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座談会 報告レポート

H26.9.19 社福協創立50周年記念 座談会報告レポート②

■【第2部】 座談会 『ヘルパー業務の社会的責務とは』【詳細】

座談会に出席したサ責の皆様は総勢15名。今回は5人ずつの計3グループに分かれて、先に挙げたテーマについて、また田中先生がより具体的に知りたい、と投げかけた2軸について、意見を交換し合いました。今回は各グループで話し合った内容をご紹介します。

グループ①

グループ①のメンバーは、皆介護歴10年以上のベテラン揃い。数々の現場経験を経て、現在はサ責のみならず、管理者や施設長といった責任ある立場で活躍する方々ばかりです。その方たちから出たリアルな現場の声とは?

■メンバー紹介

グループ①メンバー

左から…
黒川 百合子さん 第39回登場
(介護施設みやびの里/施設長・介護支援専門員/介護歴17年)

滝田 友美さん 第48回登場
(ヘルパーステーションはまなす/管理者・サービス提供責任者/介護歴17年)

田久保 千晴さん 第5回登場
(津田沼ヘルパーステーション/管理者・サービス提供責任者/介護歴21年)

平井 えみ香さん 第23回登場
(有限会社つくしの会/サービス提供責任者/介護歴11年)

廣田 麻里子さん 第30回登場
(上里町社会福祉協議会ヘルパーステーション/サービス提供責任者/介護歴10年)

■座談会内容

ヘルパーとケアマネの間で板挟み! サ責の苦労は絶えない

『身勝手なヘルパーにどう対応・指導していけばいいのか』、『ヘルパーやサ責の業務内容を理解しようとせず、無理難題を突き付けてくるケアマネへの対応はどうすればいいのか』『ご利用者さん、ヘルパー、経営者との板挟みに合っている』ことに焦点を絞り、下記のような意見が交わされました。

「相性の悪いご利用者さんにあたると、ヘルパーが辞めてしまう。定着させるのが難しい。」
「いくら教えても身体介護ができない人も。多忙ななかでヘルパーを効率よく教育するにはどうしたらいいの?」
「現場経験のないケアマネはこちらの仕事を理解しようとせずに無茶なことを言ってくる。『このくらい簡単でしょ?』と思っているような態度が多くみられます。」
「ケアマネにご利用者さんの報告をしても全く対応してくれない人も。さらには、ケアマネが知る大事な情報を事業所におろさず、トラブルになったケースも。」
「ヘルパーに同行した時、『あなたはヘルパーではないのだから帰って』と言われた。サ責の仕事をご利用者さんによく理解されていないケースもあります。」………etc

座談会の様子

座談会の様子

■まとめ

周囲に訪問やサ責の仕事を理解してもらうことが先決!

実は膨大な量の仕事があるサ責業務。そこを理解されずに、色々な人たちから言われる心ない言葉に、ストレスを感じることが多くあるという意見が目立ちました。まずは、自分たちの仕事を周囲に理解してもらうことが必要と訴えます。また、悩みを共有できるサ責仲間がいたり、サ責同士の情報交換の場があると、環境改善につながるかも?という意見もありました。

黒川「サービスに行っても書類をつくっていても孤独。それでも仕事を続けているということは、結局、この仕事が好きだからでしょう。まずはもっと周囲に理解してもらうことが一番の願い。」
田久保「忙しくて大変な時など、給料がもう少し高かったら今以上に頑張れるのに、と思うことも。上司や会社がサ責の仕事をもっと理解してくれると、ストレスもだいぶ軽減されます。」
滝田「私以外にサ責がもう一人。彼女と『忙しいけれど頑張ろうね』と励まし合っています。お互いを理解し合える仲間が同じ事業所内にいると、自分一人が大変なわけではないと思えます。」
平井「こうやって全国各地から集まって情報交換するのはとてもいいこと。私の事業所でもサ責会を開いてほしいと要望し、実際、事業所も動き始めています。」
廣田「現場の情報を関係者に電話報告するだけで大変な時間と労力が。他の関係者が訪問介護をもっと理解してくれれば、連携もスムーズにいき、困難事例も解決しやすいと思います。」

グループ②

グループ②のメンバーは介護歴28年の勝田さんを筆頭に、みな10年以上のキャリアの持ち主。また、これからの介護業界を担う20代、30代の若手が数名いることも、このグループの特徴です。世代を越えた意見交換にも注目です。

■メンバー紹介

グループ②メンバー

左から…
伊東 瞳美さん 第55回登場
(ホームヘルプサービスこはぎ/サービス提供責任者/介護歴12年)

勝田 小夜子さん 第57回登場
(渋川市社協ヘルパーステーション/所長・管理者/介護歴28年)

外崎 敦子さん 第62回登場
(一般社団法人介護グループふれあい/サービス提供責任者/介護歴13年)

星野 このみさん 第1回登場
(荒川サポートセンターかどころ/介護支援専門員/介護歴13年)

山崎 真理子さん 第13回登場
(有限会社ピースケア/取締役・サービス提供責任者/介護歴16年)

■座談会内容

サ責への無理解と、膨大で忙しすぎる業務

とにかく膨大な仕事量があるサ責業務。それを周囲に理解されないジレンマを抱える意見も多く、サ責業務と並行して現場に出るのは当たり前、さらには代休・育休もとれないという、ハードワーキングな実態が明らかに。さらにヘルパー人手不足も重なって、現場が悪循環に陥るケースもあるとか。

「利用者の立場でサービスを考えるのがサ責。『仕方なくケアマネが立てた計画で訪問します』ではなくて、このサービスが利用者にとってなぜ必要なのか納得してもらうのもサ責の役割。対等な立場で意見していかないとダメですよね。」
「とにかく本当に忙しい。代休・有休も消化できないのが現状。」
「業務をこなしつつ、月に100件以上現場を回る。とにかく人手不足!」
「ヘルパーを統括してそこに責任をもつとういサ責業務について、周囲のドクターやナースがよく理解していないケールがよくある。そういう意味でも、サ責は評価されない責任者だな、と認識することが多い。」
「プロ意識の低いヘルパーが多くて困る。」

座談会の様子

座談会の様子

■まとめ

ヘルパーの育成と、サ責の専門職としての確立を!

