受け入れてもらえるまでやるしかないんです
▲先輩のサービス提供責任から貰った地域限定のプリッツと星野さんの携帯電話。ストラップにはバイキンマンの格好をしたアンパンマンが
星野さん:私、よく学生に間違われるんですよ。
新しい利用者さんに「学生はいらないよ」って言われたり、ご家族の方に「こんな若いコに何ができるの?」って目で見られたりね。
若いってだけで、相手にしてもらえない。もう慣れちゃいましたけど。
―そこから信頼関係を築くって大変じゃないですか?
星野さん:うーん、大変っていうよりも「よし、きた!」って感じ。その一言を聞くと余計にヤル気が湧くというか…(笑)。
▲ヘルパーさんからの報告書を読み、ケアマネージャーさんへの月報を書く星野さん
―そういう時ってどうするんですか?
星野さん:とにかく私の行動を見てもらうしかないですね。
日々、周りの方々に色んなことを教えていただきながら、利用者さんやヘルパーさんたちに受け入れてもらえるように、今の私に出来ることをきちんとやっていくことが大切なんじゃないかなって思います。
時間はかかるかもしれませんが、そうやって私を知ってもらうことから始めなきゃいけません。
今の環境の中で、今の自分が出来ることを精一杯やっていきたいですね。
▲デスクの周りは大好きなアンパンマンがいっぱい。アンパンマンのスタンプは伝言メモの時に分かりやすくて便利なんだとか
―なるほど。そういう謙虚さって、どんな状況下でも大切ですよね。
星野さん:苦労したぶんだけ、信頼関係を築けたと感じた時の喜びは大きいですからね。
最初は「アンタじゃダメ」なんておっしゃっていた利用者さんが、ある日私に「いつもありがとう」なんて言ってくださるんです。
その瞬間、「あぁこの仕事をやってて良かったなぁ」って。
ありきたりだけど、そんな感謝の一言がたまらなく嬉しいんです。
常にヘルパーさん寄りでいたい
▲他のサービス提供責任者と打合せ
―サービス提供責任者って、嫌なポジションだって言われることが多いと聞きますが…?
星野さん:今年で5年目です。介護福祉士の資格を2年前に取りました。
―何がキッカケでこの業界に?
星野さん:大変というよりも、仕事が多すぎなんですよ(笑)。
ヘルパーさんの代替で、急遽自分が訪問介護に向かうことになったり、その間にメモや書類、報告書なんかはどんどん増えていくし(笑)。
介護業界は「報告一番、記録は二番」ですしね。格好悪い話ですが、キャパオーバーになってしまうこともありますね。
「あっちを立てればこっちが立たず」ってことも少なくないし、肉体的にも精神的にも辛い部分は確かに多いです。でも、辛いことばかりじゃないですよ。
▲それが終わると、ヘルパーの代替で再び外出
―本当ですか?
星野さん:はい!この仕事をするようになって、生活に役立つ知識が格段に増えました。
これは凄く良かったなって思います。
お料理の作り方、掃除のしかた、洗濯のやりかた・・・こういう知識って、人生の先輩である利用者さんやヘルパーさん達には敵いません。
皆さんに毎日教えて頂いてます。色々な関わりの中で編み物もできるようになりましたし、ビーズなんかも教えて頂きましたね。
それ以外にも、色々な場面で人生勉強をさせていただいてます。こういうのは他の職業じゃ味わえないでしょ?
―それだけ聞くととっても楽しそうですが、実際は忙しいんでしょう?
星野さん:忙しかったり大変だったりするのは、サービス提供者のほんの一面に過ぎません。
それに、私一人が大変なわけじゃありませんから。ヘルパーさんも、他のスタッフもみんな大変なのは同じです。
まぁ、その割にはなかなか日の目を見ないし、ホント地味な感じはしますけどね(笑)。
―なるほど・・・。サービス提供責任者って「縁の下の力持ち」なんですね。
星野さん:そういう風に思っていただけると嬉しいですね。
私自身、未だにいちヘルパーとしての仕事もしています。
だから、ヘルパーさんの苦労は痛いほどよく分かります。
そんな私だからこそ、ヘルパーさんの代弁ができるんじゃないかって思うんですよ。
私は常にヘルパーさん寄りでいたいと思っていますしね。
若造の私が言うのもおこがましいですが、ヘルパーさんを守れるのはサービス提供責任者しかいないって思ってますから(笑)。
地味だけど、私達サービス提供責任者がいることには大きな意味があると思っていますよ。
とにかく、一度やってみて
▲取材の最後に、事業所の方と。事業所内は、終日笑顔に溢れていた。
―おぉー。そういうお話を伺うと、介護の未来は明るいなって感じますね。
星野さん:サービス提供責任者って、本当に忙しいし大変です。でも、絶対に必要な存在なんですよ。
だから、サービス提供者に対してもっと正当な評価をすべきだと思いますね。そういう仕組みがまだ足りない。
だからなり手も少ないんじゃないですかねぇ。
―うーん、難しいですね。そのあたりはこれからなんですかね
星野さん:そうですね。この先も介護の世界で仕事をしていくなら、サービス提供責任者は絶対に経験すべきですね。
―最後に、これからサービス提供者になる方にメッセージをお願いします。
星野さん:とにかく、一度やってみて。必ず成長しますから。