数は減少している。
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途切れぬサービス要望 コムスン譲渡の手続きで厚労省 複雑化に懸念も
コムスンの介護事業の引き受け先が固まったのを受け、厚生労働省は十日、全国介護保険・指導監査担当者会議を開き、サービスが切れ目なく提供できるように移行法人への指定手続きを行うよう求めた。今回の譲渡では、経営主体が変わることになり、通常のM&Aによる事業譲渡に比べて相当な手間が事業者、行政に求められることになる。
事業の引継ぎ先については、第三者委員会の推薦をコムスンは全面的に受け入れている。有料老人ホームやグループホームは一括してニチイ学館に売却。
都道府県毎に分割して譲渡するとされていた在宅サービス事業については、四日までに一六法人への譲渡が決まった。
各社で個別に交渉が行われているが、三〇地域の事業を引き継ぐジャパンケアサービスは二二億五四〇〇万円、一二地域のセントケアは一五億円で売却額について合意済みだ。
株式会社に対する事業譲渡は、会社分割方式で行われる。具体的にはコムスンが都道府県ごとに四七法人に分割。譲渡先法人が株式を取得して子会社化する。単純な株式譲渡方式だと、法人格が引き継がれるために介護保険法の欠格事由が解消されないためだ。非営利法人の場合は、子会社を保有することができないため、「事業譲渡方式」が用いられる。この場合も、欠格事由は解消されるが、サービス契約・賃貸借契約、雇用契約など全ての契約がいったん白紙になり、再契約が必要となる。今後手間取ることも予想される。
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大手3社で30地域独占 コムスン在宅系 譲渡先決まる --- 財政基盤の安定重視
コムスンは四日、在宅事業の譲渡先を決定した。第三者委員会(委員長=堀田力弁護士)の推薦をそのまま受け入れたかたちだ。地域に根ざしたサービス提供を行っている事業者に譲渡するために、都道府県単位で分割して事業移行をする方針が示されていたが、四七都道府県中三〇地域をジャパンケアサービス、セントケア・ホールディング、ニチイ学館の大手事業者三社で占める結果になった。 --- もっと読む
ケアマネとの連携評価 後期高齢者制度 診療報酬骨子案 --- 厚労省、重点に提示
厚生労働省は四日、来年度から始まる後期高齢者医療制度の診療報酬の骨子案を、社会保障審議会の「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」に示した。高齢者の長期入院を是正し在宅医療へ誘導、医療・介護関係者の連携・情報共有によりひん回受診や重複投薬の抑制を目指す。患者の病歴や服薬状況を一元的に把握するかかりつけ医や、ケアマネジャーなどの介護・福祉関係者との連携を診療報酬上で重点的に評価すべきとしている。
骨子案は、外来、入院、在宅、終末期医療ごとに、診療報酬上で重点評価する事項を示した。
外来では、かかりつけ医(主治医)が、患者の病歴や受診歴、服薬状況を一元的に把握し、日常生活能力や認知機能などについて総合的に評価、必要な場合は専門の医療機関に紹介する役割を担えるような報酬上の評価を求めている。また、重複投薬を防ぐため、薬剤師をはじめとした医師、看護師による「お薬手帳」を活用した服薬情報の管理や、主治医やケアマネジャーを中心とした介護・福祉サービスとの情報共有・連携の評価を盛り込んでいる。
入院では、退院後の生活を見越した診療計画を策定することを重視。入院中の状況を介護・福祉関係者とのケアカンファレンスで共有し、病院・在宅の関係職種が退院調整・退院前指導に連携して取り組むことができるようにする。 (以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
ボランティアで保険料軽減 --- 全国初、稲城市が開始
東京都稲城市は一日、高齢者の介護関連のボランティア活動をポイント換算し、現金に換えて介護保険料の支払いにあててもらう「介護支援ボランティア制度」を開始した。ボランティア活動を通じて元気高齢者の生きがいづくりや介護予防につなげ、その「評価」として介護保険料の負担を軽減するねらいだ。市が同制度を提案して二年。国は、保険料の減免を認めないとする介護保険制度の原則などを理由に実施を先送りしてきたが、今年五月、この仕組みを認める通知を出し、今回全国で初めて実現した。
対象は六五歳以上の稲城市民。市社会福祉協議会に登録し、主に介護保険施設で行われる食事の配膳・下膳、散歩、移動介助、入居者の話し相手など市が指定する事業・活動でのボランティアを対象とする。活動を終了すると、一回一時間の活動に対して一つのスタンプを事業者が介護支援ボランティア手帳に押し、一日二回分までの活動を評価。スタンプを市社協でポイントに換算。一〇~一九回で一〇〇〇ポイント、最大五〇〇〇ポイントが付与される。年に一回、現金化を希望する者が高齢福祉課に手帳を提出し、介護保険料の未納や滞納がない場合に、年間最大五〇〇〇円分の現金が口座に振り込まれる。すでに事業側は特養、NPOなど九団体、市民側は約七〇人が登録しているという。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
