3月に開催された他県の介護事業者の勉強会に講師として出席いたしました。指導内容等にバラツキがあることは財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会の研修を通して、受講生の方々からの話でおぼろげながら認識はできてはいましたが、今回の訪問先では、私が訪問介護事業を行っている東京とはかなりの温度差があるように思えました。
「介護事業運営の適正化に関する有識者会議報告書」(平成19年12月3日)や「社会保障審議会介護保険部会の意見」(平成20年2月6日)においても、自治体が行う指導監督業務に関して各自治体や担当者ごとのバラツキについて指摘があり、制度の見直しに当たって「指導内容について過度なバラツキが生じないように、標準化に向けた措置を講じること」とされています。なお、介護サービス事業者に対する法令遵守を徹底させるために、平成20年度から平成24年度の5年間で、営利法人の全ての事業所に対し指導監査を実施行うことが既に計画されています。
その結果、これまで法令遵守を基準にし、指導内容を厳格にとらえていた事業所にとっては、少し緩くなったように感じられるかもしれません。それとは逆に、指導不足の事業所にとっては、少し厳しくなったように感じられるかもしれません。
また、介護給付の適正化についても平成20年度から3年間を強化期間と位置づけ、平成20年度にはすべての保険者が何らかの適正化に関する事業に着手することを目標とし、最終年度の平成22年度には、各都道府県が策定した「介護給付適正化計画」をすべての保険者が実施していることを目標に進めていく(適正化事業の全国的な展開の目標値:下記表を参照)ようです。事業者は、このような国の動向を踏まえ、できるだけ早めに自主点検を行い、事業運営等に不十分な点があれば整備を急いだ方が良さそうです。
適正化内容 | H18年度 | H20年度 | H22年度 | |
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要介護認定の適正化 | 64% | 85% | 100% | |
ケアマネジメント等の適切化 | ケアプランの点検 | 32% | 85% | 100% |
住宅改修等の点検 | 68% | 85% | 100% | |
サービス提供体制 及び介護報酬請求の適正化会計処理 | 縦覧点検・医療情報との突合 | 45% | 85% | 100% |
介護給付費通知 | 49% | 85% | 100% |
指導監査のうち実地指導は、サービス提供が法令遵守に沿って行われているかどうかを判断するのに、備え付けが必須とされる帳票や記録書等の内容から適切な事業運営がなされているかを確認します。その中でもヘルパーさんのサービス提供記録は、特に重要視されているものの1つです。サービス提供記録の主なチェックポイントは次のとおりです。
【サービス提供記録の主なチェックポイント】
◆プラン(事業所からのサービス指示)に沿ったサービスが実施さているか
◆サービスが適正なものになっているか(保険利用できない内容にはなっていないか)
◆(訪問介護の場合)提供したサービス内容の記録と身体介護・生活援助の整合性ならびに実績請求したサービス時間との整合性がとれているか
◆利用者の心身の状況を把握し、その記録がなされているか
◆個別のサービス提供時間(回数)が標準的時間(回数)より長く(多く)なっていないか
◆緊急時の対応を行った際、その旨の記載があるか・・・など
ヘルパーさんは、事業所の適正事業運営において大変重要な部分を担っています。自分がやってきた業務を振り返る意味で、ぜひ各自で点検してみてください。