『みやびの里』が目指す方向性とは?
職員1人1人がダイヤモンドの原石なんです。
菊まつり、梨狩り、料理教室といった様々なレクリエーションを開催。
―様々な職場を通して得られた経験やノウハウが、黒川さんの大きな自信となり『みやびの里』での業務にもつながっているんだろうなぁと感じました。責任は重くても、それだけ前向きに取り組まれていたケアマネの仕事を辞め『みやびの里』に移られたのはなぜですか?
もともと『みやびの里』とは前職でお付き合いのある事業所の1つだったんです。何度か社長とお会いする機会があり、面識が増えるにつれ「うちに来ないか?」とお声かけをいただくようになりました。とはいえ、自分が担当するご利用者さんのことを考えるとなかなか決心もつかず…。そんな折、体調を崩して3か月間ほど自宅静養したんです。現場復帰することも視野に入れていたのですが、回復してきた頃にタイミングよく社長から電話がありまして…。
温かい雰囲気を携えた社長には、尽きることのない夢がいっぱい。
―そこで社長の熱い想いに触れ、決心がついたわけですね?
そうなんです! 社長は、ご利用者さんに本当にゆったりのんびりしてもらうのが介護であると心底思っているような方で、そのためには笑顔で職員が働けるよう環境を整えるのも、自分の役目だとおっしゃるんです。そんな経営者なかなかいません。
ご利用者さんと歩調をあわせながら楽しく会話をするヘルパーさん。
―数々の事業所をみてきた黒川さんが言うからこそ、その言葉にも重みを感じます。実際、私も社長とお話しをさせていただいてその人柄に惚れました。
でしょ(笑)。こんなステキな経営者のもとで働ける幸せはないんですよ。でも、その想いが『みやびの里』職員全員に浸透していないなって。そこが残念な部分であり、今後の改善点でもあると思っています。
洗濯物はカラッと外干しで。日光がしっかり当たるのですぐ乾きます。
―それはどういう部分で浸透していないと感じられたのですか?
それは、私がまだ前職ケアマネだった時からイチ部外者としてずっと感じていたことです。『みやびの里』は、職員本位の介護をしているなぁ…と。なので、当時実はあまりいい印象を抱いていなかったんです(苦笑)。ところがここに来てびっくり! 職員1人1人がダイヤモンドの原石なんです。全員が長所をだしていけば地域で一番の事業所になれるんじゃない?って思うぐらい。ただ磨き方を知らないだけなんだって、いま強く実感しています。
何気ない会話にも笑いが! 社員同士のコミュニケーションもばっちり。
―では、職員本位でない介護を提供していくためにも副施設長である黒川さんが原石である職員を育てていく必要がありますね?
“磨く”といってもそれは本人にしかできません。私は、職員それぞれに合った磨き方をさりげなく投げかけるだけだと思っています。そのためにこの3ヵ月間、じっくりみんなの行動を観察していましたから(笑)。あとは責任者レベルでの意識改革ですね!
真摯に働く『みやびの里』スタッフを随所でみかけます。
―それはどういうことですか?
厳しい言い方をしてしまえば、ここの責任者には、権限を行使しても肝心の責任は持たないという風潮があるんです。「教わってないから…知らないから…」とすぐ責任転嫁してしまう。行政から来た通知内容を守るだけが責任者の仕事ではないんですよ。自発的に動いて改善していかなきゃ! じゃないと、下で働くヘルパーさんたちも混乱してしまいますから。責任者たちをきちんとマネジメントできるレベルにまで引き上げるのが私の役目だと認識しています。
絆も固い社長と副施設長の松島さん。黒川さんの元気の源だそう。
―それは頼もしい限り! でも、途中から入った身で、大きな変化をもたらすのって色々な意味で大変ですよね。嫌われ役になるぐらいの覚悟じゃないと(笑)。
みんな私のことを良くは思っていないはず(笑)。ただ、変化を起こせば不平など何かしら出てくるのも世の常ですよね。良くも悪くもみんなから反応があるのは、私の存在に感化されている証である、と前向きに捉えることにしています。と同時に、私自身信頼してもらえるよう努力していかなければいけませんね。
―最後に…。黒川さんはこれから『みやびの里』をどうしていきたいと思っていますか?
今まで以上に職員が生き生きと働けるよう環境整備をしつつ、私がいるから安心だ、と思ってもらえるよう日々邁進するのみです。職員が元気であることが、何よりいい介護につながる! 私はそう信じています。それが社長の想いでもありますから。
『みやびの里』で働くとホッとする、それが自然とご利用者さんにも伝わり、安心感で満たされる…。そんな“ホッ”とする事業所、それが『みやびの里』だと地域に根付かせることができたら最高だなって思います。
編集後記
私たち取材陣に、手を振って元気よく出迎えてくださった黒川さん。
ご利用者さん、職員への想いは計り知れなく、「おごった言い方ですが、職員を守りたい」そうおっしゃった黒川さんの決意と情熱にしびれました。ドンと構えたその背中についていけば大丈夫! そう思わせてくれる方です。
今後、社長の想いが黒川さんを通して伝わり、さらに『みやびの里』全体が生き生き輝いていくことを願ってやみません。
今回、取材にご協力いただいた黒川百合子さんはじめ、『みやびの里』の職員の皆さまには心からお礼を申し上げます。
「へるぱ!」運営委員会一同