人員不足の現実と今後の課題
本気で介護の仕事をしたい! という人がもっと増えてほしいです。
机の上に貼られたメモ書きをチェック。伝えたい情報がすぐ確認できます。
―八丈島の訪問介護はここ養和会とあともう1つ社協の2つとうかがいました。その2つで島内を全部みられているのですか?
はい。養和会が島で一番大きいヘルパーステーションなのですが、島内を全部見て回るには全然人が足りない状況で。募集をかけてもなかなか人が集まらないんですよ。
スタッフさんから差し入れられたさつまいも。濃厚で甘くてホクホク。
―それはどうしてでしょう?島だからとか?
島で就ける仕事はものすごく限られているので、高校卒業と同時にほとんどが島を出てしまうんです。私もその一人でした。だから必然と若い働き手が減ってしまうんですよね。あとは、想像以上に大変な現場に辞めてしまう人も…。島内という限られた人材のなかで、本気で介護の仕事をしたい! という人が資格を取って来てくれたらいいのにな、とは思うんですけれど。
ちょっとした空き時間も惜しまず資料を確認。
―若い方が島から離れる一方で高齢の方が増えていく現状を島全体の問題として考えていく必要があるかもしれませんね。
本当にそうですね。今度町で、ヘルパー養成講座を実施するそうです。受けるからには必ず島内の介護職についてくださいね、という条件付きだそうで(苦笑)。でもそうした地道な活動が少しずつ実を結ぶといいなと思います。
介護に関する書籍がずらり。貸出ノートがあって、興味の本は借りることができる。
―最後に、介護を通して浅沼さんが今後取り組みたいことは何かありますか?
笑顔でいること、これに尽きます。私がにこにこしていれば、ご利用者さんも笑顔になって「すごい楽しくなるね」って言っていただけるんです。お家で辛い思いをされているご利用者さんって結構多くいらっしゃって、私が行くと悲しそうな顔をされていることも。でも一緒に何かをしながら、冗談を言い合ったりして、帰る時には「笑顔でまた来てねっ」て言ってもらえるようにしたい。笑顔でいることは事業所内でも同じ。私が笑顔でいれば、スタッフも相談しやすいでしょうし、実際色々情報を入れてくれるんですよ。だから「笑う門には福きたる」ですね。
編集後記
会話しながら報告書を記入。「明日来るのを楽しみにしているよ」とご利用者さん。
終始ニコニコ、朗らかな笑顔で対応してくださった浅沼さん。お会いした時、私たち取材班に向けてくださった輝くような笑顔は最高にステキで、それはもう、一瞬で心を掴まれるぐらい。「仕事だから」「笑顔でいなきゃ」と思ってできる笑顔ではなく、内面からにじみ出る自然体な笑顔に、温かいパワーをいただいた気がします。
深刻な人手不足という八丈島ならではの介護事情を伺い、現場だけでなく、島全体の問題として見直していく必要性があるように受け止めました。介護に熱き情熱を注ぐスタッフの方々の想いが、八丈島全体の介護事業改善につながることを願って…。
今回、取材にご協力いただいた浅沼里奈さんをはじめ、『社会福祉法人 養和会』の職員の皆さまには心からお礼を申し上げます。
「へるぱ!」運営委員会一同