介護福祉士養成大学連絡協議会が発足 --- 独自カリキュラム検討 「厚労省主導」に危機感
介護福祉士養成コースを持つ四年制大学の教職員が中心となってこのほど、「介護福祉士養成大学連絡協議会」を発足させることが決まった。現在、厚生労働省では二○○九年度から介護福祉士養成課程に新カリキュラムを導入する準備を進めているが、見直しは厚労省管轄の養成施設主導で進められ、四年制大学特有の課題が勘案されないとの危機感が強まったためだ。連絡協では、一般教養や社会福祉士の養成などと一体化した教育により、視野の広い福祉専門職を育成できるのが大学のメリットだとし、独自の養成カリキュラムを提案していく考えだ。
連絡協は、古川孝順東洋大学教授を発起人に、五つの福祉系大学の教職員など一三人が六月から準備委員会を組織して進めてきた。今月三日には、介護福祉士養成コースを設置している三六大学・六〇人の教員たちが集まり、都内で設立準備会を開催した。
古川教授は、四年制大学だけで協議会の設立を提案したことについて、「法改正に伴う新カリキュラムの検討作業は現在、厚労省の作業チームのほか日本介護福祉士養成施設協会(介養協)や日本介護福祉士会など関係団体でもそれぞれ進められている。しかし、その中では四年制大学が行っている専門職養成の実態や抱えている課題は俎上に上っていない。非常に危機感を感じている」と話した。 養成施設の上部団体である介養協には全国に約四二○校ある養成施設すべてが所属しており、介護福祉士養成コースを設置する大学も含まれているが、五〇校余りと少数派だ。これまで四年制大学への対応を取り上げて協議する場は持たれていないという。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
療護施設ネットシンポ --- 携帯充電代徴収も
重度の身体障害者を対象にした身体障害者療護施設の入所者が集まってつくる療護施設自治会全国ネットワークは一日、都内で自立支援法後の療護施設の現状について話し合うシンポジウムを開催した(写真)。同ネットが行った入所者へのアンケート調査から自立支援法の自己負担分以外に施設との契約で定めるサービス利用料の負担も大きいことが分かった。
療護施設は、身体障害者福祉法で定められた、常時介護を必要とする重度身体障害者が入所する施設だ。自立支援法では、施設入所の長期化をなくし、地域生活への移行を進めるため、日中の活動の場(デイサービスや就労訓練)と居住支援(ケアホーム、グループホームなど)を分けるようにサービス体系を改めた。しかし、二四時間の介護体制が必要な人も多く、就労や地域移行への課題は多い。
シンポジウムでは、同協会が今年六月に全国の療護施設四七一カ所に実施したアンケート調査の結果が公表された。一八四施設の七八二人が回答。自立支援法後に生活が苦しくなったと回答した利用者が七割にのぼり、今年四月から低所得者への利用者負担軽減策が実施された後も生活の苦しさは続いていることが明らかになった。サービス利用料の一割負担や食費・光熱水費が自己負担となったこともあるが、調査では重要事項説明書で事業者との契約で定めるサービスの利用料の負担の大きさが明らかになった。理美容費、金銭管理、テレビ代のほか、趣味活動費、持ち込み電化製品の管理費、携帯電話の充電代まで徴収するようになった施設もあり、一人あたり平均四○○○円程度の負担となっている。毎月、自由に使える金額も一万円以下で四割を占めていた。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
32%増の22兆1604億円 厚労省08年度予算概算要求 --- 介護負担分は0・5%増
厚生労働省は二十八日、〇八年度予算の概算要求をまとめた。一般会計総額は今年度当初予算比で、六八三五億円、三・二%増の二二兆一六〇四億円。介護保険の給付費総額は六兆八三六三億円で二・五%増と見込んだ。国庫負担総額は一兆九五九〇億円で〇・五%増にとどまっている。介護予防の導入で給付費の伸びが鈍化したのを受けて、伸び幅を低く見積もっている。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
「連座制見直しを」続々 有識者会議ヒアリング --- 行政不信の訴えも
コムスン事件をうけて、広域的な事業者への新たな規制や、サービス利用者の救済方法などを検討している介護事業の適正化に関する有識者会議は二十四日、事業者団体などからのヒアリングを行った。一つの事業所の不祥事が会社全体に及ぶ「連座」制については運用の見直しを求める意見が相次いだ。都道府県の指導・監査の際の判断基準が曖昧で、安心してサービス提供ができない、など行政不信を訴える声が目立った。