サ責一人が抱える仕事量の多さに疑問の声が多く挙がるなかで、それを改善していくための具体策も多く出ました。サ責にも資格があった方がいい、ヘルパーの育成をしっかりすることでサ責業務の軽減につながるなど、それぞれの職場を具体例に出しながら、今後の課題を各々見つめなおしたようです。
伊東「サ責一人ひとりの自覚も薄いのかもしれない。それもあっての全体の認知度の低さなのだとも。私たちがもっとプロ意識を持って行動することも大事です。」
勝田「サ責としての報酬賃金が支払われるようになれば、責任が生まれます。サ責はケアマネみたいに主任サ責といった公的な資格もありません。そのあたりを見直せば、意識も変わってくるのではないでしょうか。」
山崎「私たちはお金をいただいて人の身体に携わる仕事。その意識をしっかりと持ち、ヘルパーにもそれを伝えていかなければいけません。」
外崎「利用者側のマネジメントをする人と介護者側のマネジメントをする人ということで、ケアマネと平等にしてほしい。ケアマネに受かったらみんな辞めてしまう。これもサ責が育たない一つの要因。サ責にも資格が必要です!」
星野「ヘルパーの初任者研修が甘い。『主婦だから、できるよね」ではなく、面談をきちんと行って、本質をしっかり教えていかなければいけない。また、現任研修などに参加して学んでほしいなとも思います。」

グループ③

介護歴5年から20年までとキャリアの幅もそれぞれ、個性豊かなメンバーが揃うグループ③。また、今回の参加者でたった一人の男性サ責である森重さんがいることで、女性とは違った目線。男性ならではの見解が入るのも他グループにはない特徴です。

■メンバー紹介

グループ③メンバー

左から…
石川 展世さん 第56回登場
(ホームヘルパーステーションきたざわ苑/管理者・サービス提供責任者/介護歴8年半)

梅田 友理子さん 第38回登場
(ライフサービスぱーとなー/管理者・サービス提供責任者/介護歴13年)

春日川 咲子さん 第10回登場
(社会福祉法人いつつ星会/サービス提供責任者/介護歴10年)

菅原 文さん 第2回登場
(株式会社ふれんどりーホームサービス/介護支援専門員/介護歴20年)

森重 貴文さん 第59回登場
(プラスワンケアサポート株式会社/サービス提供責任者/介護歴5年)

■座談会内容

今の給料では生活ができない現実問題

サ責の社会的地位の低さ、また給料の低さによって、仕事として継続しづらい現状が浮き彫りに。この仕事一本で食べていくのはかなり厳しい、という本音が見え隠れするなか、どうしたら給料アップになるのか、またサ責という仕事のやりがいについてお互い語り合う場面も。

「サ責は担当者会議などで、積極的にアピールして、リーダーシップをとってもいいと思う。でもそれが出来ないのは、サ責の位置づけが低く扱われていると感じるから。」
「今の給料では生活ができない、というのが人材定着に歯止めをかけている。」
「ケアマネは食べていける、でもサ責は違う。賃金の低さがやりがいのなさにもつながっている。」
「国から報酬が出ないことも給料が安定しない一因。」
「仕事を続けていけるのは、ご利用者さんが私たちがいないとやっていけないのが分かっているから。でも、社会的な地位や保障はない。大好きなのに辞めざるおえない現状も多く見てきた。」

座談会の様子

座談会の様子

■まとめ

サ責の仕事をもっとアピールする必要性

やはり世間のイメージにもあるように、この業界における賃金の低さはかなりのネックポイントのよう。責任ある仕事かつ、仕事量の多いサ責であるにも関わらず、それを評価するシステムが築かれていないことに疑問の声が飛び交います。国の報酬が支払われるべき、など具体的な解決案が出るなかで、サ責という仕事の魅力をもっと外にアピールしていく必要もある、と意見がまとまりました。

石川「『サ責』と言った時に、看護師ぐらいの魅力がほしい。男性でも堂々と結婚して家族を養えるぐらいの報酬と知名度があればいいですよね。また、この仕事好き、ということを色々な場面で発信していく必要があります!」
梅田「サ責の知名度をどう深めていくかと問われれば、いいお給料、そしてそこに手をかけるだけの時間が必要。そして評価とやりがいですよね。」
春日川「『サ責の会』があってもいい。サ責を続けていく大変さはやった本人にしか分からないから、それを分かち合い、評価し合う場が必要だと思います。」
菅原「専門職なのに、医療職の方が偉いというイメージが。職業としての社会的地位が必要だと思います。」
森重「賃金がケアマネの方が高いから、試験に合格するとみなサ責を辞めてしまう。給料が上がれば、そういう考えもなくなるのでは?」

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