へるぱ!

サ責に求められること

第2回 アセスメントの力       2015/12/16

 初めて訪問介護の実習を体験した学生から、「自宅で暮らす高齢者は生き生きしていると感じました」と報告を受けました。施設で暮らす高齢者からは感じられない“輝き”を、居宅で暮らす高齢者から感じたというのです。訪問介護員だった私は嬉しさを隠しきれず、「そうでしょ!」と即座に返答。このとき、満面の笑みで答える自分に訪問介護員としてのプライドを強く感じました。

 その後、日常生活において、『利用者の価値観を尊重した支援がご本人の主体性維持につながる』といった話や、『自分らしく生き生きと暮らせる生活環境をつくることの大切さ』、また『訪問介護の魅力』について学生に語りかけながら、自分自身も、サービス提供責任者のアセスメント力こそが、適切な支援提供において重要であると再認識しました。そのため、学生には、利用者が生き生きと生活できるのは、「適切な訪問介護計画につながるサービス提供責任者の高いアセスメント力があるからだ」とも説明しました。

 実際、サービス提供責任者は、アセスメントを通して利用者の生活を理解・解釈し、利用者にどのような支援が必要かを判断したうえで、具体的かつ継続的な支援方法を導きます。豊かな知識・技能・経験・人間性を持つサービス提供責任者による的確なアセスメントから導かれた根拠ある介護サービスは、担当する訪問介護員や利用者が納得する支援につながります。また、利用者やそのご家族、担当訪問介護員の笑顔をも引き出します。つまり、自宅で生活する高齢者や障害者の皆さんの生き生きとした暮らしは、サービス提供責任者のアセスメント力に支えられているといっても過言ではありません。

 今後、利用者と訪問介護員の輝く笑顔が、介護福祉士を目指す学生たちを居宅介護へと誘ってくれることでしょう。また、高いアセスメント力をもったサービス提供責任者が活躍することで、今まで以上に、生き生きと暮らす高齢者や障害者が増えていくのではないでしょうか。

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コラムニスト紹介

松井 奈美

植草学園短期大学 教授

プロフィール

東洋大学大学院福祉社会システム専攻修了。千葉県習志野市福祉課に入庁し、介護職員として勤務。浦和短期大学講師、新潟医療福祉大学講師、日本社会事業大学社会福祉学部講師、准教授、同実習教育研究・研修センター副センター長などを経て、平成25年4月より現職。 主な研究領域は在宅介護実践論、チームケアにおける連携、訪問介護サービスの質の向上に関する研究等。

『知っておきたい在宅ターミナルケア』(社福協)のほか、『改訂版サービス提供責任者の必須知識』(社福協)ではサービス提供責任者(サ責)における実務内容の項を執筆するなど著書、論文多数。

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