特別養護老人ホームでは、六月に文京区の公設民営ホーム「くすのきの郷」が指定取消しを受け、連座制で他の法人が運営する公設ホームも巻き添えになった経緯がある。全国老人福祉施設協議会は「まったく無関係な受託法人にまで影響が及ぶ連座制には問題がある」と指摘。特に、社会福祉法人の場合は、経営側とみなされる「理事」には地域関係者や学識者を入れることが行政指導されており当事者責任を果たせない事情もあるとした。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
Jリーガーと健康づくり 50歳以上に鹿嶋市、アントラーズと提携 --- 将来は介護予防事業も
茨城県鹿嶋市は、今年度から日本プロサッカリーグ(通称・Jリーグ)に所属する鹿島アントラーズFCと提携して、中高年向けの健康づくり事業を始めた。二十五日には、五○歳以上の市民を対象に体験教室を初開催。アントラーズのプロサッカー選手も一緒に参加し交流できるとあって、ファンには堪らない取り組みだが、肝心の参加者は定員五○に対して二二人。中高年世代にはもう少しPRが必要のようだ。
「身体をゆっくり伸ばしてください。無理をしないで痛くないところまででいいですよ」
インストラクターの声かけに従って二二人の参加者が柔軟体操に取り組んでいる。苦しそうな顔で身体を伸ばそうとする参加者に混じって、軽々と足を伸ばしたり、体を曲げたりして一際目立つ若者が四人。彼らは鹿島アントラーズの現役選手だ。
柔軟体操は、鹿嶋市が今年度からアントラーズの協力を得て始めた「健康づくり」事業のひとコマだ。五○歳以上の住民を対象とし、実施会場はアントラーズの本拠地である県立カシマサッカースタジアム。プロサッカー選手と一緒に運動しながら健康づくりを行うという全国でも珍しい取り組みだ。
(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
ヘルパー 現職6割が離職意向 八戸大学の篠崎氏調査 --- 生活援助521円増を
現在介護事業所で働くヘルパーの六三%が転職あるいは離職を考えており、その割合は二○○○年度に介護保険が始まった時と比べると四○ポイント以上も上がっていることが、篠崎良勝八戸大学講師が行った実態調査で分かった。離職の理由では「希望の収入に達しないこと」が最も多い。あわせてヘルパーが理想とする介護報酬額を尋ねたところ、生活援助の三○分以上一時間未満では現行の二○八○円よりも五二一円高い二六○一円を、一時間以上では七三七円上乗せした三六四七円だった。現在は報酬上の評価がないサービス提供責任者に対しては、全体の七割が報酬の設定が必要だとしており、利用者一人あたり一七○七円が希望報酬額となった。
調査は北海道、茨城、東京、神奈川、新潟など一二の都道府県の介護事業所に勤めるホームヘルパー二五○人を対象に、今年六月に実施。一三五人から回答を得た(回収率五四%)。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
コムスン施設系 ニチイ学館に210億で売却 --- 11月1日めど引き継ぎ
コムスンとニチイ学館は二十八日、グループホームや介護付き有料老人ホームなどコムスンの施設系事業をニチイ学館に二一〇億円で売却することで合意した。十一月一日をめどに、同事業はニチイ学館に引き継がれる。
事業委譲先を検討していた第三者委員会(委員長=堀田力弁護士)は二十七日にニチイ学館を相手に選んだばかりで、スピード合意になった。第三者委の選定理由は他候補に比べて財務基盤が良好で、同社が提供するサービスはほぼすべての都道府県をカバーしていること、他社に比べて人員供給能力が高いこと、などを挙げている。また、同社から、事業承継前でも必要があれば人員調達、約半年間の資金調達が可能であるという提案があったことを評価した。
譲渡の対象となるのは、介護付き有料老人ホーム「コムスンホーム」八施設、「コムスンのきらめき」十八施設、グループホーム「コムスンのほほえみ」一八三施設で、総利用者数は約四二〇〇人。
北海道から九州まで幅広くカバーするが、東京、埼玉、神奈川などの首都圏の施設数は全体の二割未満だ。
すべてオーナーが建てた建物を一棟借りするサブリース方式。同社には、このほか介護付き有料老人ホームの高級バージョンである「ガーデン」四施設、高級レジデンス「バーリントン」二施設があるが、いずれも自社物件であり、サブリース物件とは別に売却先を選定している。
コムスンは二十八日付けで三つの施設種別ごとに受け皿会社を設立して、それぞれの事業を引き継がせたうえで、ニチイ学館に二一〇億円で売却した。(以下略) --- シルバー新報のサイトを確認する
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